----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>

     「評伝 河口彗海(えかい)

      奥山直司著 
      中公文庫
      2009.11 初版発行  533ページ、1,429円+税 



 チベット旅行記を読んだおかげで、著者の河口彗海について知りたくなって読んだ。
 Y.K氏の一言がなければ、知ることもなかった人物である。


 当然ではあるが、明治時代に鎖国状態のチベットへ行こうとする人物であるから常人ではない。
 著者自身が河口彗海に傾倒しているのも事実であろうが、本人の資料だけでなく環境に至るまでしっかり記述した大部な本になっている。

 後年になって彗海が通った経路をチベット旅行記を参考にたどった人がいる。
 山の名前は書いてなくても形や雪の描写から分かるという。これによると最も西北のカイラス付近はどこを通ったか分からないという。
 それが普通だと思うが、チベット旅行記にあまりに突飛なことが書いてあるため、本当は行かなかったのではないか、という疑問が出されたようだ。おかげで大嘘つきのレッテルを貼られたこともあった。それももっともなような気がする。

 彗海がチベットを脱出後、彗海と交流のあった多くの人物が逮捕され、心を砕くあたりは功名心だけで行ってきたのではないことを感じさせる。

 彼が持ち帰った経典は、どこに所属すべきかでおきるいざこざも、金の出所がからんで面白いというか、やれやれというか。

 こういう事業は熱意だけでは無理で、本人の信仰心、体力などに加えて、周囲の援助、お金の準備など大変であったことであろう。

 彗海がどういう人物であったかについては、
 ものすごい真摯な人と言うか、とんでもない人というか、・・・良く分からなかった。

 また、日本の仏教界に及ぼした影響についても、混乱はあったらしいが、良く分からなかった。

 
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