トップページ

紹介映画リスト

管理人コラムへ

新・男はつらいよ(4)

渥美清主演 マドンナ:栗原小巻 小林俊一監督作品。
とある田舎の店に訪れた寅次郎は離れて暮らす息子から、店主である母を思う便りに感動する。
一方、とらやには寅次郎の弟分だったのぼるが旅行代理店に就職し、ハワイ旅行のポスターを貼らせてもらいに来ていた。
すると名古屋旅行から帰ってきたたこ社長が、競馬場で偶然再会した寅次郎が「ワゴンタイガー」という馬を買って大穴を当てたという話を報告する。
すると、寅次郎がタクシーに乗って凱旋し、店を臨時休業させて、持ち帰った100万円で宴会を催す。
そして寅次郎は、叔父夫婦への恩返しや、新人で功績が必要なのぼるの為にハワイ旅行を買ってプレゼントするのだった。

結末 ネタバレ注意

御前様から道中安全の札をもらい、皆に見送られて出発の日、寅次郎はのぼるから、代理店の社長が預けた寅次郎の金を持ち逃げしたと告げられ、やむなくその場を取り繕って羽田空港へ。
ハワイ行きの飛行機を見送り、運転手を務める博に事情を打ち明け、その晩こっそりととらやに帰宅する。
灯りを小さくし、博に食事の用意を都合してもらい籠城する中、寅次郎は外を歩くルンビニー幼稚園の新任の美人先生、宇佐美春子に目を奪われる。
息を潜めていると、長留守と判じた泥棒が侵入。当然捕まえるが、寅次郎は全ての自体がばれてしまうのを考え、居直った泥棒に足元を見られ、金を渡して追い出すが、泥棒は警邏中の警官に捕まり、騒ぎを聞きつけた街の皆も飛び出しての中、全てを白状。明らかになってしまう。
大恥をかかされた叔父と寅次郎はケンカになり、寅次郎は出て行った。後日、それを聞いたさくらは、兄を思って泣いた。
1ヵ月後、寅次郎が帰宅するが、店の前でなかなか入れずにいるのを迎え入れて和解を果たすが、寅次郎の部屋は御前様の願い入れによって、下宿に貸し出されており、居場所を奪われた寅次郎はまた怒って出て行こうとするが、帰ってきた下宿人が春子と知るや、寅次郎は機嫌を直し、朝日印刷の寮との間につい立てを作った。
春子は、父の友人の医者から、疎遠の父親が糖尿で長くないので会ってくれないかと頼まれて、悩んでいた。
寅次郎はつい立ての事でたこ社長や工員たちとケンカをしたり、下宿代を受け取らずに返そうとしたり、しまいには春子の勤め先の幼稚園に付いていく始末。
そんな中、春子は父の訃報に接する。その日はちょうど寅次郎の父親の命日で、御前様がとらやへと向かっており、同道。寅次郎も叔父も言われて思い出し、仏壇を開けると中からネズミが飛び出し、春子は驚いて寅次郎に抱きつく。叔父も叔母のへそくりを見つけ、ドタバタ加減に吹き出す春子だが、悲しくなり部屋に閉じこもる。
そんな春子を慰める為、寅次郎は工員たちと荒川でボート遊びをして歌い、寅次郎は叔父から悲しい小説を聞き、叔母がその光景を見せ、春子は笑う。
春子はある日、とらやに恋人の会沢隆夫を連れてくる。叔父夫婦や工員たちは驚き、帰宅した寅次郎はのんきなたこ社長を叩いて、出て行く。
深夜、酔い潰れた寅次郎は帰宅。気配を察して寝たふりをする叔父夫婦の部屋に外から、泣いて別れを告げる寅次郎。
だが外に出て、風の冷たさにためらいを見せると、叔父夫婦の「どうする事も出来ない」という話し声に、背中を押されて旅立つ。
のぼるは商店に勤め直し、叔父夫婦は責任を感じているのぼるを慰める。
一方、寅次郎は汽車の中で見ず知らずの乗客たちに、泥棒が来た時の話をして、楽しく過ごしていた。
DVD通販 DVD/CDレンタル

管理人の批評

1970年、日本の作品です。
これまた「非・山田洋次」作品であり、全48作の中でたった2作のみが山田監督ではない、別の物となるわけです。「男はつらいよ」は松竹の物だったんですね。
ただ私にとっては「ハワイ旅行」というビッグイベントのせいか、印象が薄い恋愛で、読んでみて思い出せない事も多々ありましたので、また見てみようかなと思います。
今回は「のぼる」について考察すると、後期の作品を中心に観ている方はお気付きでしょうが、彼は言わば「満男」の前身で、寅次郎の生き様、教えを享受する重要な役割を担っています。満男が主役級になるのは様々な事情がありますが、寅次郎が主役である初期においては、「車寅次郎」を表現するに当たり、極めて重要な存在です。俗に「普通」を求められる役割です。「ワンピース」で言うところの「コビー」でしょうか。
今回は「悪銭身につかず」や「盗人に追い銭」というようなことわざをそのまま描写したようなシーンも多い中、ラストで、自分の恥を笑い話にしてみんなを楽しませているという寅さんの人柄には、芸人ならずとも、感銘を受ける人も多いのではないかと思います。
ちなみに、劇中に登場し、御前様が園長先生として挨拶をする「ルンビニー幼稚園」は実在する幼稚園です。地図などでも確認する事が出来ます。