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男はつらいよ 寅次郎と殿様(19)

渥美清主演 山田洋次監督作品。
寅次郎は鞍馬天狗の夢を見ていると、駅員に起こされ、電車が来た事を知る。
四国から柴又に戻ってきた寅次郎は江戸川の撮影隊のフィルムを潰してしまい逃亡。
とらやでは、満男の為にこいのぼりを揚げ、源公の拾って来た犬の呼称を「寅」から「ポチ」に改名。
すると寅次郎が帰宅し、満男に手持ちのこいのぼりをプレゼント。博は慌てて揚げたこいのぼりを隠そうとするが、バレてしまい、険悪なムード。
夕食時、おばちゃんがうっかり犬を寅と呼んでしまい、そっちの件もバレて大ゲンカに。おいちゃんに、野良犬のような暮らしを改めろと言われ、寅次郎は出て行った。
靴売りの仕事をして、泊まる旅館の手伝いをした寅次郎は、一人旅をする女性を悲しげに感じ、夕食の鮎をサービスする。すると女性が律儀に礼をしに現れ、会話をして、女性の故郷が柴又と近いと知り、とらやの住所を教える。そしてさらに気前良く、土産用の川魚の佃煮も発注する。
翌日、伊予の町で、昨日の振る舞いが高くついた事を後悔する寅次郎は、なけなしの500円札を風に飛ばされ、拾ってくれた老人に、近くの売店でラムネとアンパンをごちそうする。
老人に招待され、後を付いていく寅次郎は大きな屋敷へ。執事の吉田(三木のり平)から、老人はこの街の藩主の末裔、16代目当主藤堂久宗(嵐寛寿郎)と紹介される。
昼食をごちそうになるのも束の間、吉田から帰れとせっつかれるも久宗に引き留められ、夕食も世話になり、泊まる事に。
久宗こと「殿」は、一昨年亡くなった末息子の妻・鞠子に、2人の結婚を反対していた事を忘れ、亡き末息子の事を語りたいと願っていた。それを聞いた寅次郎は、東京に来たら捜索を手伝うと請け合い、殿は感動し、寅次郎を追い返そうとする吉田に刀で斬りかかり、寅次郎は殿を抑え、忠臣蔵のように止める。
数日後、さくらが帝釈天でチャンバラ遊びをする満男を連れてとらやに帰ると、店の前に洋装の殿が。招き入れた所に、捜索などすっかり忘れていた寅次郎が帰宅。安請け合い直し、殿は孫の車で、息子の家がある田園調布へと帰っていった。

結末 ネタバレ注意

困った寅次郎は、仕方なく源公と、鞠子という女性を捜すため、街中を走り回り、疲れてしまい、逃げ出そうと画策。
すると、旅館で知り合った女性が訪れ、寅次郎は皆に紹介するため、初めて名前を訊くと、堤鞠子だと知る。
あの大津には、死んだ主人の墓があり、殿様の捜す鞠子だとわかり、参道の外までタクシーで来た殿様をリヤカーに乗せ店へ。対面させ、殿様は礼を述べ、皆号泣。鞠子と殿様は手を繋いで帰っていった。
後日、寅次郎は青砥を訪れ、鞠子と再会。
一方、とらやには帰郷した殿様に代わって、長男の宗通(平田昭彦)が果物の詰め合わせを持って現れ、相続の面で縁を切ったと手切れ金を置いていき、言伝を任される。
その夜、とらやの面々は当然腹を立て、金を返す事に決め、寅次郎が帰宅したので金と果物を隠す。寅次郎は鞠子の故人を想う気持ちを汲みつつ、結婚したいと思う。
執事の吉田が年の離れた恋人を連れ、とらやに殿様からの礼品を持ってきた。殿様からの手紙を読むと、殿様は鞠子を養女に迎えて、一緒に暮らしたいと考えたが、自分自身老い先が短いので鞠子に悪いので、寅次郎に鞠子の伴侶になってくれと書いてあり、動揺するが、その気になる。
さくらが鞠子の職場を訪ね、その夜鞠子はとらやに。鞠子は職場の同僚と再婚する決意を固め、殿様の厚意に断りを述べた。
元気を失くした寅次郎は、旅に出た。
寅次郎に代わり、さくらが殿様に連絡し話したが、寅次郎はさくらとの別れ際、鞠子の再婚相手が本当に過去の男に嫉妬しないかと心配していた。
夏が来て、寅次郎は殿様を慰めにまた大津へ。だが吉田や巡査(寺尾聰)に長居するよう引き留められ、なんとか逃げようとしていた。
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管理人の批評

1977年、日本松竹の作品です。
共演:嵐寛寿郎 真野響子 三木のり平 寺尾聰 平田昭彦
嵐寛寿郎氏と言えば、先生と呼ばれる時代のスターであります。『鞍馬天狗』などの主演作や、高倉健主演の『網走番外地』シリーズでは主人公を助ける役で何度も脇を固め、そして強いキャラクターの持ち主として、数々の逸話をお持ちの方です。
上岡龍太郎氏の関西の土曜の昼の生番組に出演された際は、短い受け答えで、時間調整に追われる司会の上岡氏を助けてくれたという、まさに先生と呼ぶに相応しい大スターなのです。
三木のり平氏もまた、喜劇界の重鎮であり、台詞を小道具などに書き、読みながら芝居をしていたという噂もありますが、演出家としても活動し、その力は多大な評価を得ました。『あ・うん』などで活躍をご確認ください。
平田昭彦氏は「太陽にほえろ」の七曲署の署長役でお馴染みですが、本作同様嫌われ者の役がなぜか多い俳優さんであります。
さて、前作『〜純情詩集』にて、失恋パターンは全て出尽くしたと書きました。その後で何をやるのかという中で生み出されたのが本作です。『男はつらいよ』の失恋パターンや、嫌な奴の登場など、人気の高いエッセンスを残しながら、シリーズは続いていきます。その中で今回は、嵐寛寿郎氏や、三木のり平氏に大いに頼ったのではないでしょうか?