----- こんな本に出会いました -----

<書名など>
 「昨日とは違う今日を生きる」 
    千葉敦子著,角川文庫
      1988年1月初版発行,188ページ,340円+税   


         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ


 書店で探したが見つからなかった。
 思いがけずブックオフで見つけた。105円 
 
 
 ニューヨークへ移り住もうと考えていた時に,がんが再発。
 定期検査で発見された。
 私も同じことを言いそうであるが,周囲から言われた一番多い言葉は
 「定期検査していらしたんでしょう?」
 当然だが 「定期検査を受けていたからこそ再発が見つかったのよ」と説明した,と書いている。

 アメリカで治療を受ける場合のアメリカの保険制度に困惑しつつ,
 「主張する者に対しては公正なところも大いにある社会だ」
 「日本のように黙っていても政府が医療費の7割を負担してくれるといっためんどうみのよい社会とはちがい,自助独立の精神が要求される」と言いつつ,彼女はこういった世界に道を開いていける人物であった。

 本書は,まだ,日本ではがんを告知しない時代の話あるから,現在と大分事情は異なるが。
 現在の日本は,ほぼ100%告知はするが,健康保険制度があやしくなってしまった。

 とはいえ,ニューヨークという活気のある街で,女性が一人で日本から移り住み,働き,闘病する著者の力強さは迫力がある。

 最後に,がんの再々発により声がでなくなってから,沢地久枝とのファックスでの対話もストレートである。 

 自分では覚悟しているつもりであるが,実際に再発や転移を告げられたら,どういう心境になり,何をして生きていくか,いささか自信がない。
 その点,本書はあまりに力強すぎる。

 余計なことではあるが
 この本で,著者は病名を当時の習慣で「ガン」と書いている。
 ある外科医の書いたものに,病名としては「がん」と「癌」。(意味するところは違う)。カタカナで「ガン」と書くと銃のことだ,とあった。
 私はここでは,ひらがなにした。
  
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