あか しろ きいろ きれいなのは なんのいろ? *カラフル*「楽しかったね」 「うん、なんだか得した気分」 本日休日。 と友人のは街中を二人で話しながら歩いていた。 その顔は口調と同じく嬉しそうだ。 「ん、あれ桃じゃん」 「え? あ、ホントだ」 の指さす先には確かにつんつん頭。 隣の少年と話していてこちらに気づいていないようだ。 が桃城の名前を呼ぶと、こちらを見て一拍おいてから手を振って近づいてきた。 「にじゃん。何してんだ?」 「それはこっちのセリフ。部活はどうしたの?」 「今日は休み。だからそこの公園で後輩のコイツと打ってきたとこ」 桃城がそう言って横のリョーマを指さす。 リョーマは、ども、と頭をさげ、桃城を見る。 「あぁ、オレのダチでと」 「です。よろしくね」 「どうも、だよ。越前君だっけ、噂はきいてるよ」 生意気な1年が入ってきたって桃が言ってたから、と笑うの言葉に リョーマは顔をしかめて桃城を見る。 ホントのことだろーが、と笑い桃城はリョーマの頭を押さえ込む。 「それより、オレらこれからメシ食いに行くんだけどよ。一緒に行かねーか?」 「ん、私たちもそろそろお昼にしようかと思ってたけど」 「越前君はいいの?」 「リョーマでいいッス。別に構わないッスよ」 桃城の手をどけて言うリョーマの言葉で意見は一致したので、 全員で近くのファーストフードを目指して歩き始めた。 「そう言えば桃、なんかさっきこっち見たとき変な顔してなかった?」 「へ? そうだったか?」 「あぁ、なんかとまどった感じでしたね」 「そっかぁ?」 「私たちがここにいるの不思議だった?」 3人に言われて桃城はつかの間考え、の顔を見てぽんと手を打った。 「そーそー、の顔見て変な感じしたんだよ」 「桃、ケンカ売ってる?」 爽やかな声とは裏腹に、の目は笑っていない。 桃くんひどーい、とも責め口調。 リョーマは我関せず、といった風だ。 いやそうじゃなくて! と桃城は慌ててを止める。 「なんかこう、違和感っつーか慣れないっつーか」 「私服だから、とか?」 「でも顔見てって……あ」 ひょっとして、とはつぶやき、手で口元を示す。 首を傾げる桃城の横でがあぁ、と目を瞬かせる。 「さっきそこでグロス買ってつけたんだけど、違和感ってそれ?」 「グロス…ってプラモとかに塗る?」 「桃くん、それ何処まで真面目に言ってる?」 ちょうど信号で立ち止まったところで、とにジト目で見られて、桃城はたじたじとなる。 「ディップグロス! …まぁ、つや出しって言えばこれもつや出しだけど」 「さっきネイルと一緒に買ったの。ネイルアートのお試しもやってもらったんだよ」 ほら、と見せられたの指にはピンク色の爪。 それは確かに綺麗に塗られていて、彩り鮮やかだった。 「こんなちっこいところによく塗れますね」 「ホントにね。自分でも時々やるけど、今日は綺麗に塗ってもらってびっくりしちゃった」 「もこれ、やってんのか?」 「うん、ほら」 差し出されたの爪にはブルーベースの色。 「うげ、まずそう」 「…………桃、あんたねぇ」 「桃先輩……」 「……桃くん」 思わず零れた桃城の言葉に、は拳を握りしめる。 横ではリョーマが呆れ、がそろそろフォローしきれなくなっている。 「いやほら、腹減ってきてるからさぁ」 「それにしたって、人が気に入ってるモノにケチ付けるって何よ!?」 「あー、そのあれだ。えーと、あ、」 何!? とかなり怒りゲージが上がってきているに、桃城は笑顔で言った。 「唇の色は、うまそうだぞ」 「…………っの大馬鹿者ーーー!!」 のアッパーカットが、綺麗に決まった。 「ってーな、何すんだよ!?」 「最低最低最低ーーー!」 「なんだよ誉めたんだろー? てか今グーで殴っただろ、お前!!」 「当然の報いでしょうが! 少しは考えて喋んなさいよね!」 「何だってんだよ、一体!?」 信号がかわり、とリョーマはにぎやかな二人から離れ歩き出す。 「いいんすか、あの二人」 「いーのいーの。そのうち周りの視線に気づくよ」 「まぁ、あの二人のそばにはいたくないッスけど」 振り返れば未だ言い争う二人の姿。 周りの注目を集めまくっていて、正直あそこにいたいとは思わない。 「あんな先輩たちでゴメンねー。迷惑料ってワケじゃないけど、今日はジュースおごるよ」 「どうも。あ、先輩」 嬉しい申し出に気をよくしたリョーマは、とんとん、と自分の唇を叩く。 「先輩も似合ってるっすよ」 「……ドウモ。ポテトも奢ろっか?」 苦笑気味のの言葉にリョーマはごちそうになります、と返し店のドアをくぐる。 そんな二人にと桃城が追いつくのは、リョーマがジュースを飲み終えた後だった。 *あとがき* 時間軸的に言えば「着信履歴」よりも前です。 てわけで桃城君でした。 桃城君ファンに石投げられそうな気がしてきました。 私も桃ちゃん好きなんですが。おかしいな。 作中の商品のイメージは資○堂のマジョリカ。 天使のほっぺと素直がお気に入りです♪ いろんな色があってお店で見てると楽しいです。 45秒マジカルドライは本当にビックリ。 ちなみに回し者ではありません(笑) 今回、リョーマ君が思ったより動いてくれました。 メインよりサブでの方が動かしやすいって何なんだろう…。 ちなみに、ちょこっとおまけあります。おまけ>> 2004.06.21 伊織 <<戻る |