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【アニメ】「巌窟王」の感想(第一幕〜第六幕)

原作読了済みなので、原作についての言及もあったりします。アニメをネタバレ無しで楽しみたい方は以下の感想を読まないほうが無難かもしれません。大して気にならないヨという方は、どうぞ一緒に踊ってやって下さい。


第一幕第二幕第三幕第四幕第五幕第六幕


【2004/10/5】

第一幕『旅の終わりに僕らは出会う』

幻想の未来都市パリを舞台に復讐のパンク・オペラが幕を開く!

<あらすじ>
パリに住む貴族の一人息子アルベールは、友人のフランツと共に月面都市ルナを訪れていた。カーニバルに華やぐルナの地で、彼は一人の不思議な魅力を持った男と知り合う。彼の名はモンテ・クリスト伯爵。
伯爵に招待されたアルベールとフランツは、カーニバル一番のイベント「公開処刑」に同席することになる。しかし、その場で伯爵から提案された「ゲーム」に気分を悪くしたアルベールは、フランツとも喧嘩別れをしてしまい、夜のルナの街を一人彷徨うのだった。


あの「三銃士」で有名なアレクサンドル・デュマ著の「モンテ・クリスト伯」を下敷きにした、SF風味の復讐劇「巌窟王」、いよいよ開幕です!
(ちなみに「巌窟王(読み:gan-kutsu-ou)」というのは、原作を日本語に訳した黒岩涙香が、日本語訳用の題名としてつけたもの)

原作はフランスの古典文学(執筆は1841-45年)ですが、後世に作られた様々な作品のモトとなっていることでも有名で、SF小説の傑作「虎よ、虎よ!」(著:アルフレッド・べスター)もこの作品を下敷きにしています。
「虎よ、虎よ!」についてはまだ未読ですが、元ネタの「モンテ・クリスト伯」のほうは中学生の頃に読んで、その面白さにぶっ飛んだ覚えがあります。

内容は、『友人に裏切られ投獄されたエドモン・ダンテス(後のモンテ・クリスト伯)が、十四年間の牢獄生活から脱獄し、一転して莫大な財産を手に入れた後、自らを陥れた者達へ復讐を開始する』……というもの。

オモシロさにもぶっ飛みましたが、その厚さもなかなかものもで、私が読んだのは愛蔵版でA4サイズくらいのソフトカバー、厚さは4cmほど、しかも二段組(【2004/11/21】追記:三段組でした)で文字ビッチリ。
ちなみに現在入手可能なのは岩波文庫版(全七巻)ですが、訳が若干古いようなので、より現代語に近いほうで読みたい方は講談社版(全五巻)が良いかもしれません。ただし講談社版は絶版なので、古書店か図書館あたりで探すしかないですな……。どちらにしても読んで損なし。オススメです。

というわけで、アニメ化とても楽しみにしてました。
初見の感想は、「うん、なんかちょっと見難いけどいい滑り出しなのでは?」といったところ。
原作と違い、はじめの舞台は遠未来(?)の月面都市ルナ。さらにモンテ・クリスト伯視点で語られるストーリーが、アルベール視点になっていたり、変更点も多々ある。なんか宇宙船とかロボットとかも出てくるしな!

美術もなかなか素晴らしい。が、アニメーションはなんだかしっくりこないような感じがあった。
キャラクターの塗りがちょうど漫画のスクリーントーンのようで、しかも塗りの部分は背景がうっすら透けているようなかんじに見えたので、ちょっと見辛いのだ。
ただ話数がすすめば、こちらの慣れと、作り手さんの工夫でもっと良いものになる予感もする。

エンディング〜次回予告に繋がる流れはとても良い。特にエンディングの、なんじゃこりゃ! というグッチャリ感は、モンテ・クリスト伯爵の復讐という名の狂気そのもの。素直にスゴイと思えましたよ!

んーまぁ、あとは中田譲治さん演じるモンテ・クリスト伯爵こと巌窟王が、オーバーアクションかつ妖しさ満々・ムンムンで色っぺー! ということでご馳走様でした。

それでは次回の放映日まで『待て、しかして希望せよ!』
希望込みで星三つ。★★★。


【2004/11/20】追記

[※注1]
第一幕、ルナのオペラハウスのシーンで上演されていたのは、ドニゼッティ作の「ランメルモールのルチア(Lucia di Lammermoor)」というオペラ。
アルベールは「こんな恋がしてみたい」とかなんとか言ってるみたいですが、オペラの内容は『敵同士の家に生まれた二人の男女が相思相愛になるが、なんだかんだあった末に二人とも死ぬ』という悲劇モノ。
本当にそんな恋がしたいのかよ、とアルベールにはつっこみたくなるが、恋に恋する男の子というかんじなんでしょか。

なお、「ランメルモールのルチア」について、私のいい加減な説明ではなく、きちんとした説明が読みたいという方は「ドニゼッティ:ランメルモールのルチア」をオススメします。

【2004/10/12】

第二幕『月に朝日が昇るまで』

見逃した……

<あらすじ>
ペッポとの一夜の恋に身を任せようとしたアルベールは、その油断をつかれて凶悪な盗賊ルイジ・ヴァンパ一味に誘拐されてしまった。連れて行かれた先は、ルナの地下に広がるカタコンベ……かつて月世界を開拓した移民たちの墓地だった。
ホテルに戻っていたフランツは、盗賊一味からの脅迫を受けて驚愕する。アルベールはフランツにとって父の死後、心を開いて素直に話せるようになった無二の親友なのだ。
ルナ中を金策に走るフランツだったが、どうしても身代金の工面ができない。弱りはてたフランツは、胡散くさいと思っていたはずのモンテ・クリスト伯爵にすがりついた。
伯爵の馬車が未明の街を走る。だが、刻限の夜明けはすでに目前に迫ろうとしていた……。(「巌窟王」公式サイトより転載)


寝過ごして見忘れた…… ぐあぁあああああ。あまりのショックに今日はもう仕事どころじゃない!
なんだか、先週一度見た時は「おぉ、おもしろーいー」という感じだったのですが、念のためにとっておいたビデオをもう一回見たりするうちに、「な、なんか、すごい、これ……おもしろくない?」という心境になってきてしまったのです。

おそるべし巌窟王、だてに百五十年読み継がれちゃいない
まあ「世界一おもしろい」と(一部で)言われている原作はともかく、アニメ版も内容はちゃんと原作に沿いつつ、舞台や視点をがらっと変えてきているので、すごく新鮮で楽しいです。
テクスチャーを貼った動画も慣れれば気にならなくなりました。むしろ華やかでいい!

……と、嬉しげに語ったところで見逃したことに変わりはないわけだが。
悲しいので色々なサイトを見たりして巌窟分を補給したりしました。

……色々と探索した後――あぁ、なんたること。伯爵の「ブチ殺すぞヒューマン!」が聞けなかったなんて! 残念でなりません。[※注1]
今回の伯爵語録は「裏切りの果実はつみ取られなければならない……」、かぁ。芝居がかったセリフがよくお似合いでいらっしゃいますな。

もう意気消沈したままフテ寝します。おやすみ、伯爵。
評価星の数、計測不能。


[※注1]
もちろん「ブチ殺すぞ〜」などというセリフを伯爵がお吐きになったわけは無い。元ネタは『ヘルシング』(原作:平野耕太)というマンガ/アニメのキャラクター、吸血鬼のアーカードのセリフ。
アーカードの声が伯爵と同じ人があてていることと、ヘルシングも巌窟王もアニメ版を作ったのは同じ製作会社のGONZOだということ、それから伯爵にちょっと吸血鬼っぽい外見・行動が見られることから、こんな感想が出てるってことですね。
マンガは読んでるけど、アニメ版ヘルシングは見たことないんだよなー。

【2004/10/19】

第三幕『5/22、嵐』

嵐を呼ぶ男

<あらすじ>
月(ルナ)からパリへ戻ったアルベールとフランツ。日常に戻った彼らは友人達と優雅な時間を過ごす。
一方、アルベールを盗賊から救ったことにより彼の実家へ招かれた伯爵は、嵐とともにパリへと入城を果たすのだった。


冒頭、伯爵のホラーな夢を見て飛び起きるアルベール。惹かれる一方で、深相心理では真理をとらえているのか?
さて、そんなシーンから始まりつつ、前半はパリに戻ったアルベールとフランツの日常ってやつなんですが……いやあ優雅なものですな。婚約者を横に乗せてクラシックカーを乗り回し、ピクニックときましたよ。
とは言っても人間関係には微妙に不穏な空気ただよってますけどね!

アルベールと、そのカッコイイ婚約者のユージェニー。フランツとその婚約者でいまいち仲の良くない(というより、フランツが無視してるっぽい)ヴァランティーヌ。一見軽そうで実はキレ者風の内務省書記官のドプレー。冒険家(?)のメガネ君ことルノーと、彼が旅先で知り会ったとかいう軍人マクシミリアン。そして新聞記者のポーシャン……、と大量の新キャラが投入されたにもかかわらず、ビシっとキャラを立ててくれたあたりはさすが。

時間移って、パリ郊外の城壁。
ユージェニーはここで高くそびえる城壁を見上げながら、「なぜこんなもので外と内とを隔てているのか」というようなことを言いますが、他のお貴族様達は「あたりまえだろ、そんなの」とアッサリ。
なるほどなるほど。貴族達のものの考え方、そして幻想未来のパリの状況が、なんとなく解ってきました。

さ、ここで場面変わって皆様お待ちかねの「あの方」が! あの方が! 空から宇宙船でご光臨あそばされましたよ。
ハイテク・シティなパリの遠景とあいまって、SFっぽさ大全開……なのに地上に降りたら移動はやっぱりあの怪奇馬車なのかよ! ちょっと笑えましたが、格好良いのでオッケーオッケー。
馬車の中での伯爵の独白は、復讐の炎でギラギラのメラメラ。

「……私の孤独はもはや孤独ですらない。復讐の女神たちに囲まれているのだ。闇の中で私は暁を待った。朝が来れば夜になるまで己が身を呪った。どうか気が違ってしまうようにと祈りもした。だがそれは聞き届けられなかった。死に挑みもしたが、情けを知らぬ悪魔の冷たい手が私を引き留めた。もうすぐ、もうすぐだ……」

……ホラー。聞いてたエデも引いてるよ!
怖いよ伯爵。暗黒面出ちゃってるよ伯爵。でも、そういうとこが最高にカッコイイよ! 伯爵。(このあたりの伯爵の過去話なんだが、どうもエンディングの映像なんかを見るにつけ、原作よりさらに酷い目にお遭いになっておられるような気がするんだが、どうなんだろう)

さて、アルベールの屋敷ではフランツ以下男性陣が集まっているところへ「モンテ・クリスト伯爵がいらっしゃいました」と召使からのアナウンスが。いよいよお待ちかねの人が、というところにカミナリ、ドーン! ついで強烈な風と雨!! そして停電までも!?
何事かっ! と(キャラも視聴者も)思っていると、カツーン、カツーン……闇に響く高らかな靴音と共に、(なぜか)真っ黒なバラの花弁を撒き散らしながら伯爵、ご登場

登場後はあっさり停電復帰。しかもこんなド派手な登場をかましておきながら、「失礼、扉が開いていたもので」とシレッとぬかす伯爵。お素敵すぎ。
どうでもいいが、この登場を演出するために、ベルッチオとバティスタンの“セクシー家令コンビ”が必死こいて照明操作したり、バラの花を捲いたりしていたのかと想像すると、腹がよじれる。

その後の会食シーンであの手この手で伯爵の正体を探ろうとするアルベールのお友達連。しかしそれをあっさりかわす伯爵。……年季が違います。
ただし、会食終了後にポーシャンの撮った写真と、録音したレコーダーには画像も音も一切記録されていないことが判明し、伯爵の人外ぶりがますますあからさまになったりしますが、まぁそれはそれ。

その後アルベールは、新しく雇われたメイドの中に、ルナで知り合ったペッポ(注:ペッポは男です)がいることに気付く等、ハプニングに遭遇しつつも、気をとりなおして伯爵に屋敷を案内することにするのだった。

アルベールに先導された伯爵は、ある一枚の絵の前で立ち止まる。「お美しい方ですな」というセリフに、嬉しそうに「はい、母です」と答えるアルベール。無邪気でいいなあ、おい
その母ことメルセデスとその夫のフェルナン、そして伯爵。この三人にはすんごい因縁があるんだよ……というのは原作既読の観客が味わえるニヤニヤポイントだったりするわけですが。
アルベールの返答を聞いて、微妙に動揺しちゃう伯爵(あの目つき! いいよね)の顔をバックに、メルセデスの独白が入ります。『エドモン……』
この独白は超重要です。テストにも出ます。きちんとノートに取っといてくださいね!

最高に緊張度高まったところで、「お客様はこちらかしら?」とメルセデスとフェルナンがやってきますよ。ナイスタイミング!! 階上からの声に振り仰ぐ伯爵と、見下ろすメルセデス。視線を合わせる二人。
チャイコフスキーのマンフレッド交響曲のストリングスの悲鳴をバックに、「うわああ、次回どうなっちゃうんですか」でエンディング → 次回予告へ。

やーよかったよかった。監督言うところの「夜メロ」「大人の名作劇場」大、全、開。
個人的にはホラーな人外モンテ・クリスト伯も好きだけど、うっかり動揺しちゃう人間的な伯爵もいいよね! ってことで。

星評価ですが、第一幕からの神がかりな作画からはちょっとダウン気味だったので、(悪いってわけじゃ全然ないですよ)後々のインフレ防止も込めまして、星四つです。★★★★

【2004/11/1】

第四幕『母の秘密』

狂おしい想いは、マスカットの芳香にさも似たり。

<あらすじ>
モルセール家に晩餐に招かれたモンテ・クリスト伯爵は、出された食事の中で唯一、アルベールの母であるメルセデスの手料理にだけ口をつけた。
帰り際、招待のお礼も兼ねてと、伯爵は自宅にアルベールとその友人を招く。後日アルベールらが訪れたその館は、外見からは想像もつかない贅沢、かつ奇抜な内装がほどこされていたのだった。


はじめのシーンは、伯爵とメルセデスが目を合わせるシーンから。
「はっ」とするメルセデス。……おや、気付きましたかな? 伯爵の正体に。一方メルセデスの夫ことフェルナン将軍は、特に何も気付くことなく、にこやかにテーブルへ。一家と伯爵の(一見)なごやかな会食がはじまります。

それにしてもフェルナンよ、伯爵のお世辞に嬉しそうにしちゃったりして、いーのか? 気づけよ、お前の目の前にいるやつは相当危険人物だぞ! だいたい「ジャニナ戦域」の話はお前の鬼門だろ! とか思うんですけど、でも私フェルナン嫌いじゃないんだよなー。なんか人間味あって。
伯爵にとっては確かに許し難いやつではあるんだが……これがメルセデスに惚れてしまったがゆえに、裏切り、騙し、嘘をつき続けた男の生き様ってやつか。

さて、話を元に戻しまして。出される食事に全く手をつけない伯爵に、「お口に合いませんか?」と心配そうに聞くメルセデス。伯爵は「あまり食事を取らないのです」と言って、「そのかわりにこれを」とピルケースに入った赤と白の怪しいカプセルを見せる。
ピルケースは、見たところ緑色のガラスのような入れ物だが、原作通りに考えれば、あれはエメラルドを丸彫りにしたというトンデモな入れ物のはず。ついでにその中身は原作ではハシッシュ(=ハシシとも言う……要するに大麻。ぶっちゃけ原作のモンテ・クリスト伯爵はヤク中だと思う)だった……がアニメではどういうものなのかは解らない。SF風味入ってるし、伯爵の生命維持にかかせないナニカとか?

その様子を見てせめて一口だけでも、とメルセデスが出したのが彼女手製のブイヤベース。[※注1]
「ではこれをいただきましょう」と出されたスープをスプーンですくい、口元へ運び、かすかに顎を上げて溜息をつく伯爵。この一連のシークエンス、エロいよ。

ブイヤベースといえばマルセイユ名物なので、「では奥様はマルセイユご出身で?」と聞く伯爵に、あわてて、「違う」と言うフェルナン。おやおや将軍、嘘はいけませんな嘘は。フェルナンが元の身分隠したいのは解るけどさー。(もちろん伯爵は知ってて、ワザと聞いてるわけです)
メルセデスのほうも、歯切れ悪く「いいえ……」と答える。こんな一連の会話を聞いたアルベールは、両親の奇妙な態度にかすかな疑問を覚るのも無理はない。

その後、テラスで一人物思いに耽るメルセデスの元に、「なんとも狂おしい香りですな」というセリフと共に伯爵が現れる。
ここ、深夜だったのでイヤホンで聞いていたのですが、伯爵の現れた上手の方向、つまり右耳からこのセリフが聞こえたときは正直、ゾワゾワしました。フーびっくりした。

伯爵の声に「麝香葡萄ですわ」と答えるメルセデス。[※注2]
そして、「ひとつ屋根の下でパンを分け合ったものは、永遠の友となると言いますから、私たちはもうお友達ですわね」と、東方宇宙[※注3]の言葉を引用しつつ伯爵に微笑むのだが、伯爵は「このパリではパンを分け合いもしないし、永遠の友もありはしない」という言葉を返すだけ。やっぱメルセデス気付いてんのかなー。気付いて言ってんのかな、微妙だな。
ま、伯爵は復讐を止める気持ちはさらさらないようなのですけども。

そんなモンテ・クリスト伯とメルセデスのシーンを窓越しに見ていたメイドのペッポ(しつこいようだが彼は女装の男です……たぶん)は、アルベールにキモイ人形(ピエロの操り人形)の小道具を使いつつ、「伯爵とあなたのお母様はあやしいんじゃないの?」と揺さぶりをかけてきたりする。
おや、今までわりとおとなしめだったペッポの小悪魔人格が表面化してきたぞ。でも、重い話の中でこういう人格は貴重だなぁ。しかし伯爵と繋がってるかんじもするんですけど、その辺どうなんすかねぇ。
イノセントお坊ちゃまのアルベールは、当然そういうペッポにキレそうになるが、伯爵の家に訪問する時の服装について、ペッポに「芸が無い!」といわれただけで海賊のコスプレをしちゃったりして、いいように操られてるあたり、まだまだだったりするわけで。

一方、モルセール家を去った伯爵はエデと共に車中の人に。(伯爵、自分で車運転するのな)
「私が怖いか」という伯爵に、「いいえ。たとえ破滅の道を歩んでいくとしても、あなたについていきます」と答えるエデ。いいなあ、エデ。だが伯爵は「破滅するのは我らではない」とだけ言って、夜の道を突っ走る。
着いた先は郊外の墓地。その中にある小さな墓石に向かって行く伯爵。そして一人「今戻りました、父さん」とつぶやくのだった。

さて、場所はシャンゼリゼ通り三十番地、つまりパリでのモンテ・クリスト伯の自宅前。
伯爵に招待された、というポーシャン(新聞記者)、マクシミリヤン(軍人)、フランツそしてアルベールは一見ぱっとしないみかけにとまどうが、バティスタンに案内されて通された部屋は、外見とは違った豪華なものだった。
しかし不敵に笑うバティスタン(リーゼントに素肌ジャケットを着た、伯爵の部下の一人)の後ろで、バタンと閉まる扉。そう「お楽しみはこれからだ」とばかりに、部屋自体が突然降下を始める! ディズニーランドのホーンテッドマンションかよ!! とつっこんだ人が一体どんだけいることか、と思わずにはいられない。

伯爵の地下宮殿は金、金、金のキンピカリン。空には不思議な天球儀のオブジェが浮かび、そして遠くには地下にもかかわらず、海が

アルベールにはその海が、母の肖像画と同じマルセイユの風景であることに気付き、思わず足を踏み出したところに伯爵登場。
「海賊閣下」と呼んだところで、突然腰のサーベルを抜きアルベールの喉元へ。びっくりアルベールに、「冗談ですよ」と言うように、剣を鞘におさめる伯爵。そして「これはさる航海士から譲り受けたものです。あなたに差し上げましょう」とアルベールに差し出すのだった。

この剣についている紋章が、墓地の墓石に刻まれていた紋章と同じってことと、メルセデスがこっそり見ていた写真の人物が同じような剣を持っていたってことは、視聴者だけにわかるお楽しみ、ってわけですね。

さーて来週は……『あなたは婚約者を愛していますか』か。長いタイトルだなー。
毎回内容が濃いので、文章が長々しくなっちゃうな。どうしよう。感想だけにしようかなぁ困ったものです(や、いいことなんですけど!)


<復讐という名の劇薬>
今回はやっぱり、伯爵とメルセデスの葡萄棚のテラスのシーンが良かったナー。
原作では結構後のほうに出てくるんですが、アニメではシーンを組替えたり、SF仕立てだったりする一方で、肝心の部分はちゃんとやってくれるので嬉しいです。

メルセデスの遠まわしなお願い、「お友達でいてください」発言に全く応じない伯爵の態度には、彼の復讐の「どうしようもない切実さ」が表れていて、とても良い。
伯爵は結果論としては大富豪になった。けれど彼がかつて当然手にするはずだった、かけがえのない人と過す日々は永久に失われ、二度と戻ることはない。
その空洞を癒してくれるのは、ただ「時」だけなのかもしれないが、もう若くも無い伯爵にはそんな悠長な時間は既に残されておらず、よって「復讐」という名の劇薬によって自らを癒そうとしたのである……なんてな。

つまり、伯爵の復讐が多少まだるっこしいのは、その本質が「徹底的に傷つけられた自己の修復作業」にあるからだと思うわけです。
ただ単に「やられたからやり返す」というのが目的だったら、ここまで時間かけたりしないわけですよ。うん。

星四つで。★★★★


[※注1]
ブイヤベースはトマト味の魚貝スープで、南仏マルセイユの名物。
見たところムール貝、イカ、エビが入っていたようだったので、こちらのレシピ「エビのブイヤベースサフラン風味」が再現度高いのではないかと。ちょっと材料費かかっちゃいそうだなぁ。

ちなみにマルセイユは、モンテ・クリスト伯爵、メルセデス、フェルナン将軍らの生まれ故郷。
フランス政府観光局のサイトの中にはマルセイユの紹介が載ってます。モンテ・クリスト伯爵にも言及してあるので(まだアニメにはチラっとしか出てないが)イフ城(=シャトー・ディフ)の行き方も書いてあったり。行ってみたい。


[※注2]
麝香葡萄(読み:じゃこうぶどう)。

香料の一。麝香鹿(ジャコウジカ)の分泌物を乾燥したもの。漢方では興奮・強心・鎮痙(ちんけい)薬などに用いる。マスク。ムスク。四味臭。(yahoo! 辞書)

麝香は、そのままだとただのクサイ匂いなんですが、他の香りと混ぜると良い香りになるので香水の材料としても良く使われています。
言葉としての「麝香」には、「強い香り・高貴な香り」という意味があり、これを英語に直したものが「musk(マスク)」。
つまり麝香葡萄とは、muscat(マスカット)のことなのでした。同様にmuskmelon(マスクメロン)というのもありますね。

【2004/11/14】追記

葡萄(ぶどう)にも花言葉があるらしいですよ。
「好意・信頼・陶酔・思いやり・親切・博愛」、あるいは「忘却」。……意味深だ。


[※注3]
東方宇宙……なんともアヤシイ響きだが(宇宙に東方も西方も無いだろと)、原作では「アラビアのことわざ」となっておりました。
アラビアもそうだけど、原作はフランスのものなのに、中東やアジアの雰囲気が結構使われていて面白い。中国、インド、そして日本の名前も出てきます。

【2004/11/8】

第五幕『あなたは婚約者を愛していますか』

伯爵の横っ跳びも夢ですか?

<あらすじ>
伯爵に館を案内された一行は、途中アリという従者とエデという少女を紹介される。
しかしふとした会話からアルベールはマクシミリアンと一触即発状態に。とうとう決闘することになってしまった二人だが、はずみでアルベールは海へ落ちてしまう。
伯爵のおかげでまたしても助けられたアルベールは、彼への傾倒をますます強くしていくのだった。


さて、五幕にしてついにアリが登場です。どんなふうに出てくるのかなと思っていたら、エデの後ろにコッソリ(というよりヌッソリ)登場。しかも人間じゃない……!
ま、原作通りだと「舌を抜かれた黒人奴隷」というかなりキケンな設定なので、仕方ないといえば仕方ない。耐えろ、アリ。

エデについては「心の無い人形です」(原作にある「奴隷」という言葉は放送コードにひっかかる)とだけ紹介する伯爵。アルベール達はその紹介にポカーンとしてますが、視聴者としても「え、それ全然キャラ説明になってないよ!」と伯爵に直訴したくもなります。が、これも我慢。彼女にはそれなりの秘密がある(はず)なので、それまでカードは伏せておかなければならないのです。
それにしても毎回毎回、新キャラが出てくる「巌窟王」。原作通りに行くなら、まだまだ出てくるはずなのでしっかりキャラクターを把握しとかんとな……。

アリとエデから離れて、伯爵邸クルーズを続けるご一行(だだっ広い海の上に見えようが、ここが「伯爵の館の庭」だということを忘れてはいけない)。
ふとした会話から、貴族達が愛の無い結婚をすることが多い、という話題になるが、最近ご両親のことでお悩みのアルベール君にはそれが面白くない。しかしそんなアルベールを知ってか知らずか、フランツは「ん、あぁ。わりとそーかも」みたいなことを言ってしまう。

これを聞いて怒るアルベール……かと思いきや、ああなんと! 身分違いの片思い中、純情少年マクシミリアン君がブチ切れ! あーあー、ヴァランティーヌのハンケチにぎりしめちゃって、「あなたがたは穢れている!」とか口走る始末。そんな超個人的事情を知らない貴族のお坊ちゃん達(新聞記者もいるが)は、マクシミリアンの豹変ぶりにビックリ。
アルベールも「ぬぁんだと!」と青さ全開で叫んだところを、伯爵が不思議ステッキ(催眠暗示でも与えるような代物か?)を使って二人にタッチしたところ、あら不思議。「決闘だコノヤロウ!」ということに。
……アルベール、良く考えろ。マクシミリアンは強化軍人(車を一人で持ち上げてた)なんだぞう。

案の定、海の上の細い崖のようなところで行われた決闘は、マクシミリアンの勝ち。むしろアルベール、良く頑張った。
しかし「勝負有り」と背中を向けたマクシミリアンに、卑怯くさく飛びかかるアルベール! あーあー言わんこっちゃないよ、逆に投げ返されて海へまっさかさま。ドボーン……。
アルベェエ〜〜ル!!」絶叫のフランツ。

はい、ここからが今回のハイライト。
まってましたとばかりに「これは夢です!」と一声叫んで、マントをバッサバッサとはためかせながら伯爵、突然の横っ跳び。そのまま空中でマントと帽子を投げて(ここ、一瞬服を全部脱いだのかと思った。すごいドッキリ)オリンピック級のアスリートも驚きの、スーパー飛び込みを披露。
そう、溺れるアルベールを助けたのはまたしても、またしても伯爵だった! そして歯噛みするフランツ(の姿があったかどうかはともかく)……あまりのシュール展開に笑い死ぬかと思いました

それにしてもこのシーンを実現するためには、伯爵のリハーサルもさぞ過酷を極めたに違いないよ……

伯爵:「……このように、この位置まで船を寄せたら、ここでベルッチオ!」
ベル:「はっ」(ブオーッと法螺貝を吹く)
伯爵:「よし! 次、二人がいざ決闘というシーンでは、バティスタン!」
バティ:「あ、すみません伯爵。まだセリフを考えておりませんで」
伯爵:「さっさと考えることだな。なんだ、アリ。自分はどこにスタンバっていればいいかって? そうだな、今回はまあ顔見せ程度ということで、エデの後ろにいるんだ。え? 恥ずかしい? 今さらそんなことを言うな。恥ずかしいと思ってる者が一番恥ずかしいのだ! よし、もう一度通しでやるぞ!!」

きっとこんなかんじだよ。

伯爵に助けられたアルベールは、海岸の洞窟で仲良く焚き火を囲んで、すっかりイイ雰囲気に。
えーと、しつこいようだが、ここは伯爵の敷地内なんだから、「さっさと二人で家まで行けよ!」と思うのだがそうはならず、「私の人生とは、まさにこの箱庭のごとく虚ろで儚いものなのです……」という伯爵の独白と共に暮れなずむ二人。
それにしても伯爵のドレスシャツとサッシュベルトとパンツのスタイルはかっこいい。腰細。足長っ! 微妙にご尊顔が崩れ気味でも、そこはそれ。脳内補正でなんとかしましたよ……。

そして、エンディング。フランツと共に帰るアルベールだったが、今までは漠然としか考えていなかった「結婚について」とか、「好きってなんだ?」なんてことを考えはじめたりしているご様子。
ユージェニーに対する気持ちも「俺ら幼馴染だろ?」と誤魔化しつつも、微妙に今までとは違ったものになりつつあって、「ああ思春期万歳」とか無意味に叫びたくなる気持ちになってしまいます。
こんな健全で素直なアルベールに対して、もうちょっと複雑なのはフランツとユージェニー。ついでにもっと複雑なのが彼らの親世代の人間で……って、はい。こっからはまた来週〜。

あ、一つだけ。海に沈んだ剣はどうなりますか? 先週いかにも伏線っぽく出てきたのに……。まあいいや。


<青の時代、なのですよ>
今回のマクシミリアンやアルベールは、あまりにも青くって、うっわー! と思ってしまった人も多いはず。かくいう私もそう。でもな、誰でもああいう時期はあるもんですよ。一つや二つ、あるでしょう……思い出すと顔から火どころかフェイスフラッシュぐらい出せちゃうんじゃないかって思うようなことが。ね。

そういうわけで、今回の評価星の数。伯爵の顔が所々微妙……でしたが、あの華麗なる横っ跳びに癒されたので、合計星四つです。★★★★

【2004/11/15】

第六幕『僕の憂鬱、彼女の憂鬱』

不揃いの青林檎たち

<あらすじ>
伯爵からオペラ座の招待状を贈られたアルベールは、それを手に婚約者でもあるユージェニーを訪ねる。
途中、偶然にも伯爵と出会った彼は、「パリでの事業を考えている」と話す伯爵に、銀行家であるダングラール男爵――すなわちユージェニーの父親への紹介をかって出るのだった。
男爵は伯爵への融資にはじめは乗り気ではなかったが、目の前に提示された金額を見るなり取引することを約束し、さらに男爵夫人ビクトリアの愛馬エクリプスまで売ってしまう。激怒したビクトリアだったが、伯爵の対応とお詫びの品々に、逆に彼に魅了されてしまうのだった。

一方アルベールは、ユージェニーの憂鬱の原因を知って驚く。彼女の母親ビクトリアの浮気相手が、アルベールの友人でもあるリュシアン・ドプレーだと言うのだ。
様々な思惑を秘めたまま、舞台はオペラ座へ。桟敷席へ現れたモンテ・クリスト伯爵とエデの姿に、注目が集まる中、エデの表情は一変する。彼女の視線の先には、アルベールの父親フェルナンの姿があった。


あらすじでこの長さ。もう、情報量過多杉! 良く動くアニメーション、良く練られたシナリオ。バッチン☆ウインクに、増殖するハート型エイリアン。そりゃエデの乳も揺れ揺れってもんですよ。えぇ。

始まりの舞台は、モルセール家所有のクレー射撃場。自宅に卓球台とか、ちょっとオシャレ気取ってビリヤード台とかなら許せるが、射撃場はちょっと嫌味じゃございませんこと!? と思っていると、その金持ち父さんことフェルナンが小粋に標的を次々と撃墜。対する息子アルベールは……スカ。
それにかこつけて、かどうかは知らないが「なんかさ、親父。婚約者のことなんだけど……ちょっと微妙なんだよね(注:坊ちゃんしゃべりに各自ご変換下さい)」と言うアルベールに、「何をば言うか! まずは形。さすれば結果がついてくるものであるぞ」と返すフェルナン。

普通に考えれば、「まあそういうこともあるかもね」ってセリフなんですけど、これがフェルナンの口から出ると、突然半笑いモノに大変身。さすが経験者のお言葉! 風格すらただよってます。
そこへアルベール宛てに伯爵からオペラ座への招待状が届く。早速その場からユージェニーへ招待券を送ろうとするアルベールに、「自分で持って行け」と言うフェルナン。
さらに、効果音がついてもおかしくないほどの強烈ウインク付きで、「そういう細やかな心遣いが彼女にも伝わるんだよっ!」とだめ押しの一言。
……アホのフェルナン。いつまでたってもアホのまま、どこまでいっても凡人で俗人。ついでに言うと、そのことを一番良く知っているのは実はフェルナン本人で、そのことを隠そう隠そうとしてここまで来てしまいました。
だがしかし、それゆえに、私は、おまえさんが大好きだ。

「はいっ!」というパパ・フェルナンの掛け声と同時に響く銃声(クレーの射出音かも)が、第六幕のサブタイトル『僕の憂鬱、彼女の憂鬱』に重なるのだが、その「バキューン」という音が、なんだか「フェルナン」という単語をマル禁ワードにしてしまったかのように聞こえた……という事は、「おまえさんが大好きだ」と言ってしまった手前、黙っておこうと思う。
しかし実際やつの人生はモザイクだらけだしな。なあ、フェルナンそうだろ?

さて、父親の言葉通りに、アルベールは早速バイクでユージェニーの家へ行く。その途中偶然(必然かもしれないが)出会ったのは勿論、我らがモンテ・クリスト伯爵。
伯爵の馬車に便乗させてもらったアルベールは、(アルベールのバイクは、伯爵の不思議ステッキの一振りで、どこかに収納されたんだと思うのがこの場合自然だよね。自然だよね?)「パリで事業を展開させたい」と言う伯爵に、「それでは、銀行家のダングラールさんを紹介しますよ!」と大喜びで答えるのだった。

ダングラール男爵は成り上がりの銀行家である。その趣味の悪さ・下品さはともかく、投資家としての彼の腕は悪くないし、金への執着心と、鼻の効き具合に関しては一級と言ってもいい。今日も相棒のミシェル(たぶんコンピュータAI)と共に金融業界を渡り歩いている。
ダングラールの妻、ビクトリアは不倫の真っ最中である。お相手は、なんとあの一等書記官リュシアン・ドプレー。このことは秘密どころか、旦那の方も黙認状態で、朝食の席では二人仲良く株式談義をする始末。
その二人の一人娘、ユージェニーは憂鬱である。父親は金の亡者で、母親は若い男と遊び呆けているのでは無理もない。好きなピアノを弾いても[※注1]気は晴れないし、そのうえ婚約者は「超」が付くほど鈍感ときてる。家を出たいと思ってはいても、それが無理だということを良く知っている。

こんな愉快なダングラール一家ですが、私は相当こいつら面白いと思った。原作より魅力あるかも。悪趣味だけど結構コミカルなところもある男爵がいい。金のためなら女房も騙すところもいい。
男爵夫人のほうは、若い男はひっぱりこむわ、馬のエクリプスで大騒ぎするわ、とにかくやりたい放題。でもあの二の腕とか、おしりのあたりのマッタリ感は悪く無いと思う。まあ、眉は描いたほうがいいと思うけどな。

というわけで、ドプレーのことを一概に「趣味わるー」と言ってはイカン(だってそういうのが好きなのかもしれないじゃないですか……)と思うのだけども、やつはやつで、男爵と二人で(つまりダンナと間男という素晴らしいコンビで)何やら御相談しているようだ――ってそれ、インサイダー取引とか言うんじゃないですか? (ドプレーは内務省書記官、要するに『官僚』だから、いろんな情報持ってそうではある)
ともかくこの愉快な一家の仮面舞踏会は、伯爵もお気に召したご様子で、いつにもまして芝居がかった素晴らしい演技なさっておいででしたので、見ている私も満足した次第であります。

それでこの仮面夫婦の子供としては、奇跡的な成長を遂げたと思われるユージェニー嬢ですが、結構アルベールと仲いいんじゃない? いいんじゃな〜い? まーどっちかってと友達以上兄弟未満(恋人未満では無い)ってかんじだけどさ。
……ところで突然で申し訳ありませんが、フランツって結局どうなのよ。 誰が好きなのよ。明白でしょ、と言われる方々も多いと存じますが、噂の『第二幕』を見ていないのでなんともまだ言えないような気が。ユージェニー狙いなのかもしれないし……もう少し様子を見てみたいと思います。

それから、解りやすいほど解りやすいマクシミリアンは放置しとくとして、ヴァランティーヌ。あの子は結構フランツ好きだよね、あれは。完璧に無視されてて、ちょっと可愛そうだなあとは思うけど、うーん。こればっかりはなぁ。
ともかく、この(伯爵から見たところの)子世代の青林檎ドラマは、原作にはほとんど無い部分ばかりで、毎回毎回「あーあー」とか、「もー」とか、「いやーそれは……えっ、やっぱそうなの!?」と、一人で激しく呟いてしまうぐらい楽しんでます。もっとやれ!

そしてオペラ座のシーンの件ですが、「亡きプリンスの桟敷を買い取った」という伯爵。……プリンス? 誰だ、誰だろう。気になる! んーま、エデ関係かなあ? とか思うんですけど。
で、エデですよ、エデ。全身3Dのスケスケドレスで、胸も揺れ揺れですよ! いや、びっくりした。つうかそんなに胸あったのか! と。
でも綺麗だったなあ。伯爵と並んで桟敷に立つところなんか、私の心のオペラグラスも五メートルぐらい伸びましたね。

あと、フェルナンが自分の桟敷に入って、モンテ・クリスト伯爵の桟敷を探す時、一生懸命下の方を見てたのは笑えた。フェルナンがそんなアホなことしてる間に、メルセデスは伯爵と見詰め合っちゃってますよ。
あーダメだ。私はこの伯爵の顔に弱い。その向こうでエデがそっと目を伏せてたりするあたり、「もーもーもーモーーーーー!」って一人で叫んでました。

その後はエデ、フェルナンに気付く → 空中浮遊 → 伯爵のミラクルキャッチで以下次幕へ。
エデはフェルナンにスゴイ因縁がある(はず)なので、楽しみですよ。ねえ、伯爵?

何も文句ないです。星六つ! ★★★★★★


[※注1]
演奏している曲は「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第ニ番」。
ユージェニーのお年で、あんだけ弾ければスゴイんじゃなかろうか。(難曲だから)

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