----- こんな本に出会いました ----- 本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ <書名など> 「ローマ亡き後の地中海世界」上、下 塩野七生著 新潮社,上 2008.12、下 2009.1 発行 上下共 3,000円+税 |
やっぱり買ってしまった。 この著者がこれまでにどれくらいの印税を得たかを試算していた友人がいるが、その後どれくらい増えたのだろうか。 私はこれまでに25冊買った。 |
本著者の手になる「ローマ人の物語」は5世紀の西ローマ帝国の崩壊で終わっている。名高いギボンの「ローマ帝国衰亡史」は15世紀の東ローマ帝国の滅亡まで書いていたが。 確かに東ローマ帝国はローマ人ではない。 その後のローマ(イタリア半島)に関心が行くところである。そしたらやっぱり書いてくれました。地中海世界をテーマにしたその後を(待っていました)。 サラセンとオスマントルコ、すなわちイスラムの時代が始まるわけであるが、ほとんどが海賊の時代であったことには驚かされる。それも大部分は政府公認。税金を払い、戦争になれば軍隊として雇われる。海賊の頭目が海軍司令官にさえなる。 ヨーロッパの中世が暗黒時代と呼ばれるのは何もキリスト教会の退廃によるものばかりではないことが分かる。その上、事情は最悪でもスペインとフランスの利害対立は収まらない。 ルネッサンスがおきてもアメリカが発見されても状況は変わらない。アメリカで仕入れた荷物があっさり海賊に取られてしまう。北アフリカ沿岸は海賊が必要な社会体制に変わっていく。 まるで今のソマリア沖だ。中世と違うのは海賊が税金を納めないこと。当り前だが非合法。 それからいくと中世の海賊は合法的、つまりイスラム政府公認海賊である。まあ、イスラム政府が海賊の親分だったということになる。 そんなことを政府がしても良いのかということになるが、歴史上は善悪とは別に存在する。昔、歴史で「匈奴」と「万里の長城」というのを習った。なぜか地中海の海賊は習った覚えがない。その時間は寝ていたからかもしれない。 これではヨーロッパは滅びてしまうのではないかと心配になるくらいの歴史である。ヨーロッパに平和がくるのか心配しながら読んだ。 ヨーロッパ社会も、今のようになるまでそれこそ1000年以上も苦労してきたんだと感心してしまう。 |