アル・パチーノ主演 マーティン・ブレスト監督作品。
厳粛な進学校であるベアード校の学生であるチャーリーは、週末休暇を里帰りではなく、掲示板のバイト募集の「親族の世話」に応募。
依頼者の女性ロッシは夫と子供達と家族旅行に出かけるため、その間の叔父の様子を見るだけということで、チャーリーはロッシの家の離れに住む叔父フランクと会ってみるが、元エリート軍人のフランクはかなり気難しく、よく酒を飲み、そして失明していた。
チャーリーは一度は辞退しようとするが、ロッシに懇願され、挑戦する。
一方、学校では一部の生徒達によりトラスク校長へのイタズラが行われ、校長は愛車の高級車と自身をびしょ濡れにされる。
怒りに燃える校長は犯人グループに当たりを付け、一人ずつ校長室に呼び出し、仕掛ける現場の目撃者であるチャーリーも呼び出され、証言との引き換えに、実家の貧苦ゆえの援助の申し出と、仲間意識との板挟みになりながら、週末を迎えることに。
チャーリーに酒量制限と散歩の義務を任せてロッシ達は家族旅行へ。そしてチャーリーはフランクの離れへ入ると、フランクは身支度を整え、ロッシ達に内緒でニューヨークに出かけると言い、チャーリーに荷物の準備をさせ、チャーリーはニューヨークへと連れて行かれることになった。
飛行機の席も高級ながら猥談を話すフランク。ニューヨークに着いてからも高級ホテルに部屋を取り、高級レストラン、さらにフランクの計画、目的を聞き、チャーリーは驚くのだった。
翌朝、フランク達はサプライズで兄ウィリー家族の家を訪ね、食卓を囲むが、フランクは歓迎されない。そこで甥のランディがキレて、チャーリーはフランクの失明が、軍人としての出世コースから外され、自棄になって手榴弾で遊んだ末の事故と知る。
翌日、フランクの横暴さにキレたチャーリーをなだめるため、フランクは銃弾を渡す。そして入ったレストランで待ち合わせ中の美女ドナの香りに惹かれ、フランクは声を掛け、タンゴを踊る。そしてその夜、フランクは女を堪能。その間高級車の後部座席で待つチャーリーは備え付けの電話で同級生のジョージに電話を掛け、ジョージは親に相談すると言い、チャーリーは混乱する。
翌朝、気分のすぐれないフランクを心配し、チャーリーは外に連れ出すと、フランクは高級車ディーラーへ入り、巧みに販売員を騙して、販売員も乗せず、チャーリーに試乗させる。そしてチャーリーはフランクの気分を上げるため、人気の無い裏路地でフランクと運転を替わり、フランクは暴走。警察に見つかるが、フランクは言葉巧みに取り繕い、注意だけで見逃してもらう。
ホテルに戻っても元気が無く、寝るというフランクは、心配するチャーリーをお遣いに出すが、チャーリーは不安になり、途中で部屋に引き返す。するとフランクは軍服に着替え、拳銃自殺を企んでいた。チャーリーは必死に説得し、抵抗。涙ながらに希望を訴え、引き止めた。
おかげで飛行機に乗り遅れたチャーリーを、フランクはリムジンで学校まで送る。そして朝、懲戒委員会が開かれる事になり、全校生徒が集められ、ジョージとその父、そしてチャーリーが壇上に上げられる。すると帰ったはずのフランクがチャーリーの保護者として出席する。
トラスク校長はまずジョージを尋問し、陥落。続いてチャーリーにも尋問し、沈黙を守るチャーリーを退学処分にしようとする。するとフランクが立ちあがり、激しく熱弁、チャーリーを守り、ベアード校と校長、そして犯人達を強く非難する。
教員たちによる協議の結果、チャーリーは不問。会場は生徒達のスタンディングオべーションに包まれる。
外に出るフランクとチャーリー。フランクは政治学のダーンズ女史から声を掛けられ、気を良くする。そのまま家に帰ったフランクは、庭で遊ぶロッシの娘達と仲直りする。それを見届けたチャーリーは、笑顔でリムジンに乗り、走り去った。
1992年、アメリカの作品です。
個人的に、私が人にオススメしたい、人生において何度も観たい、最高傑作と思われる作品の一つです。
と言っても、共感できるのは「学生時代にあまり恵まれなかった、生きるのがヘタな、男性」に限られると思います。
とにかく、アル・パチーノの演技が凄い!サングラスをしろ!と思うくらいしつこい失明の演技を見事に見せつけてくれます。そして下ネタの連発。映画の3分の1くらいは下ネタを喋っています。
なによりアル・パチーノの長セリフ。今更長セリフくらいで何を評価しているんだ、と思われるでしょうが、長セリフに乗せる演技が素晴らしい。全体を通してとにかくよく喋ります。
そしてチャーリーの為に熱弁をふるうクライマックスシーンは圧巻です。ぜひ見てもらいたい。
この映画のテーマは、友情だと思います。年齢差など関係なく、いやむしろ、年が離れているからこそ経験値があり、頼りになる。うだつの上がらないあの時代、こんな人に傍に居てほしかった。
この映画は正直貧乏なあなたにぜひ見てほしい。ですが、この映画は結構尺が長い。3時間近くあります。
ただ、見知らぬ他人から信頼を得るにはそれだけの時間が掛かる、という事を感じ取ってください。
2018年8月放送のTBSラジオ「アフター6ジャンクション」の中で、木村拓哉さんが『武士の一分』で開眼の盲目者を演じるに当たり、この映画を参考にされたという事を、おっしゃっておりました。