----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>
     「納棺夫日記」  増補改訂版

      青木新門著 
         文春文庫,  1996.7 第1刷発行
         227ページ、467円+税、



 有名な「おくりびと」の原著ともいえる本。
 かつて、妻が病床の中で読んで、私にも読むように言った。
 私は読まなかった。こういう時期にこういう本を読みたくなかったから。

 それが今頃になって読んだ。
 青木新門の「カイラス巡礼」などと言う本を貸してくれた人の影響もあったかもしれない。


 冠婚葬祭社に就職した著者の経験から話は始まる。

 病院や家族に見守られて最期を迎えることが多いだろうが、ここではそれとは違った死が語られている。
 それにしても大変な状態というのはたくさんあるものである。

 納棺夫という言葉も職業もなかったが、著者はいつのまにかそうなった、または、そうさせられた。著者自身が辞書をひいても納棺夫という言葉は見当たらなかったと言っている。

 それにしても、人は死ねば棺に入れられる。特に日本では。
 家族が入れるのでなく葬儀社の人が普通であろう。特に納棺専門の人がクローズアップされることはなかったような気がする。
 その点では、ごくふつうにあったはずの仕事を注目させた意義は大きい。
 そういえば、葬儀は葬儀社に頼むのが普通になった。
 私も祖父母の時はそうではなかった。両親の時は躊躇せずに葬儀社に依頼した

 後半は詩、文学、宗教の話になっている。そうだろうなと思う。
 非情な体験は人間を宗教に駆り立てるのかもしれない。

 それにしても、人間は死ぬのも死後も大変。

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