----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>
     「江戸の数学文化」  

      川本亨二著 
         岩波科学ライブラリー70,  1999.10  第1刷発行
         106ページ、1,000円+税、



 市立図書館で借りた。
 和算を知りたかったわけではないが、和算を発展させる人がいないのはなぜか、という疑問から読んだ。


 関孝和などの和算は極めて閉鎖的で家元制度のような感じであった。だから家元がなくなれば終わってしまう。和算を発展させる人がいないわけだ。

 本書の話は、それとは違って、庶民の数学である。

 江戸時代は代表する通俗の数学本は「塵劫記(じんこうき)」であることを知った。これまで塵劫記のことは何にも知らなかったから。

 庶民の数学は実用だけが大事で、体系的なものはなかった。
 内容は、お金の両替(金、銀、銭の換算)、大工の屋根の勾配による斜面の長さの計算、・・・。
 もちろん、そろばんは大切な計算道具だった。
 円周率は専門家は3.14を使ったが、庶民は3.16だったというのも面白い。

 ただ、お金の勘定は下賎の階級のすることと考えられ、武士階級からは注目されなかった。
 明治になって、小学校の算数教育はだいぶ混乱したらしい。教える先生がいなかったから。

 長野市の鬼無里地区には江戸時代は数学のグループがあり、毎年説いた問題を額に入れて「算額」を作り神社に奉納したという話を聞いたことがある。
 本書ではそんなことはもちろん書いていない。

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