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007 オクトパシー(13)

ロジャー・ムーア主演 ジョン・グレン監督作品。
協力者ビアンカの手引きで、幹部の名札や軍服を使い、敵軍基地に潜入したボンド。だがその成り済ました本人が現れ、ボンドはあっさりと連行されてしまう。だがビアンカが連行車両に並走し、運転する男達を色仕掛けで注意を逸らす。ボンドは敵兵の着けたパラシュートを開いて吹き飛ばし、ビアンカのトラックに飛び移り、荷台に馬に化けさせて積んでいた小型ジェットに乗り込み、敵の基地を蹴散らす。そして追尾ミサイルに追われたボンドはジェット機で格納庫に突入。敵が扉を閉める前に滑り込み通過し、格納庫はミサイルで大破した。そしてボンドは、ジェット機がガス欠になり、老人の営むガソリンスタンドへと辿り着いた。
東ベルリンのサーカスから1人のピエロが脱走。その正体は009。だが、双子の殺し屋にナイフで刺され、負傷したまま川を下る。そして009はパーティー中のイギリス大使邸に逃げ込み、息を引き取った。
マネーペニーとその部下の女性と喋ってからMに会ったボンドは、009が持ち帰った美術品「貴婦人の卵」の偽物を製造して、金を稼いでいる犯人を捜す事になる。
一方、ソ連ではNATOからの軍縮要請に、ゴーゴル将軍が応えようとしており、好戦派のオルロフが侵略を提唱するが、一喝される。そしてオルロフは電話で連絡を入れ、美術貯蔵所へ。009に卵を奪われて、直近の監査に怯え慌てる部下に買い戻してくるよう命令する。
ボンドたちが競売所で張り込んでいると、美女が現れ、普段は売り専門のカマルに耳打ちすると、カマルが「貴婦人の卵」を買おうとし、ボンドは値を釣り上げて本気度を確かめ、買い終えたカマルを仲間に後を追わせた。
ボンドはMに必要以上の行動を叱られるが、貴婦人の卵を偽物とすり替えており、今からカマルを追ってインド・デリーへ行くと報告した。Mは本物の貴婦人の卵の代金を、政府の伝票で切った。
ボンドはデリーでサドルディーン支局長達に迎えられ、カマルに会いにホテルのカジノへ。そこではカマルがバックギャモンをイカサマで勝ち続けており、ボンドは卵を見せ、勝負。ボンドはカマルのイカサマサイコロを借りて勝ち、20万ルピーを奪い、去る。だがカマルの部下達に追われ、ボンドたちは人込みに逃げ込み、結婚式や曲芸の中へ。それでも撒けず、現金をばらまいて、ポスターをぶち破って逃げるのに成功した。
ボンドはQから発信機を取り付けた卵を受け取り、ホテルへ戻ると、カマルの美女から誘われ、食事をしてから彼女の部屋へ行くと、オクトパシーのタトゥーをした彼女に卵を奪われ、別れのキスをされ、ベランダに結んだショールを伝って車で逃亡。ボンドはそれを見送るが、部屋に侵入していたマグダによって気絶させられた。
カマルは卵の奪還を電話で報告。報告を受けた女性は、タコにエサをやりながら、今度はボンドを連れて来るよう命令した。
一方ボンドは、監禁場所の鉄の格子をQからもらったペンの特殊インクでぶち破り、ヘリで現れたオルロフを見かけ、後を追う。盗聴すると、オルロフは模造品を受け取り、偽物の卵を壊して帰っていった。するとカマルが盗聴器に気付き、近くに隠れていたボンドは運び出される死体の袋に紛れて外へ。そして翌朝、袋から勢いよく飛び出し、ジャングルの中へ。気付いたカマル達はすぐに追い、ボンドは追手とトラ、クモ、ヘビ、ヒル、ワニをかいくぐり、川にいたツアー船へと逃げ切る。
仲間の元に戻り、女ボス・オクトパシーの事を知ったボンドは、ワニ型潜水艦でオクトパシーの館に潜入。オクトパシーに迎え入れられ、かつてボンドが任務中に追ったオクトパシーの父・デクスターに、名誉の死を選ばせてくれた事に感謝。そこにカマルが詫びに来て、厚遇を受けるボンドに驚き、次第に苛立ち、戻って殺し屋に依頼した。
オクトパシーはダイヤの密輸をはじめとする商売を営んで裕福に過ごし、仲間に引き入れる事を込みでベッドに誘うが、ボンドに断られ怒り、ボンドは詫びてキスをしてベッドへ。
オクトパシーの館の対岸で見張りをしていたQと交代した現地局員BJが殺し屋に始末され、殺し屋達は館へ。
ボンドはベッドルームに乱入して来た殺し屋達のヨーヨーノコギリをかわしながら、オクトパシーと協力し、殺し屋達と戦って水中へ。殺し屋がワニに食われ、ボンドが上がって来ないので、オクトパシーは嘆き悲しむのだった。

結末 ネタバレ注意

一方、ボンドはそのまま対岸の仲間の元にワニ型潜水艦で戻り、変わり果てたBJをQと弔う。そして、カール・マルクス・シュタットのオクトパシー・サーカスへ行く事を告げ、向かう。
サーカスの中に入ると、中にはオルロフとカマル達がおり、ボンドはスタッフに変装して、駅に着いて、貨車の中へ入っていく奴らを追った。
貯蔵所の監査が行われ、ゴーゴル将軍が贋物に気付いた頃、オルロフ、カマル、オクトパシーは大量の宝石をサーカスの備品に隠し、列車で運ぼうとしている事をその貨車の下で聞いていたボンドは、しかしその貨車がトンネルで別の貨車とすり替えられる現場に遭遇。すり替えられたもう一台の貨車には核爆弾が載っていた。
爆弾列車が出発し、ボンドは宝石の貨車に潜り、中で溶接をしていた双子のナイフ使いの片割れと戦闘、倒して服を奪い変装し、ナイフ使いを人間大砲に隠し、宝石を部下が自分の車に積み込むのを確認したオルロフが覗きに来たところを捕まえて、詰問。オルロフは西側で事故に見せかけて核の悲劇を起こす事で軍縮した所に一気に攻め込もうと画策していた。
だが声を掛けに覗いたオルロフの部下に気付かれ、銃撃戦を展開している内にオルロフに逃げられ、ボンドはオルロフの車を奪い、防衛網を突破。車止めの鉄の爪でタイヤを引きちぎられるものの、ホイール剥き出しの状態で線路に乗り、列車を追った。オルロフも後を追った。
必死に列車を追走するボンドだが、機関士にポイントを替えられ、アクセルを傘で固定して列車に飛び移る事に成功。車は対抗して走る列車に弾き飛ばされ、川に落ちた。
ゴーゴル将軍が到着し、事故車の処理で宝石を見つけオルロフの企みに気付き、ヘリでオルロフを追う。オルロフは列車を追うのに必死で、国境をまたいでしまう事を制止されているのに気付かず、撃たれてしまい、ゴーゴル将軍に叱責されるも、不敵な笑みを残して絶命した。
列車は検査を通り、西側へ突入。貨車内では、カマルの指示で3時45分にタイマーがセットされ、ゴリラの着ぐるみに隠れていたボンドは焦り、異変に気付いたマグダが斬りかかる。しかし中身は空っぽ。ボンドは寸前に屋根から外へと渡っていた。
そして外からオクトパシーを見つけ、爆弾の事を伝えようとするが、カマルに見つかりマグダ、もう一人のナイフ使いと戦い、ナイフ使いと落車する。
ボンドは森の山小屋でナイフ使いに、ナイフで磔にされるが、そこがドアだったのでとどめの一撃をかわし、返り討ちにして、森を抜け、目的地へと走って急いだ。
そして、サーカス列車は米軍基地に到着。司令官は大喜びで迎え入れた。
ボンドは林道をヒッチハイクして街へ。だが電話ボックスが婦人に先を越され、ボンドは婦人の車を拝借して基地へと急ぐ。
途中パトカーに追われ、逃げるカマル達の車とすれ違い、ボンドは入り口をやむを得ず強行突破。ピエロに変装し、警官隊に追われながらテントの中へ。だが司令官に信じてもらえず、オクトパシーにロマノフの星を見せて、核を解除しようとするのを取り押さえられ、オクトパシーが開き、司令官の許可を貰い、ボンドが解除した。
オクトパシーは女性部隊を率いてカマルの宮殿に侵入。見張りを片付け、中へと入り、カマルを問い質すがシラを切られ、気付いたマグダが外から戻り、男と女の戦争が始まる。そこにボンドとQが気球で現れ、カマルとマグダはオクトパシーを気絶させ、馬に乗ってセスナへ。ボンドもそれを追いかけ、馬からセスナに飛び乗った。
宮殿での戦闘はQが女性達を助太刀し、一方ボンドはセスナの屋根にしがみつき、プロペラを一つ止め、命令で渋々外に出てきたマグダをアンテナでたたき落とす。
セスナは落下し、崖の手前でボンドはオクトパシーと脱出。セスナは墜落。2人は崖から引き上げられた。
ゴーゴル将軍とイギリスの上官が大人の会話で事件を上手く処理し、ロマノフの星返還を求められ、Mはボンドが重傷で療養中と報告。
ボンドは包帯姿でベッドに横たわっていたが、寄り添うオクトパシーががっかりするので、包帯を外して、船の中で楽しんだ。
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管理人の批評

1983年、イギリスの作品です。
共演:モード・アダムス ルイ・ジュールダン クリスティナ・ウェイボーン
007シリーズ13作目の作品にして、ロジャー・ムーア6本目の作品は、巨大長編となりました。他の作品に比べて、あまりにも上映時間が長い。通常、こういう場合は登場人物に多くの因縁やバックボーンがあるのですが、それが長編の理由となる個所が一切なく、ただただ物語の壮大さだけでここまでの尺を取るのは、かなりやりすぎだったんじゃないかと思います。
ボンドとMI6とゴーゴル将軍以外はシリーズ初登場であり、なおかつ次の作品にも登場しないにもかかわらず、端的なキャラクター描写だけで、後は派手なアクションや多数のカットに多くの人を用意する。おそらく相当な力の入れようです。当時のボンド人気を窺い知れます。
ただ残念な事に、近年ではあまりの尺の長さから、テレビで再放送されるチャンスはあまりありません。今では007シリーズを追求しようとする人しか、この作品の存在は知らないかと思います。
設定はやはり東西冷戦構造とドイツの状態を盛り込んだ作品なわけですが、今思えば、ドイツというヨーロッパの国の一つが他国の都合で二つに分けられていたというのはかなり異常な事態であり、壁を一つ壊しただけで、よく元に戻ったなと感じます。本当に真っ二つになってしまったのが朝鮮半島で、その問題は大きく我々を悩ませています。一つになるということは難しいほど、時が経ってしまいました。
ただ、現実の問題を利用して物語を作るというのは、一つのシミュレーションになり、その場合の想定に役立ちますから、物語としてはどんどん作るべきだと思います。何らかの対策になるかもしれないというのが、人間の鑑賞意欲をそそっているのかも知れません。
この作品は純粋なエンタテインメントですから、何か学べたり、明日の糧になるわけではありませんが、この作品で女性に対する振る舞い方というものを考えてみてはよろしいかと思います。