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昭和残侠伝 唐獅子牡丹

高倉健 主演 佐伯清監督作品。
昭和の初め、宇都宮。花田(高倉健)は若い恋人同士の2人を逃がすため、女につきまとっているヤクザの親分を引き受け、引き下がる条件として、敵対する組長を斬った。
3年後、勤めを終えた花田は斬った組長・秋山の墓参りに行き、秋山の妻・八重(三田佳子)とその子に出会ってしまう。
そして秋山の榊組の様子が気になった花田は、榊組の生業である石切りの現場を見に行き、榊組が嫌がらせを受けていることを知った。
榊組は伝手を頼って石工を呼ぶものの、駅で石工は榊組の敵に行く手を遮られ、暴行を受けているところを花田は助ける。花田はその石工を榊組まで送り、立ち去ろうとするが、秋山の妻子に強く呼び止められ、ねだられて子どもを祭に連れて行く約束をする。
花田は榊組と敵対する左右田組の申し出を断り、祭りで絡まれ、甘んじて暴行を受ける。だが無抵抗を子供に見られ、嫌われてしまう。
夜、花田は飲んでいると、左右田組の賭場で腕利きの石工が奪られかけていると聞き、仲裁に入り、事を収める。
大口発注から漏れた左右田組は腹いせに榊組への妨害を強め、元榊組の石工で左右田組の親分・虎松は石を売るよう詰め寄る。
花田を探して、昔逃がした若い二人の営む飲み屋に押し掛けた左右田組は、亭主のシュウヘイ(津川雅彦)とケンカする。
花田は左右田組を訪ね、シュウヘイたちへのけじめで、左右田への協力を断る。虎松は仕事を賭けようとする八重を足止め工作し、八重は花田に助けられるが、体調を崩し、花田は思いがけず看病をすることに。そして気が付いた八重に、花田はとうとう正体を明かし、姿を消した。

結末 ネタバレ注意

正体を知った榊組のタケシは花田を殺そうとするが、兄貴分のケイが現れる。
榊組は花田を呼び出し、ケイは勝負を求める。しかし八重とシュウヘイが止めに入り、勝負は取りやめに。
ケイも加わり、順調に石の切り出しを始めるが、左右田組はダイナマイトを使い、止めさせようとした直治が死ぬ。
石を傷つけたことに、虎松は激怒。花田を狙うよう仕向ける。一方、花田は支度を整え、秋山家を遠巻きから眺めた。するとケイに声を掛けられ、共に行くことに。
2人は臨戦態勢の左右田組へ殴り込み。ケイは刺されるも、相討ちに持ち込む。花田に虎松が山にいることを伝えた。
花田は猟銃をぶっ放し、日本刀で次々と斬り、旅立ちに気付いたシュウヘイが応援に駆け付ける。だがシュウヘイはダイナマイトにやられ、花田は狂った弥一を斬り、爆破させた。
そして虎松との一騎打ちとなり、虎松は斬られ、岩山から落ちて行った。
花田は子に呼び止められ、陰で見ている八重に気付きつつも、子を励まし、振り向かずに去って行った。
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管理人の批評

1966(昭和41)年、日本・東映の作品です。
共演:三田佳子 津川雅彦
昭和の映画スター、高倉健さんの人気シリーズの一つ、『昭和残侠伝』は、主に仁義を重んじる渡世人のやくざが、汚いやり方を行う悪い奴らを斬っていくという、一種の時代劇的な作品です。
裏社会を描いた作品でありながら、人気を博したのは、やはり主演の高倉健さんや、時代劇的な要素もありますが、今の暴力団に該当するやくざとは少し違うからでしょう。
今のやくざ・暴力団から想像するのは、麻薬や銃の闇取引という犯罪でしょうが、昭和のこの時代のやくざは主に、露店商を営むテキヤや激しい肉体労働に勤しむ、気性の荒い人々というイメージが強かったです。それから徐々に現代のようになっていったのは、そういった労働や形態が、社会の発展により不要になってきたことが要因でしょう。
舞台が宇都宮ということで、大谷石の採石場が設定として取り入れられました。大谷石は昭和の建設・建築において様々な建物などに取り入れられ、歴史あるホテルの外壁にも使われました。
現在、採石場は砕石は行われておらず、代わりに一般見学やテレビ番組のロケーション、結婚式としての利用もされるようになっています。特にロケにおいては、東映の特撮シリーズでは幾度となく使われてきたので、見覚えのある方も多いと思いますので、直接ご覧に行ってはいかがでしょうか。
2018年8月、俳優の津川雅彦さんがお亡くなりになられました。昭和の時代から映画スターとして活躍し、平成期には多くのテレビドラマや、妻の朝丘雪路さんや兄の長門裕之さんと芸能ファミリーとしてのバラエティ出演も多く、後年は映画監督マキノ雅彦として祖父マキノ省三の名を讃えるように、映画界の発展にご尽力されました。また、拉致被害者問題解決にも深く強く協力し、論客としての一面も恐れず貫き通しました。気骨ある故人のご生涯に敬意を称しつつ、ご冥福をお祈りします。