----- こんな本に出会いました -----
本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ。

書名など
江國香織「号泣する準備はできていた」 新潮文庫,2006.7初版発行
    233ページ,400円+税 
 

 人気作家の直木賞受賞作品。
 書名の格好良さに引かれて読んだ。  
 この作者の作品も読んだことがなかった。例によって,誰のものなら読んでいるかというと,誰のものもほとんど読んでいないのだが。
 私には,江國滋の長女で作家,くらいの意識しかなかった。有名人の子供も大変だ。

 江國滋の「おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒」の中で,彼に,がんが見つかった時,「蚤がフンしたような字で,香織からのファックスがきていた」旨の文があった。
 蚤のフンは見たことがないが,字体が想像できるような気がする。

 本書は,品の良いまたは高級感あふれる文章に感じられる。貧しい生活,辛い生活の描写はあちこちにちりばめられているが,それは一瞬で意識から消えてしまう。 
 多くの短編が集められた本であり,書名となった,「号泣する準備はできていた」は最後から2番目。競馬でも,重賞レースは最後から2番目と決まっている。それなら,11編構成か,と数えてみたら12編であった。数えるほうがおかしいか。

 「私は,隆志のやさしさを呪い誠実さを呪い,美しさを呪い特別さを呪い,弱さを呪い強さを呪った。」という文を見た見ただけで,作者の才能が多彩であろうと感じる。そして,読点「,」の使い方の凝っていること。

 若い時に読む本かな。年をしたなあ。
 でも,けっこう楽しめた。辛い話も,なんとなくほのぼの読めたから。
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