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グラン・トリノ

クリント・イーストウッド主演兼監督作品。
妻に先立たれた老人ウォルト・コワルスキーは評判の頑固ジジイ。隣人の中国人や、息子や孫とも仲が悪い。
そんな彼が愛してやまないのが、所有する愛車、72年式グラン・トリノだった。
その愛車を隣の中国人少年タオが盗みに現れ、追い返すが、黒幕は中国人のチンピラ達だった。
そのチンピラ達や黒人たちに付きまとわれるタオと、その姉スーを助けたウォルトは、姉弟と関わりを持つ事で、少し見直す。
家族に施設に入れられそうになったウォルトはスーに誘われ、隣家のパーティーに参加。そこにいた祈祷師に心を見抜かれ、彼らの交わり方に好感を持つ。
強引な中国人の彼女達は、ウォルトに贈り物を大量に届け、償いにとタオを労働力として差し出す。仕方なく、タオを向かいの空き家の修復に行かせ、その働きぶりにタオを見直すが、自分の吐血する姿をタオに見られ、2人は交流を持つようになり、ウォルトはタオの世話をするようになる。

結末 ネタバレ注意

タオがチンピラである従兄達に絡まれ、ウォルトは仇を取りに一人を殴って、良い含める。そして憧れるタオにグラン・トリノを貸す気になる。
だがチンピラ達がタオの家を襲撃。外出中のスーを暴行し、ウォルトは悔やみ、荒れる。
復讐に燃えるタオを、ウォルトは抑え、庭の芝を刈り、風呂に入って一服し、髪と髭を整え、スーツを新調。教会で懺悔をし、家で銃を手入れしていると、タオが現れ、地下室へと誘い、閉じ込める。
犬を預け、スーに後を任せる電話を入れ、スーが地下室の扉を開けてタオを解放。
その頃、ウォルトはチンピラ達の家を訪問。大勢の目撃者の前で、胸に手を入れた所を、チンピラ達に銃殺された。
だが、ウォルトの手にはライター。彼は丸腰だった。そしてチンピラ達は全員逮捕された。
葬儀の後、ウォルトの家に集まり、親族たちの前で弁護士が遺言状を読み上げる。最後の一文には、グラン・トリノをタオに譲ると記されていた。
タオはウォルトの愛犬と共に、グラン・トリノを走らせた。
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管理人の批評

2008年、アメリカの作品です。
当初、イーストウッドはこの作品を持って、俳優業からの引退を考えていましたが、『人生の特等席』という作品に出逢ってしまい、延期となってしまいました。そのせいか、今ではあまり語られにくく、地味な作品と取られがちです。
私の個人的見解ですが、アメリカは意外と、アクション映画は人気ですが、カーアクションや車を取り扱った映画はあまり人気がないイメージがあります。
もちろん、「ワイルド・スピード」シリーズなどありますが、車の能力よりも人間の能力に惹かれるのでしょうか。もしかしたら一番好きのアメリカが、フォードやダイムラー・クライスラーがトヨタに負けているという事が起因しているのかもしれません。
この作品のテーマは「遠くの親類より近くの他人」。最近は様々な事情から異邦人が世界中に現れておりますが、特に日本でも、外国人観光客の増加だけでなく、移民を積極的に労働者として受け入れ、脱日本化した地区もあります。ですがアメリカは移民社会。異邦人の住民をどう思っているのかと考えましたが、昨今の大統領選に関する政治情勢を見ると、どうやら好意的ではないようです。
この作品はイーストウッド以外ほとんど知らないような役者さんたちばかりです。この脱商業的な感じが、監督として目指している事なのかもしれません。
近年はずるい、小ずるい、狡賢い人たちが笑い、白を黒に変え、正義の鉄槌を意に介さない人たちが増えてきました。それどころか正義の鉄槌の方がその在り方ばかりを問われる始末。悪は次々生まれているのに、正義は後手後手に回り、何もしないで過ぎて行こうとするばかり。知恵を絞って、相手の上前を撥ねるしかありません。今回のウォルトのような手法は決して推奨されるものでなく、相応の覚悟がなければできませんが、今の時代はスマホとかありますから、どんどん決定的瞬間をネット上にアップしてやりましょう。
もう自分がヒーローと呼ばれる時代ではない。それを表現したくて、この作品を撮ったのかもしれません。