----- こんな本に出会いました ----- 本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ <書名など> 「ローマから日本が見える」 塩野七生著 集英社文庫,413ページ、2008.9 第1刷 648円+税 |
この著者の本は、いずれも人間の考え、動きが中心である。 特別付録という項の「英雄たちの通信簿」という言葉にひかれて買った。 |
なぜローマ史に興味を持つかと言うと「人間とは何か」を知る最高のヒントであるということから始まっている。 ローマの改革や失敗などについて羅列しながら、最後に、日本もまた長い混迷の中にある。それがかつてのローマのように次の飛躍のための足踏みとなるのか、民主政末期のギリシャのよう没落していくのか・・・「わかりません」と。 日本の諸悪を数え上げればそれだけで憂鬱になってしまうほどですが・・・こうした諸悪は最初から悪であったわけではない。善意で始まったさまざまなシステムがある時期を境にして害毒を撒き散らす存在に変わってしまった。ここに今の日本を考える上での出発点がある、と言っている。 ところで英雄たちの通信簿であるが、イタリアの高校の歴史の教科書(日本の大学の教養課程に相当)に次の記述があるという 「指導者に求められる資質は次の五つである。 知力。説得力。肉体上の耐久力。自己制御の能力。持続する意志。 カエサルだけが、このすべてを持っていた。」 日本のビジネス誌などの書いてある指導者の条件、決断力、実行力、判断力などはまったく触れられていない。理由はこの三つの資質は当然持ち合わせているはずという理由である。日本の場合、リーダーとは調整能力に優れている人のことであって、組織を率いていく指導者ではないとこれも明快に判断している。 著者は古代の歴史上人物について上の5項目について単純にして明快に点数を100点満点でつけている。 5項目とも100点なのはカエサルとペリクレス(ギリシャ)。 ところで、クレオパトラはとみると、知力は30点、説得力20点、自己制御力10点とこれは最低。これは彼女の知性などには関係なく、国のリーダーとしての力を採点した結果である。「ただの王女であればその教養は魅力ではあった」と書いてある。そうか、そうなんだ。 総勢28人の採点表に理由がついている。 アレクサンダーの自己制御力80点については、100点をつけたい気はするが古代ギリシャ人の通例で深酒をしてしまうから、などとある。 自分に点数をつけられるのはいやであるが、人の点数は面白い。それが辛口であればあるほど。 |