----- こんな本に出会いました ----- <書名など> 「旅行者の朝食」 米原万里著,文春文庫 2004年10月第1刷発行,262ページ,467円+税 本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ |
ずっと気になっていた人であるが,初めて読んだ。 ロシア語通訳で,エッセイス。そのストレートな物言いは,しばしば「舌禍美人」の異名を取った人。 本書の予備知識はなく,旅行中読もうとして衝動買い。アトランタ行きの飛行機の中で読んだ。 アトランタへ行った訳ではない。 乗り継いでペルーへ行った。マチュピチュへ行った訳でもない。 |
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旅行中に食べる食事のあれこれが書かれた本だと思っていた。 彼女がそんな素直なタイトルの本を出すはずがない。 それはそれとして,彼女の生い立ちの一部,食べることへの情熱,なかなか面白かった。 ついでに,友人には,ガセネッタとかシモネッタとか,センスありそうで,そうでもない愛称をつけている。 キャビアの話もある。さすが,外国暮らしが長く,各種会議の通訳をしただけあって,国際的,そしてソ連的内情に詳しい。 そういえば,私は20年も前に,ウクライナのオデッサでチョウザメを食べたことがある。 国際会議に行った時,着いた夜出された特別料理だった。 「日本人は魚が好きと聞いたので,他の人とは別メニューにしました」とのこと。 好意をありがたく受けて,食べてみると,これが言いようもなくまずいが,そんなことは言えない。 受け入れ担当の研究員が,「美味しいでしょう」と自慢する。 それには返事をしないで,魚の名前を聞いた。当然,何やら知れぬロシア名を言われた。 「大きいのか,小さいのか」などと聞くと,にっこりして,一言 "Mother of caviar"(キャビアのお母さん)。 タラを無理矢理,塩と醤油で煮しめていたら堅くなっちゃった,いう感じのものであった。 食後「とても美味しかった,ありがとう。おかげで元気が出ました。明日から他の皆さんと同じ食事で大丈夫です。」と伝えた。 この旅行でキャビアは食べなかったが,街のレストランでウェイターが,「良いものがあるけれど買わないか」とポケットからこっそりキャビアの缶詰を出して見せた。 買わなかった,もしくは,買えなかった。 闇商品とは言え,高かったし,当然,贋物の疑いも。 なお,国際会議は,英語で発表すると,ポーランド人の通訳がロシア語に直してくれるというものであった。 ロシア語の発表もあったが,英語にしてくれたか,覚えがない。 話がとんでもないところに飛んでしまった。 著者の米原万里さんは,2006年,56歳で亡くなられた。 |