----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>
     「ゼロの焦点」  

      松本清張著 
         新潮文庫,  2009.10  第119刷発行
         481ページ、667円+税、



 最近映画化されたりして話題になっている本を衝動買い。
 119刷というすごい数字に驚く。
 清張の本はあまり読んでいない。その上、読んだ本はあまり印象に残っていない。我ながら不思議。


 戦後、昭和20年代からの話である。いうなれば占領軍がいたころの話。
 私は泥だらけになって遊んでいた。

 話の展開はともかく、登場人物は言葉づかいが丁寧である。きっと上流階級の人たちであろう。
 主人公の女性、禎子は何度も東京と金沢を往復し、金沢ではかなりの日数滞在している。お金には不自由していないらしい。
 もっとも、お金がないから出かけられないのでは話は進展しない。

 その上、訪問した会社の受付の女性が話す英語は、米兵相手の女性が使う英語であると即座に見破る実力もすごい。
 英語のわかる人もいたんだ。当り前かもしれない。
 私も子供のころ、あの人の英語はそういう英語だ、という噂になった人がいたことを覚えている。私の村にも占領軍(進駐軍と言った)が来ていたから。皆さんは英語が分かったのだろうか。今になっては確かめようもない。

 ところで、本書に出てくる新聞記事では事件を伝える様子が考えられないくらい詳細である。事件の状況がほとんど分かる。
 また、あちこちに聞いて回ると、役場の人などがずいぶんいろいろ教えてくれる。本人確認なんてしていない。いい時代だったんだ。

 ずいぶん時代が変わったことを感じさせられる。それなればこそおもしろい。
 松本清張って面白いんだ。ただし、古典として、という気持ちで読んだ。

 ところで犯人は「そうだよな、それしかないよ」という結末だった。おかしなひねりがなくてうれしい?
 私でも、最初から犯人の見当がついた。もっともこういう本は犯人探しを主体に読むだけではないであろうから、それで良いのだ。

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