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レナードの朝

ロバート・デ・ニーロ&ロビン・ウィリアムス主演 ペニー・マーシャル監督作品。
冬、友達と海のそばの遊歩道で遊び、ベンチにナイフで自分の名前を彫るレナード少年は、腕が硬直しだす。
やがて、学校の授業でテストがあり、レナードだけが提出していないと気付いた先生は、レナードの机からノートを見つけて開くと、そこにはペンが波打つように張った跡が。
以来、レナードは自室のベッドで休むようになり、友達が誘いに来ても、母親は断るしかなかった。
数十年後、1969年、ベインブリッジ病院神経科に研究者の口を求めて訪れた医師マルコム・セイヤーは臨床医の募集と知り、帰ろうとするが、呼び止められ、大学を出るときの臨床経験だけで採用されてしまう。
慢性神経病の患者達を診察しては、帰宅して食事もそこそこに研究をする毎日。
だが、全く動かないと思っていた老婆ルーシーが、目を離した隙に落ちる自分のメガネをキャッチするために動いた事に気付いたマルコムは、「物の意思を借りた」と同僚たちに説明するが、同僚の医師達は「ただの反射」とマルコムに功を焦るなと諭し、撤退。落ち込むマルコムを、彼に付く看護師エレノア・コステロだけが信じる。
様々な患者の特殊な反応に驚くマルコムは、立ち上がって歩いているルーシーを手助けしようとするも甲斐が無く、側にいた、年老いた母親に呼びかけられる中年男性レナードに目を奪われ、彼女から言葉ではない会話の仕方の存在を知る。
エレノアからのお茶の誘いを断り、帰宅してピアノを奏でるマルコムは、20年代に流行した嗜眠性脳炎との共通点を気付き、発見者のP・インガムを訪ね、患者達の心は失われたと告げられるが、ケンケンパをする患者の映像を見て、ルーシーが立ち止まったのは、法則性が無くなったからだとタイル模様を描き足し、ルーシーは窓まで歩き、外を眺める事が出来た。
マルコムはレナードの母を訪ね、そしてレナードの脳波には名を呼ぶと反応があると知り、ボールを投げるとキャッチする患者を集め、彼らを車座にさせ、キャッチボールをさせる事に成功する。
そして患者には音楽やカードなどそれぞれに反応を示す物があり、レナードに字を示させると、レナードは「鉄柵に囲まれ、囚われている」と示した。
マルコムは薬の研究学会に出席し、パーキンソン病患者のために作られたドーパミン増幅新薬「L・ドーパ」を実験もまだの状態で使いたいと考える。
マルコムは「硬直」ではなく、「極度のけいれん」と考え、確証もないまま、レナードの母親を親子のためにと説得し、薬をオレンジジュースやミルク、そして徐々に増量させながら投与していく。
そしてある夜、レナードはベッドを抜け出して字を書き、マルコムに挨拶すると、翌朝、母と抱き合った。

結末 ネタバレ注意

動くレナードの姿に職員達も驚き、レナード自身もポラロイドカメラ自体や、それに映る年老いた自身に驚く。
母の子守唄で眠り、生活に馴染んできたレナードはとうとう、マルコムと街へ外出。ドライブしながら街並みや文化の変化に驚き、あの遊歩道のベンチに座ってソフトクリームを食べ、海へと浸かる。
そんなレナードの元気な姿に、マルコムは同様の全患者への投与を考えるが、計算では費用は月額1万2000ドル。悩む経営側だったが、エレノアを始めとする同僚たちも出資し、マルコムも苦手ながら、レナードの映像を見せて、スポンサーを募る。
そして薬の投与が始まり、ある夜3時、患者達は目覚め、動き出した。職員達は驚き、喜ぶが、ルーシーは現在は1926年だと思っていた。
一方、レナードは病院で、父の見舞いにやってくれる若い女性ポーラに目と心を奪われる。
バスに乗って皆で外出をするはずが、レナードだけは母を追い返し、一人病院に残り、ポーラに話しかけ昼食。
患者達は、マルコムが連れてきた植物園に不評で、ディスコクラブへ向かう。
レナードはポーラを励まし、帰るのを見送った。
次第に現状を把握してきた患者達は、落ち込んだり、開き直ったりと反応は様々。レナードはポーラが来ると母を置き去りにして向かい、母を呆れさせた。
夜、マルコムは電話でレナードに呼び出され、朝5時まで、生きることの素晴らしさを伝えるべきだと熱論される。
そしてレナードは自らの健康を理由に、自由な外出を求めるが、その申し出は却下されてしまい、レナードは玄関へと向かうが、警備員たちに止められ、倒され、自分とは違う症状の患者隊を焚きつけ、ハンガー・ストライキに入る。
だがそれは薬の拒絶でもあり、激しい副作用に襲われるレナードを、マルコムは諭そうとするが、逆に孤独な生活を責められ、突き飛ばされる。
その夜、レナードは壊してしまい、落ちたマルコムのメガネをテープで修復し、朝、マルコムにうずくまっているところを抱きかかえられ、レナードは同病の患者達の前に姿を見せ、けいれんする姿を見せて、彼らの未来を教える。
レナードは体が徐々にまた動かなくなり、その模様をマルコムにしっかりと記録させる。
一方マルコムも薬をどんどん増量させるが、効果は無く、レナードは悩み苦しみ、母も悲しむ。
レナードはポーラに別れを告げ、ポーラはレナードを誘い踊る。
マルコムは記録ビデオを見返し、自分のした事を後悔するが、エレノアに励まされる。
そして患者達はまた動かなくなった。
マルコムは後援者達に「人間に大切なものを教わった」と報告。
そして帰るエレノアを呼び止め、食事に誘った。

それから、マルコム達は何度か新薬が出てはそれを使い、患者達もわずかに目覚める事はあったが、1969年の夏のような奇跡は起きなかった。

1990年現在、彼は今もこの病院に勤務している。
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管理人の批評

1990年、アメリカの作品です。
この作品はオリヴァー・サックス医師の実話に基づく原作であり、彼の役を演じるロビン・ウィリアムスは彼の癖などを研究した結果、彼が「頭の回転が速すぎて言葉が追い付かず吃音状態になっている」事を忠実に再現したのですが、撮影見学に来られたサックス先生を傷つけてしまい、マルコムという役名にする事でサックス先生も了承されたそうです。
BSフジで放送された際、解説役のピーコさんがロバート・デ・ニーロをはじめとする患者役のアメリカの俳優さん達に賛辞を贈っていました。それほどに熱演されています。
もちろんロビン・ウィリアムスも負けてはいません。まず、コメディアン出身の彼にほとんど笑いをさせていない。それどころかツッコミ役です。数少ないロビンが笑いを取るシーンはアメリカ的ではなく、かなり日本的な笑いです。日常の中にある笑いです。数多い作品の中でもかなり貴重なのではないでしょうか?彼に白羽の矢が立つのはすごいと思います。
この映画は少々長いですが、ぜひ見てもらいたい作品です。「泣けます」とは言いません。「唖然とします」「唖然としてください」奇跡、衝撃、言い方は様々ですが、そのショックたるや、唖然とすること間違いなしです。
そうです。生きることは素晴らしいのです。病気になんか負けず、ただただ生きていてほしかった。ロビン・ウィリアムス氏のご冥福をお祈りします。