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クレイマー、クレイマー

ダスティン・ホフマン メリル・ストリープ主演 ロバート・ベントン監督作品。
幼い息子ビリーを寝かしつけるジョアンナ。夫のテッドが昇進して順調な仕事に浮かれて帰宅するやいなや、別れを切り出し出て行くと言い出す。
驚くテッドは考えうる限り誤解を解いたり、詫びたりするが、ジョアンナは自分の責任だと出て行ってしまった。
テッドはジョアンナの親友マーガレットを呼んで、感情をぶつけるが、彼女は無関係。
翌朝、7時45分にビリーに起こされたテッドは、ジョアンナがいないことを説明し、慣れない朝食のフレンチトースト作りに手を焼き、ビリーを学校へ急いで送り届けて出社。上司に釈明すると心配されてしまい、振り払う。
家で仕事をしようにも、ビリーがはしゃぎまわり、とても手に着かない。
そしてジョアンナからビリー宛に手紙が届く。ビリーは「生きがいを探すため戻らない」という内容にショックを受け、テッドはジョアンナの物を片付け始めた。

結末 ネタバレ注意

同僚との付き合いも悪くなり、ビリーの迎えにも遅れてしまうテッド。ビリーが、片付けたジョアンナの荷物からジョアンナの写真を取り出して隠し持っている事を知り、飾る事にする。
マーガレットと公園で夫婦のあり方について語り合い、慰め合うようになるテッド。だが、子育ては仕事に支障を来し、契約に失敗。そんな中ビリーのわがままが目立ち出し、強めに叱るテッドだったが、母がいない寂しさの表れだった。
仲直りをするテッドとビリー。テッドはジョアンナを無理矢理ママにしようとした事を反省した。
ビリーのハロウィーンの晴れ姿を見て、テッドは仕事で知り合った女性フィリスを家に連れ込み、一夜を共にするが、翌朝、ビリーに見つかってしまう。
ビリーが自転車に乗れるようになり、いつものように学校へ送り届けたある日、その様子を遠くからジョアンナが観ていた。
公園でマーガレットに再会したテッドは、彼女に新たな男性との出逢いがあった事に喜ぶ。だがビリーが遊具から落ちて、テッドは病院に担ぎ込む。ビリーは頭を切り、10針縫う事になり、傍らで励ますテッドはその夜、もし自分に何かあった時の後の事をマーガレットに頼んだ。
電話を貰い、テッドは元気になったジョアンナと再会。ジョアンナが2人を見ていた事や、近況を知るが、ビリーを引き取りたいと言い出したため、テッドは怒って席を立つ。
弁護士に相談したテッドだが、父親は不利だと言われ、仕事を弱めるよう忠告される。だが、上司に昼食に誘われ、仕事が他社に流れた責任で、クビを言い渡される。
裁判が近日に迫り、急いで職に就きたいテッド。だがクリスマス前でどこにも口は無い。焦るテッドはクリスマスパーティー中のノーマン美術商会に強引気味に迫り、採用してもらう。
ビリーに新しいオフィスを見せるテッド。弁護士伝いに、ジョアンナからビリーに会いたいという知らせがあり、公園へ。ビリーはジョアンナに呼ばれ、駆け寄った。
ニューヨーク地裁にて、裁判が始まり、テッドはジョアンナが高額の年収を得て、恋人もいる事に驚く。しかしジョアンナも弁護士の厳しい追及には涙を流した。
2回目、証人マーガレットをジョアンナの弁護士が強引に落とし、マーガレットはジョアンナを諭そうとする。テッドも証人席に座り、手段を選ばない厳しい質疑は、双方に苦痛を与えた。さすがにジョアンナもテッドに詫びた。
雪の日、マーガレットは前夫チャーリーとヨリを戻す事になったと報告。
テッドは敗北。1月23日にはビリーを引き渡し、毎月の養育費は400ドルと決まった。
無論、テッドは上告を望んだが、弁護士から、勝つには「法廷にビリーを出せ」と言われ、断念する。
ビリーにその旨を伝えたテッドは、フレンチトーストを作る。
ジョアンナにマンションの外に1人で呼ばれたテッドは、ジョアンナから「ビリーを連れだせない」と言われ、話をさせる為、ジョアンナを1人で部屋へ送る。様子を聞かれたテッドは「ステキだ」と答えた。
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管理人の批評

1979年、アメリカの作品です。
原作:エイベリー・コーマン
共演:ジャスティン・ヘンリー
フジテレビ系バラエティー『明石家マンション物語』をご覧になられていた方なら、さんまさんが関根勤さんとやっていた『クレーマー、クレーマー』というコーナーを思い出されるでしょうが、その元ネタがこちらです。あの音楽、フレンチトースト、独身男と子供という設定、その意味がわかるかと思われます。(と言っても普通は逆でしょうが。)
このクレイマーというのは「クレームを言う人」ではなく、名字の事であり、メインキャストが男女でタイトルにVSが入っているという事は察しの良い方ならば『離婚劇』であるという事にすぐ気付かれる事でしょうが、同時に、家族という絆の物語であるという事も認識しておかねばなりません。
ダスティン・ホフマンというと『卒業』ですが、こういった心情描写の得意な俳優、そして心情描写を中心にした作品というのはアメリカではかなり珍しい、なによりそういった作品は得意なはずの我々日本人にも有名であるというのが、やはり珍しいでしょう。
思うに、旧時代の日本の結婚は家同士の結婚でした。当然離婚は家長が入り嫁、入り婿に突きつけるものであり、反論の余地も無く、その相手が家を飛び出してしまうなどは一家の恥でした。ところが、現在は農家をはじめとする家業など、封建的な制度が衰退したため、夫婦の権力は同等であるという認識が高まり、離婚に際しては、長期の話し合いが持たれるようになりました。
ですからこの映画は、来るべき将来の日本の離婚の姿を感じ取ったからこそ、日本でも名作のひとつとして、いつまでも後世に伝わっているのだと思われます。この作品のおかげで、離婚の哀しみを和らげる事が出来たのではないかと考えます。
現在、マタハラやモラハラなど、生活に関する様々な問題が浮かび上がり、非正規雇用などで家族を持つ事も遠のく中、考える事が山積みなのとは裏腹に、結婚や出産適齢期など、人体の機能との兼ね合いが社会と出来なくなっている現状。そんな中で、自分はどうすべきなのか、どうやって生きて行くのかを考え、ぶれないものを用意しておくというのは必要なんじゃないかと考えさせられる一本でした。