メモ帖ー’12

 

TOP     メモ帖'11 伝言板  

 

12/12/27 寒波

 全国的に強い寒波に見舞われる中、当地でも積雪と共に寒中並の寒さが
続いている。

 ここ何日か早起きして気嵐を狙ってみたが中途半端な立ち方で、改めて
その条件の難しさを感じる。気温はいいのだが、風が強いために拡散して
しまうのだ。

 

2012/12/21 俯瞰

 昨年から撮ろうと考えていた気嵐の俯瞰、場所は近郊の小山としていた
から、雪が気になっていた。

 目的の場所までは夏場だと15分程度の登りだが、もう40センチの積
雪がある。長期予報を頼りに今日を試し撮りの日と決めて、先日スノーシ
ューで踏んでおいた。

 日の出は6時50分頃、撮影のタイミングはその前後10分というとこ
ろだから6時10分頃に歩き始めた。踏み跡を行くのは想像以上に楽で、
25分もあれば着けそうだ。

 次第に明るくなって、踏み跡の上に小動物の足跡が結構見える。彼らも
新雪を踏むのは疲れるとみえて、それは周囲に付いた跡より多そうだ。

 ふっと笑いが浮かぶ、タカノハの匂いは彼等になじめるものだったか。

 

2012/12/10 根雪

 この1週間毎日のように風雪で荒れた。久しぶりに穏やかな天気になっ
た一日、あちこちを走り回って見る。

 どこもここも、すっかり雪に被われて真冬の景色になっている。積雪が
40センチくらいだから、もう根雪になるだろう。

 クリスマス辺りに雪景色になるかどうかという当地では、12月初旬の
根雪は随分早いという印象だ。

 

2012/12/03 流浪の覇者−再び「史記」から

 春秋の五覇に数えられ明君と評される晋の文公、その流浪の生涯を興味
深く読んだ。

 名は重耳(ちょうじ)、そもそもが公子(嫡子は太子)の立場であり、
君主となることを約束された存在ではない。
 愛妾の子を後嗣にしたい父の討手から逃れ19年に及ぶ流浪の日々を送
った末に、故国の混乱もあり他国の力を借りて帰国を果たすことになった。

 故国を直前にしたその重耳一行に、一つの挿話がある。
 主が晋の君主となるのだから、従う者たちは報奨に心躍らせていたこと
だろう。
 その中にあって介子推という人物は、(重耳が君主となるのは)天の導
きであり、個々の手柄ではないと言い切る。
 子推はその後隠棲してしまうのだが、この一話が文公の数奇な運命を評
した部分になっている。

 父の私情で兄の太子が殺された。それは長い亡命という辛苦を強いなが
らも、結局は重耳が晋の君主となる発端でもあった。
 そうしたことも含め、重耳が晋公となり得たのは到底人智の及ぶところ
ではない、即ち天の意志であると子推は考えたのだろう。
 立身という意味合いではなく、優れた人物を君主として戴くことになっ
た国の命運を思ってのことだ。

 

2012/11/28 冬枯れの林で

 天気がパッとしない。雪・雨と続く日々の中で、天気のいい日だけが撮
影日でもなかろうと家を出た。

 小雨が降っている、思いついたのはエンレイソウの咲くあの林だ。雨に
煙る冬枯れた景色、どう撮ればいいのか見当もつかないまま、しばらく枯
れ葉と雪を踏んで歩き回った。

 

2012/11/24 初雪 

 先日降った雪、初雪が溶け残る日陰ではまだ氷状になっている所がある。
というわけでタイヤ交換をして、郊外の山に行ってみた。

 町中ではあっという間に溶けた雪が、小さな山にはまだほとんど残って
いる。冬枯れとなった雑木には雪が張り付いていかにも寒々とした光景だ。

 展望台から海と山を眺め、いよいよ冬に突入したことを実感する。雪の
遅い当地では、これから積雪期までの冷え込みで土が凍てついていく。
 
 長く感じるこの時期は、心理的にも寒さが身に染みる。冬枯れた木々の
影、日暮れも早くなり吹く風は冷たい。

 

2012/11/19 冷え込む朝

 11月も半ばを過ぎて驚くことでもないのだが、今朝は心底寒いと思った。
おそらく今年一番の冷え込みだったろう。
 まだ青々としていた牧草も霜が降りて真っ白になっていたし、日陰では
道路も凍り付いている。

 

2012/11/11 カラマツの色彩

 雪は確実に麓へと近づいている。もっとも今年は全国的に降雪が遅いよ
うで、各地で平年より5日遅れというような便りだ。
 
 遅まきながら、紅葉もピークを過ぎて広葉樹などの天然林では葉を落と
し、枝を剥き出しにした木々が目だつようになった。

 そんな中で僅かに色を残しているのがカラマツだ。防風林など人工林で
主役になるこの黄葉は、日差しを受けると金色に輝いて視線を誘う。

 

2012/11/04 山に雪

 楽古岳の山頂付近が雪をかぶった。昨日山脈を覆っていた雲はやはり雪
を降 らせたのだった。
 暖かいと思っていた年ではあるが、さすがにここに来て寒くなってきた
ことを実 感する朝晩だ。

 

2012/10/30 里山紅葉

 山道を行くとミズナラが鮮やかに色付いている。ちょうど朝日に照らさ
れて輝く崖上の一群に目を奪われた。こんもりしたその葉は明るい中で驚
くほど多彩な光を見せている。

 カエデ類の華やかな色彩は見事だが、この辺りに多いカシワとミズナラ
を主にした雑木林の紅葉も捨てがたい、と常々思っている。

 

2012/10/25 クマの出没

 日光でハイキング中の人がクマに襲われる、という報道があって驚いた。
それから数日後には山形で新幹線とクマの衝突だ

 北海道でも、ここ数年こうした事故が多くなっているような気がするし、
人里に出没する事例も多くなっている。

 山でドングリなどの食糧が不足すると人里に出没するというが、それだ
けだろうか。
 餌不足というのは両面あって、餌の供給に対して需要が増えている、つ
まり熊の生息数が増えている、と考えることもできるだろう。

 一方人間の方は、いわゆる里山に入る機会が少なくなった。地方の過疎
化・高齢化そして林業の低迷だ。熊からすれば、山の外はすぐに人里にな
る。

 

2012/10/18 山道の秋

 日々に色づいてくる木々。山道では少しずつだが、紅葉の気配がしてき
ている。シラカバの葉が乾いて色を変え、ツタの類がまだ青々としたカラ
マツに絡みついて、こちらはもうかなり赤い。

 ミズナラなども、木漏れ日に透かして見ると微かに茶色をうかがわせる
色合いが分かる。

 

2012/10/14 紅葉のオンネトー

 好天の予想に早起きしてオンネトーに向かう。もう紅葉が始まっている
だろう。これ以上遅くなると道路事情も心配になるから、今日こそ、とい
う思いがある。

 十勝平野を北上していく道々、木々の葉が秋の深まりを思わせる。水気
を失った葉が風に揺れて、澄んだ大気に振りまかれている陽光を反射する。

 そんな燦めきを楽しみながらオンネトーに到着する。天気は予報通り晴
天、やや雲のかかっていた雌阿寒岳、阿寒富士もほぼ全身を見せていた。

 紅葉は思ったほど進んでいなくて、ちょうどいい頃合いだ。まだ緑が残
って豊かな色彩が楽しめる。

 

2012/10/11 史記

 王朝(夏、殷、周・秦)の変遷を語る司馬遷の言
「忠の疵は小人を以て野なるなり、敬の疵は小人を以て鬼なるなり、文の
疵は小人を以て「し(にんべんに塞)」なるなり・・・云々」 
 ※(注1)「疵(きず)」の字は、意が通じるとして私が当てたもの、
   原文の字は現代の用字にない。
 ※(注2)「し」というのは、形式・様式にとらわれて精神が軽薄な
   状態のこと(訳者の解)。

 「忠」「敬」「文」の概念は現代日本のそれと同一の解釈はできないだ
ろう。忠・敬については近いと考えるが、文については文言の意味ではな
く、定められた形式を指すようだ。

 小人はこうした徳目を日常の規範として行ううちに、ややもすれば、そ
れぞれ上記の悪しき状態に陥るというわけだ。 

 小人というのは一般庶民のことだから、それが人間の本質であり王朝の
崩壊につながった、と偉大な史家は喝破した。

 

2012/10/04 然別湖、糠平湖

 家族で然別湖畔に一泊、ついでに糠平湖まで足を伸ばしてみたが、どち
らも紅葉はまだ早い。後1週間くらいだろうか。

 

2012/09/20 オンネトー

 夏の観光シーズンも過ぎて走りやすかろう、とオンネトーまでドライブ。
最南端の当地からほぼ南北に十勝を縦断するコースになる。
(往復350キロ、片道約3時間のドライブ)

 

2012/09/15 猛烈な残暑

 呆れたことに、この日30度を超える暑さになった。今日に限らず、暑
い日が続いたこの9月に驚くばかりだ。

 気になる花の移ろいは、今のところほとんど変わりないといっていいよ
うだ。リンドウも咲き、まもなく盛りを過ぎようとしている。

 強いていえば、ヤマハギに勢いがあったこととツリフネソウとキツリフ
ネが遅くまで姿を見せていること。
 

 

2012/09/07 特定外来生物

 上高地でオオハンゴンソウが見つかったというニュースを見て、そうよ、
ワシらの土地でも凄いことになっとる、と独り言。

 生態系を乱す恐れがあるという政府指定の外来種、分かりやすいように
も思えるが、どこか曖昧さが感じられる。

 オオハンゴンソウよ咲き誇れ、というつもりはない。それは生態系を乱
す要因の一つに過ぎない、ということだ。
 生態系を乱すものといえば、たとえば人間の手によるものが幾つもあり、
それらは多分外来種以上に害をなしてきた(生物から見れば)。

 それに、確かな根拠を持って言うのではないが、長期的に安定した生態
系などはない、と個人的には思うのだ。

 

2012/08/30 ヤマハギ

 今年はヤマハギが元気だ。色が鮮やかだし、花数も多い。
 記録的な猛暑は花たちにどんな影響を与えるのか、とぼんやり考えてい
て頭に浮かんだこと。

 

2012/08/23 事故二つ

 朝から消防らしいサイレンに驚いていると、或る知り合いが自宅の火災
で亡くなったという連絡が入った、痛ましいことだ。

 もう一つの事故は我が家の車、幸い軽微なものだったが。

 

2012/08/20 猛暑

 ひどく暑い日だった。朝から花を撮り歩く間、車に乗っているだけで汗
が噴き出る。
 こんな暑い日にツリガネニンジンやトリカブトを撮った記憶はない。

 

2012/08/12 山道を

 日高山脈の東麓に広がる十勝平野、のっぺりした平原をイメージする人
が多いだろうが、タカノハは今その山裾に興味がある。

 先日の内陸部へのドライブで、山脈を取り囲む地帯の植物相が相当に共
通しているのでは?という想像が浮かんだ。

 そんなこともあって、隣町の山中を走ってみた。おおよそは地図で確認
し、その後は道路任せだ(地図に無い)。
 
 どこへ行き着くか分からない山中のドライブ、下って曲がってを繰り返
した30分ほどの道中にやはり既視感を覚えた。

 

2012/08/05 五輪観戦

 自由人の強みで、深夜から未明にかけての競技も結構観戦できた。

 日本選手の活躍に時に心打たれながら、一つ気になったのは柔道選手た
ちの敗戦の弁だ。
 申し合わせたように「申し訳ない」の言葉が出てくる。精一杯戦ったの
なら、誰かに詫びる必要など無いと思うのだが。

 

2012/07/28 神田日勝記念美術館

 2時間ほど車を走らせて鹿追町までドライブ。日高山脈の東麓に沿うよ
うな道中から普段見ることのない日高山脈北部を望む地へ。

 神田日勝、32歳で早世した画家は力の漲る画を残している。なにしろ
キャンバスはベニヤ板なのだ、生半可な想いでは埋めようのない広さと深
みを持つ空間だ。

 

2012/07/26 昆布採り

 海霧(ガス)に煙る黄金道路沿いの海岸に小舟が幾つも姿を見せている。
夏の風物詩ともいえる昆布採取の季節になったのだ。

 男たちは暗礁を巧みに避けながら、岩場に着いた昆布をたぐり寄せ船に
積み上げる。

 近代的なコンクリートの消破堤やトンネルなどの構造物も目につくが、
そそり立つ断崖と小舟とが織りなす風景は人の営みを強く意識させる。

 昆布が良く干せる晴天と穏やかな波の日に限られる採取の日は多くない、
5日に一度くらいだろうか。

 

2012/07/13 いじめ

 大津の事件が大騒ぎになっている。いじめはずっと以前から問題視され
てきたのに、未だにこうした痛ましいことが起こる。

 いじめが社会問題になってから、私の記憶では少なくても20年以上に
なる。この間、自身も親としてこの問題に直面したこともあった。

 今回のように表面化したものは氷山の一角に過ぎず、潜在的ないじめは
日常化している筈だ。

 結局、学校側は隠蔽することで回避するしかなかった、というのが一つ
の結論なのだろう。それは良くも悪くも学校の限界という面も含めてのこ
とで、学校任せでは子供を守れない、と認識することが必要だ。
 

 

2012/07/09 夏風邪

 風邪を引いたのは久しぶりという感じだった。それも夏の時期となると
いつのことだったか思い出せない。

 喉の奥がムズムズすると思っているうちに鼻水と咳、熱はないから普通
に過ごしていたものの、昨日はだるくてなにもする気になれなかった。
 

 

2012/07/03 カラフトイバラ

 ここ数年気になっていたものの、つい観察をおろそかにしてきた花。今
の自分では花と実を見ないとハマナスとの違いが判然としない。

 

2012/06/28 夏日到来

 6月の末になってようやく夏らしい日が続き、このときとばかりに一番
牧草が刈り取られている。
 いくら技術や機械が発達しても天気の運行に任せるしかない農業だ。こ
の時期に雨でも降られたら大変なことだった。
 

 

2012/06/15 スズラン

 幾日か撮り歩いた日々は晴れ間がなかった。それだけでなく、ほとんど
気温が上がらない。
 確かにスズランの時期はそれほど好天が続くわけではない、それにして
も冷夏を予感させるような日々が続く。

 

2012/06/10 消長

 ハクサンチドリという花がどうも気になる。咲く場所は何カ所か知って
いるのだが、毎年咲き方が違うような気がする。

 たとえば、一定の範囲に昨年5株を見たのに、今年は2株しかなかった
というようなことが多いのだ。現に今年もある場所では、一本も確認でき
なかった。

 消長あるいは盛衰という言葉を想起する。人の歴史の中に見るそれを植
物に重ねることが適当だとは思わないが、絶対的な存在ではないという意
味で。

 

2012/06/05 蝉の声なし

 エゾノハナシノブは、時雨れるようなエゾハルゼミの鳴き声の下、とい
う感覚だったのに今年はそれがない。

 寒いのだ、オホーツク高気圧が優勢でなかなか暖かくならない。初夏の
花々は同じような時期に咲いて来ているが、体感する季節は夏とは言いが
たい。

 

2012/05/30 畸形の後日談

 先日のシラネアオイだが、数日後に再度確認に行ってみた。

  当初は単純に最上部の葉から二つの茎を分岐して2花をつけていると見
たのだが、よくよく見ると太い方の茎にもう一段葉が付いて、その上に花
がある。

 更に驚いたことに、その緑色の葉の一部がシラネアオイの花色(萼の色)
をしているのだ。

  花という器官は葉から分化したものと記憶しているが、その過程で何か
トラブルが生じたのだろう。

 

2012/05/27 花2つをつけたシラネアオイ

 シラネアオイを撮っていて、花を2個付けた個体を見つけた。一茎一花
と記憶していたのでちょっと気になった。

 家に戻って手元の図鑑を見ても、茎頂に花を一つ付ける、とある。その
個体は、通常の花をつける場所から茎2本を分岐してそれぞれに花をつけ
ていた。その太さも、それぞれがつけた花の大きさも同一ではなかった。

 畸形の一つだろう、どのくらいの確率で出現するか知らないが、珍しい
ものに出会ったものだ。

 

2012/05/22 オオバナノエンレイソウ'12

 今年は4日ほどいつもの群生地に通った。ここ数年で一番時間があった
にも関わらず、たぶん撮影した枚数は一番少なかったと思う。

 いろいろな意味で自分は変わると思っているが、さて、どんな風に変わ
ったのだろう。この林でオオバナノエンレイソウを眺めて、もう10年以
上になる。
  眺める目が変わったのか、カメラの使い回しが変わったのか、ふとそん
な想いに囚われる。
 
 今年は空を強く意識していた。無茶だと思いながら、エンレイソウの背
景に梢を入れたいという欲求があった。

 

2012/05/18 山菜採り−2

 そろそろ見頃を迎えそうになってきたオオバナノエンレイソウ、いつも
のように朝からそれを撮っていると携帯が鳴った。

「今なにしてるの?」
 山菜採りの師匠から、今シーズン最後のアイヌネギ(ギョウジャニンニ
ク)採りのお誘いだった。一も二もなく承知、キリのいいところで撮影を
切り上げ、待ち合わせ場所に向かう。

 場所は伏せるが、そこは別天地のような場所で呆れるほど採れた。わず
かな時間に家族3人では到底食べきれないくらいを採ったが、その場所か
らすれば間引き程度のものだ。

 

2012/05/10 畸形

 先日撮ったキバナノアマナの一つに畸形のものがあった。撮影しながら
妙に賑やかな花だという違和感を覚えて、何枚か撮ってきていた。 

 モニターで改めて確認してみるとメシベが2本、オシベも通常の倍数あ
るようだ。
 ただ、花弁だけは倍数の12枚ではなく10枚のようにしか見えない。
その点を除けば、二つの花がくっついて一つになったという形状だ。

 以前から、生き物にとって劣等と思われる個体が実はその種属の希望に
なることだってある、と考えていた。このような畸形というべきものもそ
の一つだ。

 最近、生物の多様性がいわれるような場面も多くなった。異物を排除す
ることと取り込むこと、相反する判断が容易ではないと思いつつも多様性
の議論には注目したい。

 

2012/05/06 3花は終えて

 5月の頭は雨を含めて天気が悪く、3花もカタクリもいつしか勢いを失
くしてしまっている。

 久しぶりに晴れた今日は、場所を変えてミズバショウを見に行ってきた。
心配した通り林道の奥は進入禁止になっていて、手前の小規模な群生しか
見ることができなかった。
 

 

2012/05/02 歩く

 先日の山菜採りで、まだまだ山を歩くには脚力不足と痛感したこともあ
って、市街の里山を歩いてみることにした。

 麓の駐車場に車を止めて、歩き始める。小さな山だが雪の季節には手強
いことになりそうだと思う。
 確かめたかった眺望は、中腹にある展望台でものになりそうだった。な
にもない今日の道で10分ちょっと、雪を漕いで30分くらいだろうか。

 気嵐を撮りながら洋上に伸びていく様子を俯瞰してみたいと思い、その
場所としてこの山しかないだろうと考えていたのだ。

 

2012/04/29 早春の色彩

 フクジュソウは遅れたが、その他の花はそれほどでもない。早春の3花
やカタクリなどは、ほとんど例年並に姿を見せて連休に盛りを迎えそうだ。

 白、黄、青、淡い紅、雪に晒された無機質な林床に小さな花たちの色彩
が顕れてくる。雪に圧しつけられていた枯れ草もふんわりと温もって、そ
の間から顔を出す花をくつろがせる。

 木々は冬枯れたままだから、最初に姿を見せる早春の花々はよく目だつ
し、木々の梢に見える青空をバックにすればその淡い色彩が良く映える。

 この季節の晴れた日には、何ともいえない爽快な時間が流れる。ファイ
ンダー越しに見る花は小さくない、表面の微細な凹凸までも含めて瑞々し
い花色に引き込まれる。  
 

 

2012/04/27 山菜採りのこと
 
 あることで知人に連絡を取ると、「ちょうどいい時期だアイヌネギを採
りに行こう」と誘ってくれた。(自分にとっては、山菜採りの師匠)
 
 山歩きが好きで、山菜採りといっても目的が山菜なのか山歩きなのか分
らないところがある人だ。案の定、まだ深い雪の残る沢を詰めての急斜面
だった。

 自分が一つの斜面に張り付いてもそもそ採っている間に、彼は沢を挟ん
だ逆の斜面から自分がとりついた斜面までを軽々と歩き回っている。
 息を乱し汗まみれになっている自分を情けないと思いつつも、友人を呼
んでジンギスカンをするくらいは採れた。
 

 

2012/04/21 ヤチブキ

 雪融けの地面から続々と立ち上がってくるフクジュソウを何日か撮った
頃、ヤチブキの見られる谷地へ行ってみることにした。

 林に残る雪も日に日に少なくなっていく様子に、そろそろ良かろうと判
断したのだ。ところが、谷地へ抜けていく林の雪は思ったより深く、結局
車に戻りスノーシューを持ち出す羽目になった。

 近づくと木々の間に黄色の花が見えてきた。一月遅れのご対面だな、と
心中で呟きながらホッとするような気分になる。

 盛期には狭い水辺を花の黄色と葉の緑色で覆いつくすヤチブキだが、ま
だ丈も低くまばらに姿を見せているだけだ。
 それでも、花かごにも見えるこんもりした株も幾つか見える。咲き始め
の花と葉は瑞々しい生気に満ちて、その種が孕む力を感じさせる。

 

2012/04/12 帰宅

 父母の法事をかねて1週間の旅をしてきた。後半の4日は久しぶりの一人
旅。
 酒田から宿泊地を決めないで気が向くままに東北を歩く、この4月から
自由の身になった自分を馴らす旅だった。

 

2012/04/02 林へ

 4月に入った、気になっていた花の様子を見ようと林へ入る。雪は南向
きの斜面でようやく消えた程度で、畑などは全面被われたままだ。

 柏の林を進んでいくと、日差しが高くなって林内は明るいし、木の根元
にはササが見え初めている所もある。

 それでもヤチブキの咲く小さな流れには若葉がポツポツとあるばかり、
あの黄花はまだのようだ。

 

2012/03/26 吉本さん

 懐かしい名前だった。断片的な読み方しかして来なかったが、いまだに
書棚には「言語にとって美とはなにか」と「共同幻想論」などが並んでい
る。

 偶然テレビ欄に見つけた彼の番組を見ることにした。なるほど、言葉と
いうのは少ない方がいいのかもしれない。年老いた思想家がもどかしげに
発する言葉の方が、難解な書物よりも分かりやすいと思えた。

 

2012/03/20 雪景色

 暖かい日が続いて積み上げた雪も大分融けてきた、と思えばまた雪が降
る。
 2月も雪の多い年だと思っていたが、3月半ばに入っても圧倒的な雪景
色だ。例年だとフクジュソウなどを探す時期だが、この雪ではどうしよう
もない。

 

2012/03/10 氏素性

 個性を生み出してくる遺伝情報の海、そういえばいいだろうか?

 

2012/02/28 大雪

 正月の穏やかな陽気はなんだったのかと思うほど、今月は寒くて雪も多
い。元々年明けの大雪が多い当地だが、家の周りを見てもいつにない雪深
さだとはっきり分かる。 
 
 いっぺんに30から50pというどか雪のほかに、5pくらいの小雪が
多いのが今年の特徴のような気がする。
 だから山野を覆う雪原は絶えず新雪をまとって、この時期でもくすみの
ない輝きを見せている。

 

2012/02/20 狩猟

 地元ハンターのエゾシカ猟に同行させてもらう機会があって、山中を歩
き回ることになった。

 このところ急激に増えているエゾシカは、尾根筋を中心に山中の至る所
にシカ道をつけている。
 雪深いこの時期、山中を歩き回るのに難儀すると思っていたのだが、お
陰でスノーシューを履く必要もなかった。

 時折、駆けていくシカの群れと遭遇した。疾走するシカは驚くほど早く、
あっという間に狭く急な山道を遠ざかっていく。

 シカを追うハンターは人数も減り高齢化が進んでいるから、年々狩猟数
は減っているという。農林業被害の広がりに各機関が対策を講じているの
だが、実効は芳しくないようだ。
 

 

2012/02/13 遭遇

 アザラシを観察しようと、また海岸の崖まで散歩してみた。目的のアザ
ラシは3頭も岩に乗っていて、怠惰(?)な姿を十分に見せてくれたのだ
が、感動は別のところにあった。

 岩場の先端でアザラシを確認し、近づこうと移動していたときだった。
いままで自分が立っていたすぐ下に突き出た岩があり、そこに鳥に似た朽
木があると見えた。

 なんと、朽木に見えたそれが動いたのだ。巨大な鳥が悠然と翼を広げ、
飛び立っていく様を呆然と眺めるばかりだった。
 洋上高く舞い上がったそれが空に溶け込むまで眺めながら、ようやくオ
ジロワシだろうと頭に浮かんで来た。

 別にオジロワシでなくてもいい、自分の目で巨大な鳥を見たというだけ
で十分な経験だ。太平洋と日高山脈が接する場所にふさわしい生き物、自
分が大いなるものの中に在ることを知る。

 

2012/01/29 気嵐を撮る

 初旬には空振りが多かった気嵐。この週末は相当な寒波が入りそうとい
うので張り切って支度した。
 河口からの眺めもいいが、何事も多面的に見るべしという自分の信念も
あって、今年は別の場所からも撮ってみようと思っていた。

 日の出からのわずかな時間が勝負、6時半くらいに歩き始めて7時少し
前の日の出に備える。先週の大雪で新雪は歩きにくかったが大体思い通り
に海岸に出て待ち構える。

 この日の寒波は確かに今シーズン最高で、当地でもマイナス16℃に達
したようだ。すぐに指先が痛くなってくるが、年に一度のチャンスだと思
えば頑張りどころだ。

 想像したとおり、河口から流れ出した寒気が気嵐を立てて一筋に沖へと
伸びている。先が高く立ち上がった様子は海面を這う龍のようにも見える。
その長さはざっと1キロ以上にもなるだろう。

 その後、河口に行って渚の様子を観察したのだが、やはり気嵐は川霧と
は違う。川筋から流れ込む陸上の寒気が海面に立ち上る水分を冷やして霧
を発生させるのだ。

 

2012/01/21 錯誤

 先日、撮影したオオワシをオジロワシと認識してしまった。
 ある知人に教えられて誤りに気づいたのだったが、自分の思考の段階を
なぞって面白いものだと思う。

 実は、撮影しながらオジロワシにしては、という違和感を覚える部分は
あったのだ。それなのに何の疑いもなく結論付けたのは、結局先入観とい
うやつだ。
 何年か前、同じ場所にオジロワシが居ついていたという記憶が、「大型
のワシ」イコール「オジロワシ」という結論を導いた。

 違和感を覚えた部分は、若いのだろう、個体差もあるさ、など一応の理
由を上げながら自ら疑いを捨てていた。

 一言でいうと「思い込みは恐ろしい」ということに尽きる。外部に原因
があったわけではない、自分の内に誤った結論を導く原因があった。

 

2012/01/17 凍て鶴

 用足しに出かけたついでに、日高山脈の夕景を撮ろうと足を伸ばしてみ
たら、目指す場所近くの路上をタンチョウヅルの番が悠々と歩いている。

 近づいてもあわてる様子もなく、接触しそうになってようやく脇の雪原
に飛び退いた。
 それでもこちらの存在など意に介さぬ風情で、2羽はそこに立って動か
ない。

 凍て鶴、という言葉を思い出した。夕日を浴びて一本足で立ち尽す姿に、
侵しがたい儀式のような雰囲気が漂う。
 素人には行為の意味が分からない。この雪上には餌になる穀類が落ちて
いるわけでもないのだ。

 見ていると、時々は凍て鶴も小さく場所を代えている。しかし、日が落
ちてもその場を離れる気配もない、このまま夜を過ごすのだろうか?

 

2012/01/14 アザラシ

 スキーは自重することにして、しばらくはスノーシューで雪上の散歩を
しようと海岸に行ってみた。

 カラマツや雑木の林を抜けていく間に、獣が歩き回った跡を幾つも見か
ける。夏場よりもむしろその活発な行動が見えてくるようだ。 
 1キロ弱を歩いて海岸に出る。そこは空と雪原と眼下に広がる海で占め
られた素晴らしく明るい空間だ。

 この海岸は少しばかり岩礁がある場所で、崖の上から見下ろすと海鳥に
混じってアザラシが頭を出しているのが見える。
 定住については誰も確認していないと思うが、6〜7頭が確認できた。

 300ミリの望遠では頭を撮ってもしょうがない、跳ねるのを狙ってカ
メラを構えるが、そうそう都合よくはいかない。
 しかし幸運はあるもので、しばらくしてから再び目をやると、一頭が岩
の上に乗って全身を見せている。少なくとも、アザラシと分かる写真には
なるだろう。

 

2012/01/08 変化すること

 動き回るとこの世界に流れを起こし、その流れは別の生命になにがしか
の影響を及ぼす。影響の大小は別にして、生き物たちが在るとはそういう
ことだろう。
 
 人間の社会もそう考えると、様々な運動のエネルギーがどこからもたら
され、どこに発せられるかヒントを得られるかもしれない。

 ユーロ危機は、正月明けの為替相場でも好転の兆しは見られない。20世
紀に世界の覇権を手にした欧米の文明はどこに向いていくのだろう。もち
ろん無縁ではいられないこの国も。

 

2012/01/05 寝正月

 年末に痛めた膝がなかなか治らずに、不自由な正月。もっぱらテレビ、
DVDの鑑賞とネット閲覧で過ごし、昨日からリハビリとばかりに動き始
めた。

 ちょうど親戚のちびっ子が遊びに来たから、庭の雪山を橇用の滑り台に
してやって雪まみれになるまで遊ばせた。

 それにしても今年の正月は暖かい。少しくらい風があってもほとんど寒
さを感じない。正午辺りになると少し雪を積み上げる作業だけで汗ばむほ
ど、こんな天気が続いている。