----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>

     「アエネーイス」上、下

      ウェルギリウス作、泉井久之助訳
      岩波文庫
      上、497ページ、1,080円+税  下、453ページ、1,020円+税
      2010年2月 第6刷発行
  



 読みたい気はするけれど、読めず。
 その上、本屋では見かけない。
と長いあいだ思っていたら、岩波文庫で2010年に重版が出た。
 早速買った。
 そしたら気が済んでそのままツンドク。
 今になってやっと読んだ。


 トロイア戦争で、負けてしまうトロイアの王子がトロイアを抜け出すところから始まる。
それにしても、カルタゴの女王と恋をし(惚れられ)、それを振り切ってまた旅に出るなどは、うまい話になっているが、カルタゴ人はどう感じるのだろう。
 今、カルタゴは遺跡しかないから、それはそれで良いかもしれない。
 神話では主人公アエネーアースは地中海を延々と旅をし、ついにローマの祖になる。
 これを国民の神話もしくは心の拠り所にするために、初代ローマ皇帝アウグストゥスがウェルギリウスに執筆を依頼したという。

 この作品を書いたウェルギリウスは、できばえに不満だったのではなかろうか。
 あるいは、神話を事実っぽく書くには気が引けたように感じた。
 理由は良く分からないが読んでいての感じはそうであった。

 韻を踏んだ文の翻訳が大変であるのは分かるとしても、翻訳の口調には最後までなじめなかった。
 それに句読点のうち「、」の位置がずっと気になった。

 最後の一文を引いてみる。
 アエネーアースの決闘相手トゥルヌスが死んだ場面である。

   「敵の五体は冷え冷えと、なって次第に力抜け、
    うめきと共に生命は、怒りを含んで霊たちの、
    国へくだって逃げてゆく。」

 美しい文なのかもしれない。
 それはともかく、読み終えた感想は「けっこう重い本を 《読んだ!》」であった。
その上、気が抜けてしまった。
知らず知らずのうちに、緊張して読んだのかもしれない。

 また、その後しばらく他の本を読む気になれなかった。
 不思議な迫力のある叙事詩である。

 
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