住職挨拶

 現代の日本は物が豊かで、科学も発達しました。わたしたちは、本当に便利な生活を送っています。しかし、心豊かに日常を送っているかといえば、そうでもありません。忙しさや人間関係におけるストレスをかかえて生きている人が多くなっています。

 また、長寿社会になりましたが老、病、死の苦しみを避けることができません。人生の苦悩は次から次へとやってまいります。

「必ずあなたを救いとり、浄土に生まれさせて、仏にしてみせます。」との阿弥陀如来の救いを人生のともしびとしますと人生が意味深いものになります。

 

親鸞聖人(しんらんしょうにん)が阿弥陀如来のはたらき(南無阿弥陀仏)乳母(にゅうも)のごとしとたとえておられます。お母さんのお乳にはあかちゃんのための栄養が全部ふくまれています。そして、免疫力もあります。それをあかちゃんは素直に口にし、お母さんの腕のなかで気持ちよさそうにねむります。そして育っていきます。私たちも阿弥陀如来のはたらきを素直にうなずけたら、安心を頂きます。親鸞聖人は次に一切善悪の往生人を養育し、守護せんがためなりとおっしゃいます。阿弥陀如来はわたしたちを仏の子として思いやりやおかげさまの心をもてるように育ててくださり、「今、ここ、わたし」のところにいてくださるのです。阿弥陀如来のはたらきをよろこび、灯火(ともしび)とし、南無阿弥陀仏とお念仏申す日々を送っていきましょう。「人間として生まれてよかった。生かされてきてよかった。」と言える人生にしていただくのです。