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男はつらいよ 純情篇(6)

渥美清主演 マドンナ:若尾文子 山田洋次監督作品。
40歳間近の寅次郎は、たまたま夜の食堂のテレビで、柴又を特集する番組に釘付けになり、映った実家に電話を入れ、長崎へと渡った。
寅次郎は五島へのフェリー乗り場で、赤子を背負う若い母親から、金を貸してくれと頼まれ、一緒に民宿へと逗留。寅次郎は奢る事にする。
彼女は夫の暴力に耐えかね、故郷へと帰る途中だった。
宿代がわりに体を差し出そうとする彼女を優しく諭して止めさせ、翌朝、共にフェリーで彼女の実家へ。
彼女・絹代と、その父・千造を2人にし、外に出ていた寅次郎が戻ると、千造は、自分が老い先短いので、夫の元へと帰れと突き放した。
千造の話に感銘を受けた寅次郎は、故郷への思いが強くなり、最終便に飛び乗った。

結末 ネタバレ注意

その頃、とらやには、ツネのいとこの嫁ぎ先の主人の姪で、美人の夕子が手伝いをしたいと下宿していた。そこに帰宅した寅次郎は、下宿人がいると知り、立ち去ろうとするが、夕子の姿を見て、留まる事にする。
翌朝、少し疲れが出て休む夕子に、寅次郎はわざわざ医者を呼び、体を診た事を怒る始末。すっかりのぼせあがっている寅次郎を、さくらが泣いて叱り諭した。
一方、博が独立を考えていると知り、たこ社長は大弱り。寅次郎は博の独立心に感心し、代わって社長に挨拶に向かうが、社長に泣きすがられ、引き下がってしまう。
翌日、寅次郎は博と社長にそれぞれイイ顔をしてしまい、2人は互いに勘違いして礼を言い、酒宴。だがかしこまった挨拶で行き違いに気付き、社長は寅次郎に襲いかかる。
一方、博は家に帰ろうとするのをさくらに留められるが、寅次郎に相談したのが間違いだったと考える。更に父からの手紙で、あてにしていた退職金は80万円も無いと知り、独立は諦める事にした。
結果的に丸く収まり、夕子はその人間味に感動する。
社長は臨時休業し、寒いながらも皆で舟で川遊び。だが寅次郎はのけ者扱いされた。
とらやから病人の報せが入り、山下医師はすぐ駆け付けるが、夕子ではなく寅次郎と知り、診もせず帰る。
夕子はさくらに、ふらふらしているのは、自分の小説家志望の夫と同じだと同調している事を話す。
博と竜造が見当を付けたとおり、夕子が『元気になったら散歩に連れて行ってほしい』と口にすると、飛び起きる、恋煩いだった。
散歩中、夕子は「ある人の自分への好意を受け取れないので、諦めて欲しい」と呟くが、寅次郎は解せず、山下医師の事だと勘違い。
そしてとらやに夕子の夫が迎えに現れ、夕子は謝られ、帰る事に。居合わせた寅次郎は落ち込み、旅へ出るのだった。
駅のホームでさくらから、していたマフラーを巻かれ、見送られた。
正月、とらやには、ヨリを戻した絹代夫婦が御礼に現れ、そこから絹代は父に電話して、娘が元気でやっていると知り、千造は涙した。
その頃、寅次郎は浜名湖で、源公と商売に勤しんでいた。
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管理人の批評

1971年、日本松竹の作品です。
共演 倍賞千恵子 前田吟 宮本信子 森繁久弥
今作は主人公・車寅次郎の魅力を紹介する一本です。
絹代、夕子、博と社長。この3組の人間関係に悩む人たちと関わる寅次郎は、自分の作法や性分、その存在を持ってその悩みを良い方向へと持って行きます。まさにキャラクター・車寅次郎の魅力を知るために作られた作品でしょう。
そして喜劇役者の先輩でもある森繁久弥氏と、喜劇ではなくシリアスな芝居での共演も見どころです。
今作で、博は父の退職金をアテにしますが、次回作で兄弟などの家族構成が描かれます。それを鑑みると、とてもストレートに貰えるとは思えず、第1作で絶縁状態だった割には、よく独立の算段が浮かんだものだと、はなはだ疑問です。
またラストシーンにて、絹代がとらやから長崎・五島に電話を掛けますが、これも後の作品でも描かれる通り、長距離電話はかなり高くつくはずなので、御礼に来た割にはなかなか図太い事をやってのけるものだなと考えてしまいます。
源公を浜名湖まで連れて行くのは、まだ寅次郎の舎弟で、帝釈天の寺男になる前だからです。この頃はまだ寅次郎の手伝いをしていました。