----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>

     建築探訪(14) 地中海のイスラム空間
      (アラブとベルベル集落への旅)

      森 俊偉著 丸善
      2002.8  110ページ 発行 2,305円+税



 チュニジアを建築家が見た、つまり建物、街並みが中心に書かれている。
 行ってみたことがあればこそ、私でも多少の関心が持てるという本である。
 市立図書館で借りた。


 カルタゴの遺跡。ローマ時代の遺跡、アラブ風の建物、そして現代フランス風建物。
 チュニジアはどこへ行っても珍しい建物が見えた。

 建築家が見た街並み、家屋などであり、ちょっと変わった本になっている。
 現在の都市の多くはイスラムとの歴史に起因する。

 アラブ人が侵攻し、築いたのがアラブ・イスラム都市である。イスラム教の思想と侵攻の戦略拠点であった
 それまで住んでいた農耕ベルベル人は平野を追われ山岳地帯や砂漠地帯へ追われた。
 反対に遊牧ベルベル人は力を増した。
 山岳地帯に住むベルベル人の住居を見たとき、地面に掘った土の家など、あまりに地域的な作り方になっていたのを不思議に感じたが、それは近隣の交流を制限された歴史的結果である。

 また、建物は街路に面した部分は窓がほとんどなく、中庭方式になっていることも外部から遮断しなくてはならなかった事情による。

 建物のスケッチなどたくさんの図面が添えられているが、私にとっては「ふーん」だけのものであった。建築の専門家にとっては貴重な資料であろう。

 陽の沈む国(マグリブ)がここまで過去の遺跡に近い住居を伝え、それに適した暮らし方をしているのは不思議に近い。

 ところで、数年前まで私がチュニジアについて知っていたことは、「カルタゴ」と「カスバ」くらいであった。
 「カスバ」については、そのむかし「カスバの女」という歌があったから。
 現地のガイドもこの歌を知っていた。私もなぜか知っている。

 この歌の歌詞がすごい。
 「ここは地の果てアルジェリア」とか「あすはチュニスかモロッコか」というのがあった。
 だから、この歌の登場人物はアルジェリアにいるのであって、チュニジアではない。更に、チュニスという都市の名とモロッコという国の名が並んでいるのがすごい。
 その上、カスバと聞くうとうらぶれた貧しい街を連想してしまうが、実際は「支配者の居住区、要塞、官庁街」など高級な街並みを指すらしい。

 私にとっても地の果てというのは実感であるが、カルタゴは紀元前にローマと戦争をするほどヨーロッパに近い。チュニジアの人から見ると、「日本こそ地の果て」であろう。
 あ、こういうことは本書には全く関係ない。

   
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