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男はつらいよ 寅次郎恋歌(8)

渥美清主演 マドンナ:池内淳子 山田洋次監督作品。
長雨に遭い、寅次郎は貧乏な旅芝居一座と袖すり合わせ、宿まで送ってくれた座長の娘に、思い切って大金をプレゼントする。
後日、東京柴又、さくらは近所の人に寅次郎がバカにされ、泣きながらとらやへと入る。すると寅次郎も帰ってくるが、一同の大根芝居に、気を悪くする。
その夜、悪酔いした寅次郎は、酔客を連れて帰宅し、傍若無人に振る舞い、余興にさくらに歌を唄わせる。だが、「母さんの歌」に反省し、酔客達と出て行った。
後日、博の母が危篤だという電報が入り、博とさくらは両親の住む岡山へ。
到着すると、母親は既に亡くなり、さくらは博の兄達と初対面。
翌日、葬儀が行われ、たまたま近くを通りかかった寅次郎が中へ。とらやへ電話を入れ、葬儀を聞きつけて、参列した。
喪服を借り、付いて行った寅次郎は、家族写真を取る段で撮影を引き受けるが、うっかり笑顔を求めてしまい、兄達の顰蹙を買う。
家に戻ると、寅次郎は姿を消し、家族だけの夕食。だが博は、母は父の女中のような辛く不幸な一生だったと訴え、泣いた。
東京へ戻ったさくらは、おじおばの薦めで博の父に電話すると、出たのは寅次郎だった。
寅次郎は博の父が寂しそうなので、しばらく世話を焼くとのたまうが、実際は世話を焼かれていた。
一人が気楽だという寅次郎に、父は家族の大切さを説く。
翌朝、寅次郎は置手紙で、家へ帰ると伝え、消えていた。
 
ある日、とらやに近所に喫茶店を開いたという知らせに女主人の禄原貴子が挨拶に。入れ違いで寅次郎が帰宅し、おじおばさくらは貴子と会わせないようにと決める。
その日の夕食で、寅次郎は家族の幸せを説き、自分も所帯を持ちたいと言い出し、その希望は貴子の身持ちと偶然にも、一致していた。

結末 ネタバレ注意

寅次郎は一人で地面を見つめる小学生・学に声を掛け、その母・貴子に一目惚れする。
おじやたこ社長は寅次郎の異変に気付き、止めようとするが、寅次郎は着物を着たさくらを貴子と間違え、笑った社長を追いかける。
偶然入った喫茶店で貴子の店と知らず再会し、逃げるように帰宅する寅次郎は諦めるよう自分に言い聞かせる。
だが、学が草団子が欲しいと貴子がとらやに現れ、話しかけた寅次郎は、貴子が未亡人と知り、喜び、皆は、落ち込む。
寅次郎はさくらを使い、喫茶店へ入店。その場にいた客の分も、自分のおごりだと、財布を置いて出て行くが、確かめたさくらは勘定が足りず、慌てて補填する。
寅次郎は学と帝釈天で、寿の供物をくすね、他の子たちと遊び、学に友達が出来る。すると貴子が礼を言いに寅次郎の元へ。寅次郎は口をついておじの事を哀れに言い、貴子が帰った後で、おじとケンカになり、止め役のさくらもおらず、出て行く事に。
しかし、貴子が気になる寅次郎は翌日も町内に潜伏。おじに許す気配はなく、寅次郎は学達から給食の残りを恵んでもらう。
博の父がとらやに現れ、孫へと金を置いて帰って行った。博は父との同居を考えるが、岡山の家や土地など、どうする事も出来なかった。
翌日、寅次郎は喫茶店で、貴子は騙されて金に困っていると知り、稼ごうと仕事をするが、強面になってしまう寅次郎では、商品は売れない。
その夜、寅次郎は貴子を訪ね、力になりたいと言い、貴子の励ましになる。貴子は今のような生活ではなく、貧乏な旅芝居の役者と旅でもしたかったと過去の夢を語るが、現実の金に困窮する暮らしはどうしようもなかった。
寅次郎はすっと姿を消し、さくらにフラれた事を告げ、荷物をまとめ、旅立った。
旅先から手紙を送った寅次郎は旅芝居の一座と再会。トラックの荷台に乗せてもらい、一緒に談笑しながら、次へと向かった。
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管理人の批評

1971年、日本松竹の作品です。
共演:梅野泰靖 穂積隆信 志村喬
「男はつらいよ」が一つ進化した作品だと思います。それまでの商売をしている家のドラ息子というようなドラマの中の登場人物にすぎなかった寅さん達が、さくらと博の諏訪家が誕生し、親戚付き合いが生まれる事によって、我々一般家庭の視聴者、観衆と繋がりが産まれたような錯覚が起き、この物語をより密接に感じる事が出来るようになった。寅さんに自分を置き換えていた男性、さくらに自分を置き換えていた女性、そして博に自分を置き換える事で、この物語への愛、自分との密接な繋がりが、人気を後押ししたと思われます。
そして今回の失恋の理由が、シリーズ全体を通しても異例の「経済面」という物質的理由。これがまた、「寅さんと私達とは棲む世界が違うんだよ」と言われているようで、もうひとつの寂しさをクライマックスで感じずにはいられません。
さて、今作から登場した旅芝居の一座ですが、好評だったのか、これからも幾度か登場し、第37作『男はつらいよ 幸福の青い鳥』では看板女優役を志穂美悦子さんが演じ、メインに扱われています。その過程も楽しみに見てはいかがでしょうか?
また、今回から登場した博の長兄役の梅野泰靖さんですが、『古畑任三郎』シリーズで市川染五郎さんが犯人役をやった「若旦那の犯罪」の師匠役でお馴染みですね。そちらも合わせてご覧ください。