以下の声明への賛同しました
真の友好は誠実な歴史理解の上に築かれる ―日本軍の東ティモール侵攻の記念日によせて
今から60年前の今日、1942年2月20日、日本軍は中立であったポルトガル領ティモールに侵攻しました。先に東ティモールに上陸していた連合軍(オーストラリア部隊)を支援したといった理由で東ティモール人を殺害または虐待し、1万2千人にもおよぶ日本軍兵士の食糧とするために作物や家畜を徴発し、軍用道路建設や兵舎建設のために強制労働を課しました。さらに駐留する先々で慰安所をつくり、女性たちをその意に反して性奴隷としました。強制労働や性奴隷にされた人びとの中には栄養失調や病気で死亡した人もいます。
私たちは、独立を目前にひかえた東ティモールの人びとの、日本占領から受けた傷が今なお癒されないでいることに、深い反省と謝罪をあらわしたいと思います。そして一刻も早く、日本政府が正式な謝罪、賠償、補償などをつうじて、こうした人びとの苦痛に誠実に応えるよう求めるものであります。
第二次大戦後、日本はポルトガルから戦時被害について補償請求を受けましたが、ポルトガルからのさらなる訴えがないのをいいことにこの問題を棚上げにしてきました。東ティモール人が、戦後57年間、日本に対してこうした要求ができる状況になかったことは言うまでもないことです。
インドネシアのスハルト政権が東ティモールを侵略したとき、日本はそれを支援する立場に回りました。腐敗したスハルト独裁政権を経済的、政治的に支え、東ティモール人に対しては極めて冷淡な扱いをして恥じることすらありませんでした。日本政府の東ティモール政策の転換を求めてきた私たちは、日本がこの点について何の反省もしていないことを極めて遺憾に思っています。
さらに、日本はこの2月から自衛隊施設大隊を東ティモールに派遣します。私たちは平和憲法の立場から自衛隊の海外派遣そのものに反対です。そして、とくに東ティモールについては、戦時被害について正式な謝罪、賠償、補償がなされていない状況で再び日本の軍隊を派遣することは不道徳だと思います。今回の自衛隊派遣は64億円の予算をかけたものですが、これは2001/2002年度の東ティモールの歳入総額、約450億円の6分の1に相当します。民間に委託すればもっと費用をおさえられるでしょうし、これだけの費用をかけて実施するのに、深刻な失業問題をかかえる東ティモールでの雇用創出効果も期待できません。私たちはここに改めて、東ティモールへの自衛隊派遣に反対します。
東ティモールではNGOが共同で自衛隊派遣反対の声明を繰り返し出しており、そこでも戦争中の被害について日本の対応がないことが指摘されています。また、2000年12月に東京で行われた「女性国際戦犯法廷」では東ティモールから元慰安婦の女性2人が証言しました。東ティモールの女性が日本軍性奴隷制のサバイバーとして公に証言したのは初めてのことで、私たちは彼女たちの勇気ある行動に感動するとともに、彼女たちがその忌まわしい日本軍の行為のために半世紀たった今も苦しんでいることに、心が痛みました。
これらの被害については、その実態が調査され、被害者が望むかたちで正義が実現されなければなりません。日本政府は東ティモールの独立を祝うのであれば、日本がかつておかした過ちについてきちんと謝罪し、被害者の補償を一刻も早く実現しなければなりません。被害者の多くはすでに高齢となっており、日本がその名誉を回復するために残された時間はもうわずかしかないのです。
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