体験談『先生 インシュリン注射うたなきゃダメですか?』
━糖尿病患者の自覚━
元県立K高校教諭 T・T
『あなたは境界型です。今のうちにきちんと対処すればなんとかなります。』
といわれたのが、もう20年も昔のことになりました。
「運動不足」と指摘されながら、普段の生活での運動不足に全く気づかないうちに
『あなたは、真性の糖尿病患者と言っていいです。』と宣告されるのにたいした時間がかかりませんでした。
『1.体重を減らしなさい。2.きちんと運動をしなさい。』と言われ続けながら、毎日薬を常用するようになりました。
髙田先生を紹介されたのもそのころのことです。家の近所の医院から『髙田先生の追っかけ』と自称するくらいのお付き合いが始まりました。
小さな錠剤を1/2にして飲む段階から2錠、3錠へと進むようになりましたが、まだ自分が『糖尿病患者』という自覚はなく、食べるもの、日常生活は好き勝手な過ごし方をしていたものです。
『Tさん、やはりインシュリン注射に切り替えましょう。』という先生のお言葉に、
『来月までにはきちんと節制してきますから、それだけは勘弁してください!』と何度も抵抗を重ねてきたものです。
「インシュリンを注射する」ということはなぜか「本当の糖尿病患者になってしまう」という意識があったからです。血糖のコントロールが自分の膵臓から出るインシュリンでは間に合わない、ということは分かっていたはずなのですが…。
とにかく、『注射だけは避けたい』というのが本音でした。
今から3年前の夏、ついにインシュリン注射をうつための入院研修が始まりました。
薬からインシュリンへ変わって何が一番大きな変化だったのかと考えてみました。
『注射だけは何とか避けたい』と考えていた最大の理由は、毎日自分の腹に注射することへの恐ろしさとか面倒くささというものではなく、上に書いたように『これで本当の糖尿病患者になってしまうんだな』ということだったのです。
結果は、『膵臓がインシュリンを十分に出せない分、注射によって血糖のコントロールを図るのですよ。』という先生の言葉を素直に受け止められるようになったこと、『私は糖尿病患者』という自覚ができて、生活面での様々な変化が出てきたこと。例えば、毎日きちんと歩く(目標、最低10000歩)とか、減量はなかなかできませんが、というのが今の気持ちです。
糖尿病患者としての自覚、また、合併症を避け、きちんと病気と向き合う自分を作り上げれば周りに迷惑を掛けずに済むかな、という心境です。