北口 邦子(岩見沢)
―稚咲内の落日に感動―
5月20日AM 8:30、岩見沢出発。心配した空模様も、留萌に入った頃には晴天(ラッキー!!)。
ハンドルを握りながら、ふと15年前の初夏、サロベツ原生花園のエゾカンゾウ見たさに日本海サンセットビーチをルンルン気分で走り抜けたことを思い出す。
途中、計良ご夫妻一行の車と合流、一路稚咲内へ。
山菜採りの手始めは、浜ボウフウ。
生まれて初めての浜ボウフウとの対面。砂地に這うように顔を出していた。「頂きま〜す」、心の中でそっと呟きながら香りを楽しみ、袋の中へ。
車は次の地へ移動。河川敷のヤナギの芽吹きがみずみずしい。
人が踏み入らない手つかずの春の花園。一面、遥かかなたまで広がるミズバショウとヤチブキに、目は点。あまりの美しい光景に、発する言葉は喉のふもとで止まってしまう。
2日目の山菜採りもそうだったが、稚咲内の自然は雄大かつ色彩の競演だった。
ミズバショウ、オオバナエンレイソウ、ニリンソウ、エゾノリュウキンカ、クロユリ、そして人知れずひっそりと咲き誇っている名もなき小さな草花。
可憐な美しさと、悲哀の美に唯々感動。そしてウグイスの美しいさえずりが、一層心を和ませてくれた。
夕方、稚咲内海岸から見た落日。
まるで日本海に浮かんでいるかの如く、すぐ近くにシルエットをなす利尻富士。頂にかかる浮雲。
暮れなずむ空を朱に染めながら、オレンジに輝く落日。刻々と変化していく空の色。
妖艶なまでにゆらめきながら天空を染めていくグラデーションの世界。劇的な光景に、言葉を失なった。
現地の人でさえ、これほどの夕陽は見たことがないと……。
最高にラッキーで、贅沢なひとときだった。
手料理のぬくもりに溢れた夕食の宴。採りたての山菜の香りと、新鮮な海の幸の品々。おいしかった〜!!
晴天に恵まれた春のキャンプ。
海よし、山よし、山菜よしと、それぞれの趣きがあって順位はつけられない。
両手にかかえきれないほどの野の花と、少しの山菜を車のトランクに詰め、万感の思いを胸に刻みながら、稚咲内の地を後にする。
同行の皆様には、大変お世話になりました。感謝申し上げます。
吉田 多佳子(岩見沢どじ二人組代表)
エネルギッシュな智子先生ご夫妻と他三名のキャンプの達人、なんともどじな「岩見沢いとこ二人組」のワカサクナイキャンプツアー参加は、どこから見てもアンバランスでした。
達人の足を思いきり引張っていた私達どじ二人組。しかし、そんなことにはまるで興味がないかのごとく気にも止めず、五名の達人は精力的に大地をかけ回っておりました。
私達? そりゃあもう、追いかけることに必死。迷子になったらなんとしょう、ですもの。縄文時代の民族のように、川を飛び、動きまわりました。
誤解のないように、このツアーはちゃんと屋根もあり、ガス、水道、電気、トイレ、たたみのある室内に宿泊したのですから。もちろん沢山のごちそう付きのツアーです。
大自然の恵を沢山いただき、一つ一つ「ハアーン」「ハアーン」と聞きおぼえたばかりの山のさちの名前を頭にインプットする私。もう一人と言えば感動のあまり、めぐみを採っては「キャー」食して「キャー」とヒメイにも似た声を出しっぱなし。そうそう、アイヌししゅうの教室でも、作品が完成したといっては感激のあまりひめいをあげている彼女。
まさにそれは、ワカサクナイの大地にピッタリなので許して下さいと、私は心の中で思いました。
しかし、自然の神秘なまでに美しい風景に感動していた私も、おもわず声を出しちゃいました。「ギャアー、ヘビ〜!」。達人五人組はへい気でスタコラサッサ、行っちゃいました。
白いミズバショウ、エンレイソウ、ニリンソウ、そして黄色のヤチブキ。夢の世界に舞い降りたようでした。
すっかり汚れた私の心が、たった一日で全部洗い流されたような気がしました。
夕焼けにそまったあの利尻富士に、心が暖かく包まれました。
帰宅後も、私の頭の中をぐるぐると花々がダンスを踊っていました。ワカサクナイのあの風景は、どんなに有名な画家の描いたものより、私の心を動かしました。
達人のみなさま、ありがとうございました。
|