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ヤイユーカラパーク VOL54</td>
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2006 春のキャンプ/その2  5月20日〜21日/豊富町・稚咲内

3名でのんびり、こじんまりだった昨年でしたが、今年は7名の稚咲内キャンプ。途中小平(おびら)で合流した2台の車は、晴れ上がった空の下を北へ向かって走りました。いつものように"美味いもの探し"で要所要所に停まりながら、まずは順調な旅です。ホッキ漁が終わっているので、天塩町で川ガレイが確保できてひと安心。刺身は大丈夫です。

天塩川河口でハマボウフウ採り。初参加の2名も、初体験ながら袋をふくらませて満足気。これで美味い天ぷらが食べられます。

その後は近くの湿原で、プクサやヤチブキ、エゾカンゾウなどを夕食用に採り生活館へ。山菜の仕分けをしてから、3名の料理人を残して豊富温泉。"いい湯"の帰路、見事な夕焼けを鑑賞しに港へ。これまで見たうちで、最高の夕焼けでした……! 刻々と変化する空と利尻岳を眺めて、声もなく立ち尽くす4名でした。

刺身と天ぷらetc.そして銘酒「国稀」……。美味満喫のあと、田中さんご夫妻を交えてのおしゃべりが続きました。夕焼けがきれいな日の翌日は時化ることが多く、今日は特別に見事な夕焼けだったので明日は船が出られないだろうとのこと。われわれを喜ばせた絶景が、漁師さんには大きなマイナス要因だと初めて知りました。また、最近現れたトド群による漁業被害が深刻になっているということも聞きました。海水温の変化なのか海流の関係なのか、かつてない事態に手のうちようがないということでしたが、北の海に生きるのも大変ですねぇ。やがて、女性たちの声を聞きながら、私の意識はなくなっていきました。


快晴の2日目。奥の沢を歩いた後、以前大量のワラビを採った川辺に行きましたが、防風林用の苗畑が拡大されて、すっかり様子が変わっておりました。年毎に湿原が狭められていくことを実感。笹原が広がっていきます。やがてサロベツ原野が"サロベツ原野跡"になる日がくるかもしれません……。

浜へ行くと、これまたすっかり様子が変わっていました。時化が続いたのでしょう、漂流物が大量に打ち寄せられ、車を浜に乗り入れることができません。それでも延々と歩いてボウフウ畑(?)にたどり着き、思い思いに収穫に努めました。

去年アザラシの屍体が打ち上げられていたあたりに、今回はトドが横たわっていました。いやぁ〜デカイ! 群がるカラスやカモメにも、これを食べきるのは大変でしょう。トド被害を実感させる風景でした。

生活館に戻って昼食。昼間っから"シカ焼肉"をいただきました。

掃除を済ませて帰途へ。途中各々が川ガレイを買い込んだのは、言うまでもありません。最後まで快晴に恵まれ、輝く利尻岳に見守られたキャンプでした。


カムイ橋での昼食

しかし、私はボウフウを採る……

カムイ橋での昼食

トド……でかい!

稚咲内キャンプに参加して……

北口 邦子(岩見沢)

―稚咲内の落日に感動―

5月20日AM 8:30、岩見沢出発。心配した空模様も、留萌に入った頃には晴天(ラッキー!!)。

ハンドルを握りながら、ふと15年前の初夏、サロベツ原生花園のエゾカンゾウ見たさに日本海サンセットビーチをルンルン気分で走り抜けたことを思い出す。

途中、計良ご夫妻一行の車と合流、一路稚咲内へ。

山菜採りの手始めは、浜ボウフウ。

生まれて初めての浜ボウフウとの対面。砂地に這うように顔を出していた。「頂きま〜す」、心の中でそっと呟きながら香りを楽しみ、袋の中へ。

車は次の地へ移動。河川敷のヤナギの芽吹きがみずみずしい。

人が踏み入らない手つかずの春の花園。一面、遥かかなたまで広がるミズバショウとヤチブキに、目は点。あまりの美しい光景に、発する言葉は喉のふもとで止まってしまう。

2日目の山菜採りもそうだったが、稚咲内の自然は雄大かつ色彩の競演だった。

ミズバショウ、オオバナエンレイソウ、ニリンソウ、エゾノリュウキンカ、クロユリ、そして人知れずひっそりと咲き誇っている名もなき小さな草花。

可憐な美しさと、悲哀の美に唯々感動。そしてウグイスの美しいさえずりが、一層心を和ませてくれた。

夕焼けの利尻岳

夕焼けの利尻岳

夕方、稚咲内海岸から見た落日。

まるで日本海に浮かんでいるかの如く、すぐ近くにシルエットをなす利尻富士。頂にかかる浮雲。

暮れなずむ空を朱に染めながら、オレンジに輝く落日。刻々と変化していく空の色。

妖艶なまでにゆらめきながら天空を染めていくグラデーションの世界。劇的な光景に、言葉を失なった。

現地の人でさえ、これほどの夕陽は見たことがないと……。

最高にラッキーで、贅沢なひとときだった。

手料理のぬくもりに溢れた夕食の宴。採りたての山菜の香りと、新鮮な海の幸の品々。おいしかった〜!!

晴天に恵まれた春のキャンプ。

海よし、山よし、山菜よしと、それぞれの趣きがあって順位はつけられない。

両手にかかえきれないほどの野の花と、少しの山菜を車のトランクに詰め、万感の思いを胸に刻みながら、稚咲内の地を後にする。

同行の皆様には、大変お世話になりました。感謝申し上げます。

吉田 多佳子(岩見沢どじ二人組代表)

エネルギッシュな智子先生ご夫妻と他三名のキャンプの達人、なんともどじな「岩見沢いとこ二人組」のワカサクナイキャンプツアー参加は、どこから見てもアンバランスでした。

達人の足を思いきり引張っていた私達どじ二人組。しかし、そんなことにはまるで興味がないかのごとく気にも止めず、五名の達人は精力的に大地をかけ回っておりました。

私達? そりゃあもう、追いかけることに必死。迷子になったらなんとしょう、ですもの。縄文時代の民族のように、川を飛び、動きまわりました。

誤解のないように、このツアーはちゃんと屋根もあり、ガス、水道、電気、トイレ、たたみのある室内に宿泊したのですから。もちろん沢山のごちそう付きのツアーです。

大自然の恵を沢山いただき、一つ一つ「ハアーン」「ハアーン」と聞きおぼえたばかりの山のさちの名前を頭にインプットする私。もう一人と言えば感動のあまり、めぐみを採っては「キャー」食して「キャー」とヒメイにも似た声を出しっぱなし。そうそう、アイヌししゅうの教室でも、作品が完成したといっては感激のあまりひめいをあげている彼女。

まさにそれは、ワカサクナイの大地にピッタリなので許して下さいと、私は心の中で思いました。

しかし、自然の神秘なまでに美しい風景に感動していた私も、おもわず声を出しちゃいました。「ギャアー、ヘビ〜!」。達人五人組はへい気でスタコラサッサ、行っちゃいました。

エンレイソウ

白いミズバショウ、エンレイソウ、ニリンソウ、そして黄色のヤチブキ。夢の世界に舞い降りたようでした。

すっかり汚れた私の心が、たった一日で全部洗い流されたような気がしました。

夕焼けにそまったあの利尻富士に、心が暖かく包まれました。

帰宅後も、私の頭の中をぐるぐると花々がダンスを踊っていました。ワカサクナイのあの風景は、どんなに有名な画家の描いたものより、私の心を動かしました。

達人のみなさま、ありがとうございました。


利尻岳

ヤチブキの絨毯