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アラビアのロレンス

ピーター・オトゥール主演作品。
イギリスで偉大な軍人ロレンスがバイク事故でこの世を去り、多くの人々が悲しみに暮れながら、葬式に訪れた。
彼の想い出を語る人たちの評価はさまざまで、だが一貫して言えるのは、彼が軍部でも変人で通っていた事だ。話は若き日に遡る。
ロレンス中尉は、地図作成の任務に就いていたのだが、上官に呼び出され、砂漠の民ベドウィンの王子、ファイサルを捜し、彼と接触するという任務を承る。ベドウィンはアラブの民だが、まだ知的レベルが低く、技術も乏しいので、対峙するトルコ軍の攻撃に晒されており、イギリス軍はベドウィンに協力する事で、彼らを吸収しようと考えていた。
ロレンスはベドウィンを捜し歩き、ついに見つけ、トルコ軍に飛行機になすすべなく攻撃される様を見て、彼らへの協力として、アカバにあるトルコ軍基地を、たった50人で奇襲する作戦を提案。ファイサル王子はそれに反対。なぜなら井戸も街も無い砂漠を人間とラクダの生命ギリギリまで横断する必要があったからだ。しかし、ロレンスはやってのけると宣言した。…続く。

結末 ネタバレ注意

ロレンスはベドウィンの兵士50人を連れ、砂漠の無補給横断を決行。途中、仲間の一人の姿が見つからない。砂漠の民は慣習に倣い、彼を見捨てようとするが、ロレンスだけは危険を承知で砂漠に戻り、限界ギリギリまで彼を捜し、救出した。その姿を見たベドウィンはロレンスを称賛し、ロレンスとベドウィンは強い結び付きを得た。
ロレンス達は立ち寄った井戸で補給をしようとして、所有権を主張する盗賊達に襲われる。ロレンスは何とか話し合いに持って行き、彼らの巨大なキャンプで、共にトルコ軍を倒して、眠っているはずの大量の資産を渡すと約束し、仲間にした。
翌日、出発の準備を整えていると、些細ないさかいが起きている事が発生。ロレンスはリーダーとして、揉め事を起こした張本人を処罰することになり、盗賊のリーダーの求めに応じ、処刑をしようとするが、揉め事を起こした張本人とは、ロレンスが砂漠に戻ってまで助けた、あの男だった。ロレンスはためらいながらも、彼を銃で処刑した。ロレンスは苦悩し、ベドウィンの幹部は、「彼は砂漠で死ぬ運命だった」と慰め、ロレンスとベドウィン、盗賊達は進軍した。
そしてロレンス達はトルコ軍基地のあるアカバを奇襲。アカバの砲台は海に向いており、よもや陸路で責められるとは思っていないトルコ軍は全滅。ロレンスの読み通りだった。
財宝の無い事に腹を立てる盗賊を取りなし、ロレンスは奇襲成功の報告をイギリス軍に報告するため、単独でカイロへと砂漠を横断。2人の子供の従者を連れ、一人を砂地獄に生き埋めにされ、汚い身なりでカイロに到着。
ロレンスは最初の命令と違う事を上官に叱責されながらも、トルコ軍を撃退し、アカバを手中に収め、ベドウィンや盗賊達のリーダーになったという結果の有効性を説いた。そしてイギリス軍はロレンスへの協力を約束し、ロレンスは、仲間の軍人たちから、賛辞を浴びるのだった。
休憩
アラブに戻ったロレンスは、盗賊達とトルコの輸送列車を繰り返し襲い続けていた。だが、その度に利益を得た盗賊達は少しずつ減っていき、ロレンスは次第に求心力を低下させていった。
困ったロレンスは、わざとトルコ軍に捕まってみせる。だがそこでトルコ軍の幹部から受けた尋問(拷問)により、ロレンス自身の碧い瞳や髪の色が、ロレンスが決してアラブ人とは相容れない存在であるという事を認識させられてしまう事になった。
解放されたロレンスは仲間に介抱され、一度、前線を離れることにした。
しかし、ロレンスは命令で止む無く前線に戻る事になり、金で2000人のアラブ兵を集め、策も無く力押しで、トルコ軍の本拠地ダマスカスに侵攻する。その中でもロレンスのグループは、トルコの敗残兵を狂ったように殺戮し、ダマスカスに一番乗りして占拠する。
ロレンスは盗賊上がりのアラブ兵たちのグループそれぞれのトップを集め、アラブ民族会議を開き、アラブの地をアラブ人だけの政治で統治させようとしていた。
だが、蛮族のアラブ人たちの知的レベルが突然高まる訳も無く、会議は崩壊。計画は頓挫。結局、イギリスがアラブの発展に力を貸す事になり、ロレンスは絶望してイギリスへと帰還した。
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管理人の批評

1962年、イギリスの作品です。
何よりもこの作品は、4時間近い大作であるという事をお伝えしなければなりません。休憩(インターミッション)がありますが。
その理由の一つが、実話に基づく作品だという事です。人間の一生を描く作品はどうしても長くなってしまいます。(テレビドラマ天皇の料理番は全19話)
その4時間の中で小気味の良い伏線を張ったり、あっちこっちでの物語の展開や人物の心情の変化があったりして、たまにしか出て来ないイギリス人達の顔を覚えるのはなかなか難しいものがありました。
この映画を見ると、人間の一生というものを考えさせられます。どんなに偉大な英雄も、他人の評価に納得していない事や、結果に納得していない事が多々ある事でしょう。そして諦めるときが来て、人間の一生は儚く終わってしまう。
冒頭のシーンが示すように、人の評価は様々です。そして人はあっという間に死んでしまいます。最初から最後まで、人生は何が起こるか分からない。今流行の「置かれた場所で輝く」という言葉のように、一所懸命生きてみようと思いました。
主役のピーター・オトゥールさんの引退は残念ではありますが、仕方がありません。