----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>
 「イリアス」上下
      ホメロス著 松平千秋訳
      岩波文庫,上 454ページ、下 488ページ、 2003.5 第18刷発行
      上  800円+税、下 860円 +税



 以前、アガメムノンを読んだ。トロイ戦争に勝った総大将のアガメムノンが帰国したら、不倫していた妻に殺されてしまうという悲劇になっていた。
 十年も家を空けていればそんなこともあるかもしれない

 トロイの戦場でアガメムノンは何をしていたのだろうか、ということから読んだ。


 トロイへの途中、敵対する都市国家を攻めながら行くのであるが、その戦いで得た戦利品の配分で悶着を起こす場面で始まっている。アガメムノンが戦場で得た愛妾を成り行きから返した結果「自分は損をしているから戦利品の分配をやり直そう」と言い、他の大将は「今さらイヤダ」と応じない。何とも人間らしく、いじましい。

 まあ、理屈を並べたにしても戦争の本音はそんなものかもしれない。

 両軍の激突の前に、アカイアからヘレネを連れ去って来たパリス(アレクサンドロス)は元の夫メネラオスと決闘するという、話のような話があって、パリスは負けてしまう。それを巡って周囲の人のもろもろの騒ぎが。

 ギリシャ神話の神々が二手に分かれて、両軍に味方するという何だか分からなくて面白い背景がある。
 ゼウスはトロイに、その妻ヘレはアカイアに、他の神々も二手に分かれている。
 でも、ゼウスが一番偉くて、神々に「どちらにも味方してはいけない」と言ったかと思うと、ヘレの作戦に騙されてキレてしまい、「みんな勝手に好きな方を応援しろ」などと言いだす。
 ゼウスにとって最も苦手な相手は妻のヘレというのが笑える。ゼウスよお前もか。

 全体の構成が講談のようになっている。
 両軍が戦闘に入る時、それぞれの総大将が率いる軍の紹介が延々とある。
 言うなれば、両軍の勇者を紹介し、「むずと組んでどうと落ち」みたいな話になっている。
 アガメムノン、アキレウス、アエネアス、・・・・、勇者は両軍にわんさといる。

 戦いが最高潮になったところでアカイアのアキレウスとトロイアのヘクトルの一騎打ちでアキレウスが勝つ。これには女神アテネの助勢があった。アキレウスはヘクトルを車につけて引きずり回すという乱暴な行動に出る。
 これをやめさせるためにテティスがゼウスに言われて遺体を返させる。
 ヘクトルの葬儀がトロイアで行われるところでイリアス終わっている。

 あれ、トロイの木馬の話はここでは関係ないらしい。そこまで話が行っていない
 最終的に決着がついて両軍が講和を結ぶ、という話にはなってない。

 ところで、イリアスってどういう意味?
 「イリオスの歌」なんだそうだ。イリオスとはパリスの住むトロイアの都市の名前。そこの城はイリオスの城である。

 それから、夫がありながらトロイアへ連れていかれてしまったヘレネも時折登場するが、自分の状態をどう考えているのか、分からなかった。

 戦争にパリスとヘレネが引き金になってはいるが、そればかりが唯一の原因でないし、それが解決すれば戦争が終わるわけではないことが良く分かる。

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