五百羅漢を見てきた
春の日高キャンプの後、浦河町にある「うらかわ優駿ビレッジ アエル」まで足を伸ばして、ゴロー(堀 敏一)さんの“五百羅漢さん完成記念展”を見てきた。
釈尊寂滅後、第1回の仏典編集(結集)に集まった500人の弟子を阿羅漢と称して尊敬することから羅漢像が数多く作られ、その数から“十六羅漢”“二百羅漢”“五百羅漢”などと呼ばれる人物像が、日本国内の古刹・寺院にある。“五百”は“数多いこと”をあらわし、数には拘らないということだが、ゴローさんの木彫像は優に五百を超えている。20年間彫り続けた、偉業と言わざるを得ない。
「アエル」敷地内の「おもちゃ館」が、この期間「らかん洞」を名づけられ、館内を埋めて展示されている大小の木像は見事である。仏に帰依するかどうかはともかく、その中に“必ず一体は、見る人と相似の像がある”といわれる五百体の羅漢さんを訪ね、自分の面影を探してみるのも、こころ和む旅になるだろう。
10月末まで開催、ゴローさんは毎日会場で木を削っています。
『水俣・札幌展』(2004,5,30〜6,13)
1996年の東京から始まった『水俣展』が、札幌にもやってきた。1989年夏、北海道の先住民会議に始まった「p・p,21」の総括会議で滞在した水俣に、15年ぶりで戻ったような懐かしさで、会場を回った。最終日に駆け込んだせいもあり、会場は人で埋まっていた。フォーラムとスタッフ、たくさんのボランティア・スタッフに敬意を表し、成功を喜びたい。
展示からは、「水俣病が差別を生んだのではなく、差別が水俣病を作り出した」と言った水俣のTさんの言葉が、改めて伝わってきた。そして現在、アジア各地に"水俣病"を作り出している日本企業と日本国を支えているのが、私たちなのだという痛みと責任を、展示を見た人びとが胸に抱えて帰って欲しいとも……。
『水俣展』の前段で上映された映画『阿賀に生きる』(1992年/監督 佐藤真・撮影 小林茂)を見ることができた。何度見ても、素晴らしい! 「にんげん……豪勢な響じゃあねえか」(ゴーリキー「どん底」)という台詞が、声高にではなく心に沁み込んでくるように感じられる。
同じコンビによる続編『阿賀の記憶』が完成したそうだ。上映が楽しみである。
さらに、小林 茂監督の『わたしの季節』もクランク・アップし、現在編集中とのこと。重症心身障害児(者)施設「びわこ学園」(滋賀県)で生活する人びとの日常と施設のありようを撮し取った映画になる。小林さんの瞳と心に映った人の姿が、レンズを通して私たちに伝わってくる……待ち遠しい。
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