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勝利への脱出

シルベスター・スタローン主演 ジョン・ヒューストン監督作品。
ドイツ軍の収容所。ドイツ軍の元サッカー選手、シュタイナー少佐はサッカーに興じる捕虜たちの中に、プロ選手のジョン・コルビーを見つける。
シュタイナーは早速コルビーを呼び、ドイツ軍のサッカーチームと試合を希望する。コルビーは条件として、出場選手の物質・栄養面での補償の充実を求め、呑ませた。
コルビーは早速チーム作りを開始。上手な捕虜をメンバーに選ぶが、捕虜の中での上官に呼ばれ、脱走計画を考えるよう指示されるが、それは上官たちの娯楽となっているのは周知の事実で、コルビーは断る。
一方、チーム作りに必死でアピールする男が。だが彼、ハッチ(シルベスター・スタローン)はプレーが下手で相手にされず、上官に脱走計画をそそのかされ、受ける。
コルビーはシュタイナーに呼ばれ、試合が上官たちの耳に入り、大事になり、独軍代表選抜チームと、パリで試合をする事になったと告げられる。
コルビーも全収容所代表選抜という事で、各収容所にいるはずのポーランドやチェコの選手達を探してもらう事に。
脱走準備を整えるハッチだったが、サッカーチームのせいで整備兵が替わってしまい、コルビーに責任を取らせるため詰め寄り、チームに入れてもらう。
コルビーは、試合は独軍の優勢を伝える為のプロパガンダ(政治的広告)であると見抜きつつも、チームの練習を始め、見つかり連れて来られた東欧の選手たちの衰弱しきった姿に、彼らを救おうと試合を行う気になる。
そして練習の傍ら、ハッチにはゴールキーパーの才能がある事を見出した。
だがハッチは上官たちから、脱走してレジスタンスに接触し、サッカーチームを脱走させる手引きを求めるよう指示し、ハッチはシャワータイムに身を潜め、脱走に成功した。

結末 ネタバレ注意

パリのレジスタンスに接触したハッチはサッカーの試合の事を伝え、レジスタンスは競技場と下水道が使えると判断し、手を貸す。
一方、収容所では、ハッチが消えた事に騒ぎだした。
せっかく脱出し、喜ぶハッチだったが、方法を連絡するために、また収容所へと戻る事に。
捕まったハッチは独房へ。戻ってきた事に、状況を理解した上官はハッチと接触するため、コルビーに命令。コルビーも仕方なく、ハッチはゴールキーパーだと説明し、必要である事を証明するために、現GKのトニーの腕を折った。
試合当日、二つのチームとドイツ軍は競技場に入り、レジスタンスも動く。
試合前、フランソワ少年に、決行はハーフタイムで控室に戻って来た時だと告げられる。
試合開始。圧倒的にアウェーの環境で、ドイツチームに次々と点を入れられ、更にラフプレーも連発され、退場者も続発する中、1点入れ返し、前半が終了した。
ハーフタイム。控室に戻り、シャワーの浴槽の下が開き、トンネルへと降りるハッチ。だが他の皆は闘志に火が点き、後半で逆転しようと言い出し、必要なハッチを引き止める。
後半戦、出てきたチームに捕虜の上官は呆れ、チームは2点を決め、4−3に。4点目も決めるが、まさかのノーゴール判定。
10番もケガから復帰し、オーバーヘッドキックで同点に並ぶ。
その姿にシュタイナーは感動し、客席は連合軍への応援に転じ、大熱狂。
そしてファウルからPKになり、客席が熱唱。
連合チームが点を決め、ハッチはボールをセーブ。
すると観客が芝生へとなだれ込み、チームは変装させられ、人ごみにまぎれて競技場から脱出した。
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管理人の批評

1981年、アメリカの映画です。
捕虜が割と自由だと思う方もいるかもしれませんが、捕虜の扱いというのは大日本帝国とは全然違います。捕虜になっても、人間としての権利は守られます。欧米と大日本帝国の捕虜の扱いの違いについては、「戦場にかける橋」でも描かれていますので、ぜひそちらもご覧ください。
今作ではシルベスター・スタローンがまさかの三枚目を演じるというレアな作品です。全然強く見えないその姿に、やはりスタローンは映画人なんだと、映画を愛しているんだと、思わされます。
サッカーが上手いから、逃げる事が出来た。芸は身を助くという事を実感させられる一本です。
そして、月並みな表現ではありますが、サッカーやスポーツという、国境を越えて盛り上がれるものだからこそ、平和の象徴に成りえるのだと思いますが、ラフプレーという言葉がある事自体が、暴力や悪意、というものが人間の中に潜んでいる事をついつい思ってしまいます。
ですが、それを凌駕するものがあった時、人々は感動という、心を一つにする方法を、奇跡を味わう事が出来るのです。
東京オリンピックを2020年に控え、その開催すら是非がある中で、「経済効果の高いビッグイベント」ではなく、「平和の祭典」をどうやって成立させるか、そしてスポーツを「健康な肉体の贅沢」などではなく、「ルールを守って大切なものを得られるもの」として、この映画を観て考えてみてはいかがでしょう?