----- こんな本に出会いました -----

<書名など>
 「リーマン博士の大予想」 数学の未解決最難問に挑む
    カール・サーバー著,黒川信重監修,南條郁子訳,紀伊国屋書店
    2004年12月第1刷発行,410ページ,2,500円+税   長野市立図書館で借りた


         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ


以前読んだ東野圭吾の「容疑者X」で,容疑者もしくは犯人がリーマン予想を研究していた。
今時,こんな研究している人がいるのかと思った。
ちょっと気になっていたら,市立図書館でこの本を見つけた。
 
 汚れているからかなりの人が手にしたのかもしれない。そして厚い。
 英語と日本語のタイトルが微妙に違っている。日本語のほうが分かり易いが少し大げさ。
 数学の解説ではなく,リーマン予想にまつわる話である。

 自然数において素数は何個あるか。こういう所に興味を持ち,本当に調べてしまうのが数学者の凄いところ,もしくは私に理解できないところ。
 私なら即,結論づける。無限にある,と。
 素数の数を求めていたら出てきた,ζ(ゼータ)関数。

  ζ(s)=Σ(1/nのs乗)

 いつのまにか,sが複素数の場合,ζ関数がゼロになるsを求める問題に発展する。
 sの実数部が1/2のとき,多数の複素数が解であることが分かっている。

 「実数部が1/2以外の解はない」というのがリーマン予想である。
 リーマンがこの予想を論文にした1859年から約150年経過しても解かれず,いまや,解いた人に懸賞金を出すはめになっている。

 取り組んでいる学者は沢山いるらしいことが分かった。日本人では少ないが結構いる。日大の本橋洋一教授は有名らしい。
 当たり前だが,数学の論文は正しいことが大切。本人が正しいと思っても,現実はそうはいかない。
 論文を査読する人の苦労が偲ばれる。
 何より,現代数学は現実世界との関連を気にしない。論理の展開が正しいかだけに関心が行っているように見える。

  本書は縦書き。数式だけ横にするというもので,この手の本では珍しい。私には読みにくい。
 それにしても,縦書きも横書きも通じる日本語はすごいと思う。

 ζ関数のグラフで,関数の解についての説明をしている。(127ページの図5)
 あれ,座標軸の説明がない。横軸は変数? s? sは複素数だ。どうも虚数部らしい。実数部は1/2なのだから。
 縦軸は,ζ関数の大きさ? ζ関数は複素数ではないか。どうも絶対値らしい。
 常識で分かりそうなものと言われそうだが,こういうことに気になる。だって,分かりたいとは思うが分かって読んでいるのではないから。
 リーマン予想を反証する解を探し出す図解(183ページの図13)では,灰色の点という説明があって,図の中をいくら探しても灰色の点はない。
 白いのがあった。これだ。灰色にするのを忘れたか,印刷したら目立たなくなったのか不明。
 理屈っぽい本だからこうことが気になってしまう。

 これが解けたら,つまり実数部が1/2以外の解が見つかったら,または1/2以外はないと分かったら。
 数学上の大発見になる。
 もちろん,私は「へー,そうなんだ。すごいね。で,それがどうしたの?」。
 いまから,みもふたもない感想が分かっている。
 数学者とは感受性が違う。だから数学者にはなれないのだ。
 ナンプレを解けないことに悔しがっているのが関の山。

 それに,100万ドルの賞金が欲しくて研究する人がいないらしい(と書いてある)。
 だから,数学はノーベル賞の対象にならないのか,などと勘ぐってはいけないのかな。
 それは表面だけかもしれない。
 欧米では,名誉とお金が欲しくてノーベル賞向きの研究をする研究者が沢山いるのだから。

 この本のおかげで幾つかのWebページを見た。
 たくさんあったが,どうもうさんくさい気がするものも多かった。

 まずは  Wikipedhiaの「リーマン予想」の項
 http://ja.wikipedia.org/wiki/リーマン予想。

佐藤郁郎さんのHP 「リーマン予想が解かれた!(かも・第4報)」
 この先生のページはすごい。数学界では有名らしい。
   http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/koramu/246_riemann.htm

「米数学者、リーマン予想の証明を宣言」という記事も
   http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0406/10/news028.html

「上の論文全文」(もちろん,読まなかった。雰囲気のみ味わう)
http://www.math.purdue.edu/~branges/apology.pdf

 めずらしく数学関連の本を読んだ。その上,思わず引き込まれてしまった。
 東野圭吾君,ありがとう。
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