----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>
 神話が語るヨーロッパ世界の原点「アエネーイス」
      小川正廣著
      岩波書店,2009.2 第1刷発行
      191ページ, 2,100円+税
 


 ウェルギリウスの本は読んだことがないのであるが、アエネーイスという名前だけは知っていた。
 伝説では主人公はローマ建国のロムルスの先祖である。
 ウェルギリウスはダンテの神曲の中で案内役として出てきた有名人。生きたのは帝政ローマの最初の時代。

 昨年チュニジアへ行った時、チュニスのバルド美術館で、ウェルギリウスを描いたモザイク画を見た。手に持っているのは著書「アエネーイス」である。
 アエネーイスにはこの時から興味を持った。

 今回買ったのは、アエネーイスではなくその解説。本書にも、そのモザイク画が載っていた。
 私は同じ画をガイドの説明から離れてこっそり写真に撮ってきたことがひそかな自慢。
 自慢ついでにその写真を右に。訳のわからないおじさんが3人いるだけと言ってはいけない。
 

 作者ウェルギリウスは、長身、色は浅黒く、田舎者の顔つき。健康状態は不安定で、小食。酒はほとんど飲まなかった。性格は内気で、人前で話すのは下手だった、という記録が残っているらしい。当人としては書いてもらう必要のない内容だったかもしれない。誰が書いたんだろう。

 「アエネーイス」は、トロイ戦争で負けた王族の一人「アエネーアス」が、こっそりトロイを抜け出し、艱難辛苦の長旅の末、ローマ建国の祖になったと伝えられる叙事詩。

 ギリシャ語では「アエネーアスの物語」は「アエネーイス」となるらしい。そう言えば、「オデュッセウスの物語」は「オデュッセイア」だったなどとどうでもいいことが頭に浮かぶ。
 かつて、知り合ったギリシャ人に「ギリシャの人は今もギリシャ語を話しているのか」と聞いてえらく怒らせてしまったことがある。

 本書は、「アエネーイス」がヨーロッパの歴史に与えた影響や、成り立ちなどの解説である。
 アエネーアスがローマの先祖であるとなると、かつてギリシャに負けたトロイがローマをつくり、何百年の後ギリシャに勝つというかたき討ちみたいな話に発展しそうであるが、もちろんそんなバカなことは書いてない。
 話は後にローマと呼ばれる地に着いたアエネーアスとトゥルヌスとの決闘でほぼ終わっている

 ウェルギリウスはアエネーイスによって「西洋の父」と呼ばれるほど大きな影響を与えた。
 ローマ帝政が始まった時期に書かれた書が、キリスト教社会の根源に通じる内容をもっているという。
 そこのところは解説を読んでいるだけであるから、ふーん、そうなんだとうなずくしかない。

 そして、随所に出てくるギリシャの神々が例によって、人間くさくて理解しがたい。

 さて、今後ウェルギリウスの「アエネーイス」を私が読むことになるかどうかは不明。

戻る