----- こんな本に出会いました ----- 本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ <書名など> 「散るぞ悲しき」 梯久美子著 新潮社,2005.7発行 244ページ, 1500円+税 |
いまだに硫黄島への慰霊団がニュースになる。 その上,総指揮官,陸軍中将栗林忠道は松代の出身。それで,やっぱり読んでしまう。 著者の梯は,「かけはし」と読むことを知った。 |
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硫黄島の話は何度読んでも悲惨。 最後の訣別電報 「国の為 重きつとめを果たし得で 矢弾尽き果て散るぞ悲しき」 は,新聞に掲載されたときは,最後の部分が,「散るぞ口惜し(くちおし)」と変えられていたという。 硫黄島に着任してから全滅するまで,栗林は勇猛果敢な指揮官であったことになっている。ただ,弱みを見せたことはあったらしい。 最後に出撃する時は「ずっと元気だった彼が,その時は見るかげもなく憔悴し,疲れ切った表情だった」という証言がある。 総指揮官がそんな状態になったのは信じがたいが,最後まで元気であったとすれば,それもおかしい。そんなに楽観するにはあまりに日本の実情を知っている。絶望せずにいられたとは思えない。 日本の見境なしの作戦の典型であり,遺族はいつになっても納得がいかないであろう。 せめてもの慰めは,総指揮官が人格者と言われる人であったことであろう。 |