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 骨董行脚

 [目次:1.ロムドシン2.月島の陶磁器店3.カッパ橋の骨董屋 | 4.ご近所編
 

 最近、骨董行脚に凝っている、と、ちょっとしたきっかけがあって掲示板に書いた。
といっても、骨董を買いまくっているわけではない。ご多分に漏れず、骨董というのは、お金を注ぎ込もうと思えばいくらでもつぎ込める趣味だ。そんなに費用をかけないで楽しむ手だても、いろいろあると思うが。
 骨董にもいろいろランクがあるが、ガラクタのような木片や訳の判らない木像なども、古ければ立派な骨董である。それが気に入って、特にそのものの来歴を想像したり、そのものの形に惹かれたりして手元に置きたいと思えば、立派な骨董趣味だろう。この際、市場価値の高低は、問う方が野暮である(高いに越したことは無いが)。
私の好きなのは、陶磁器の骨董、それも割合高級な部類のブランドのものが好みなので、気をつけないと、財布の底に穴があいた状態になってしまう。店を廻る時には自制心は必携である。
 昔から、骨董でないブランドものの陶磁器が好きだったから、そう言う意味での訓練は積んでいると言えるだろう。ただ、骨董となると、普通の現代ものに輪をかけて、値段が天井知らず、それなのに個性的で更に魅惑的だから、弱ってしまうのだ。毎回、自制心の総動員となる。
まあ、財布にその値札に書かれている金額が無ければ、すっぱり諦めも付くし、そういう場合も多いので、苦しみは少ない。ただ、そういう場合でも、”ああ、やっぱり手が届かないのね”という、一種の切なさは伴う。
 というわけで(どう言う訳だ?)、最近の骨董行脚について一寸書いてみようと思う。

 1.ロムドシン
 

 恵比寿に、ロムドシンという骨董屋さんがある。西洋の陶磁器骨董が趣味の人には、かなり有名な所だ。マイセンのよい骨董が、フィギュアも含めて多数置いてある。勿論、他の窯のも沢山ある。ローゼンタールにジノリ、リモージュ、ウィーン、その他いろいろ。無論、お値段もそれ相当である。
 そこで、2月頃にセールがあった。1度カップを買ったことがあるので、展示会(マイセンとか、セーブルとか、主題を決めたもの)があると、ダイレクトメールが来るのだが、それでセールのお知らせも来た訳だ。案内の内容からすると、半端もの、傷物をを安く出すというのが基本らしい。ロムドシンでセール。どんなものか、覗いてみたくなるではないか。少なくとも、どのくらいの値段が付けられるのかだけでも、見に行く価値はある。
 と言うわけで、行ってみた。勿論、散財する気など毛頭無かった。まあ、気軽に買える値段のものがあれば、1つくらいは気が向いたら買おうか、とは思っていたが、セールの時だけ大買いする客だと思われるのもしゃくだし、と思っていた。
 ところが、どうしてどうして、結構いいのである。勿論、お宝が部屋じゅうにあったとか、そういう感じではない。カップの無くなったソーサーだとか、温泉宿に置いてあるような丸くて背の低い湯呑の形をしたカップだとかが、適当に展示してある。うらぶれた感じだ、というのは否めない。
 だが、値のつけ方が凄いのだ(どこが?)。いや、ロムドシンにしてはということではあるが。
何と、千円から品がある。千、3千、5千、8千、1万、3万、5万、8万、10万という値つけ。それぞれに、丸い小さな色つきシールが対応していて、例えば5千円の品には青い丸シールが貼ってある。(8千、8万という値つけはなかったかもしれない。)
 大体、この骨董店は、品の良さは折り紙つきだが、買い物をしようと思うと、必ず万を超える。
ほんとうの半端ものは、もしかして7〜8千からあるかもしれないが、そういうのははっきり言って私には魅力が無い。マイセンのフィギュアや、よいもので古いもの(マイセンの)は、10万単位の値段のものもざらである。1度、マイセンの巨大なフィギュアで、700〜800万、というのを見たことがある(マイセン展の時。いい時代、古い時代のフィギュアだったこともあるが)。ちょっとした田舎のワンルームマンションが買える値段である。
大体、この骨董屋は値段のつけ方が高めである。日本の小売の骨董屋はみなそうなのだが。
私が愛用している、Webの骨董屋、Kosmosさんは、現地ドイツで開店していることもあって、値段と言う点でも優秀である。その感覚で見ると、ロムドシンでは買い物が出来ない。
そう言う店で、千円単位で買い物ができる。これは、物凄いラッキーである。
 で、店員さんと話しつつ品物を物色する。2品ほどめぼしいのがあって、それをお願いした後、店の奥へ行ってみる。と、そこには、セールに出されているマイセンがごろごろ。(確か、”マイセンはないんですか”と聞いたんだと思う。)
脇の小さな棚(というか、手を自然に置ける程度の高さで、下がショーケースのようになっている。上板はガラス)の上に、3本ほどのナイフ(果物ナイフ)があるのが目に付いた。磁器製の柄に、特徴のある赤紫色の花絵が描かれている。一目で、マイセンのマルコリーニ期のものかと思った。店員さんの説明も、同じだった。但し、ナイフだと、マークが柄の中にあるので、分解しないとマイセンだと言う確証はないそうだ。また、実際に使用されて来たらしく、花絵の、手に当たりやすい部分にはかすれやはげがあり、元あったらしい金彩(というか、金線)は殆ど取れているし、刃に近い部分にニュウと黄ばみがあった。
まあ、愛用されてきた品なのだか、そういうのも実は好みである。いいなあと思う。市場価値という点では下がるかもしれないが、その品が愛されてきたと言う証ではないかと思える。
 このほかにも、マルコリーニ期のマイセンの皿だの籠だのとか、後はマルコリーニでは無いが鳥の絵皿や女性を描いた細密画の皿、それに多分大分古い竹虎の皿だとか、価値のあるものがバーゲンに出ていた。尤も、ここら辺は皆、最高価格だが。
 私は本気で思う。”ああ、私に30万円の予算を与えよ。そうすれば、ロムドシンのセールで、掘り出し物を次々と手に入れるのに。”(笑)他にも、この最高価格の群れの仲間ではないが、ハンドル無しのカップ(ソーサーはあったと思うが)で、白地に青の線模様(丁度ロイコペのブルーフルーテッドの模様だけを疎にしたようなの)のがあった。感じとしては、先に言った温泉宿の湯呑のような形のものである。はっきり言って、あまりアトラクティブではなかった。しかし、数千円のオーダーの部類だったから、今考えれば、買っとくべきだったかなあと後悔している。
 次があったら(あると思うが)また絶対行こう、と思う、ロムドシンのセールであった。
(注:”ロムドシン”とは、”陶磁器製(或いは中国)の男性像”の意の、フランス語だと思う。)

 2.月島の陶磁器店
 

 今度は、骨董ではなく、現代ものの陶磁器のディスカウントショップの話である。
 もんじゃ焼きで有名な、銀座の先、東京湾岸にある月島。もんじゃの店と、突端の豊海水産埠頭まで点在する倉庫が特徴的な街である。
そこに、陶磁器のディスカウントショップがある。倉庫の1つの中に、突然ぽつんとある。
何で知っているかと言うと、ある時、家のポストにチラシがはいっていたからだ。で、面白そうなので、行ってみた。以来、思いついた時に(時々だけど)行ってみている。
バス通りから左に入って、突き当たり、海辺に立った(月島は埋立地の島で、水辺には殆ど5階建て位の倉庫が並んでいる)倉庫の、いかにもフォークリフトやらが出入りしそうな巨大な出入り口の横、倉庫そのものという感じの一段高い場所の奥にガラス戸があり、店がある。知ってなければ、絶対辿りつけない。一応、看板は出ているが。クレッセント(三日月の意?)という名だ。月島の地名に合わせたのだろう。
(でも、私みたいな物好きが行くのだから、結構お客は来るのかもしれない。場所代は余りかからなそうだし。)
 ここは、豊海水産埠頭行きのバスで行ける。バスは東京駅と、職場の最寄り駅から出ている。職場の最寄り駅(JR亀○駅)から出る方は、職場のすぐ近くを通る(近くに停留所がある)。だから、小一時間見ておけば、職場から直通でこの店に行くことも出来る。(7時迄だから、なるべく早く出ないと閉まってしまうが。)
 最近も、ふらっと行ってみた。何で行ったかと言うと、マイセンの剣マークの変遷を知りたいと思ったからだ。この店で以前、マイセンのプレート(お皿)で、剣マークの変遷を描いてあるものを見かけたことを思い出したから。その時は、未だ骨董には興味が無かったので、良く見なかったが、あったら(そして、あまり高くなかったら)買おうかと思ったわけだ。
まあ、マークについて知るには、その手の本を手に入れて読むのが常道なのだが、何しろ、その皿は、マイセン自身が描いているのだ。情報が確実と言うものではないか。それに、皿であれば、常日頃飾って見ることができる。1石2鳥と言う訳である。
 実は、7時の閉店に間に合うように行くのに、3日かかった。前2日は、きわどい所で閉店になってしまった。(1日目は時間を大幅に超過していたが、店から出て帰宅しようとする店員さんをつかまえることが出来たので、営業時間を聞くことが出来た。)
 で、通って3日目、やっと7時一寸前に入れた。でも、あのプレートは無かった。店員さんに聞いたら、憶えていたが、そもそも売り物ではなかったそうだ。提携店舗の飾り用。私が見たのは、たまたま店に飾ってあったのを見たのだろうと言うことだった。
 でも、その日は結構収穫、という感じのものがあって、有意義だった。実際に物を買った訳ではないが、なにしろ倉庫の中の店舗だから、結構広いし、同じブランド(例えばロイヤルコペンハーゲンとか)でも、他の店に無いようなパターンのものを置いている。時間が無くて余り良く見られなかったが、やっぱり他の店に無いものを見るのは愉快だ。
 そして、私は初めてこの店で、現代物のKPMベルリンの器を見てしまった。”ドイツ白磁”として、2つほどのパターンの、カップとポットとかが置いてあった。(花絵のものはあったかなあ。あったような気もする。)あまり高価ではなかった。形も、どちらかというと直線的な形だったように思う。
私は陶磁器の店やデパートの陶磁器売り場には、機会があれば必ず行くぐらいしょっちゅう行っているが、KPMベルリンなんて、どこでも見たことが無かったから、結構感動した。
(骨董は、KosmosさんのHPや、ロムドシンさんで見ているのだが。自分でも持ってるし。)
歩き回ってみるもんである。ま、ヘレンドやマイセンは、パターンも数も少なかったけど。

 3.カッパ橋の骨董屋
 

 カッパ橋は、浅草の近くの有名な道具屋街である。商売の為の、店の什器類や看板、ウィンドーに入れる蝋で出来た食品のサンプル、なんかを売っている。
そこに、知人に誘われて、初めて行ってみた。隅から隅まで歩いてみて、結構面白かったが、最寄りの地下鉄駅から一番遠い辺り、道具屋街の端の方に、一寸よさげな骨董屋が1軒あった。
 勿論、知人と一緒に入ってみると、結構気の利いた店構えで、古い欄間や木材、家具などや、陶磁器類を売っていた。全て日本のものだ。低いところの台には、安めの陶磁器やガラスなどが置いてあったが、隅においてあるタンス(これも売り物)の上に、よさげな猪口の5つ揃いとかが置いてあったのだ。赤絵で、きんきら、という感じ。私の好きな部類の赤絵ではなかったが、出来がとてもよい気がした。(絵の描き方やデザインが上手くて、手が込んでいるのだ。)
店の人に尋ねると、江戸中期のものとのこと。本物の古伊万里である。
(注;本来、古伊万里とは、江戸前期〜中期を言うらしい。まあ、お店では、明治のものだって古伊万里と呼ぶけれども。)
 その隣には、やはり古伊万里で、全体が真っ赤、底の部分に帆船の絵が描いてある舟形の大きな器があった。帆船の絵のぐるりの周りには、南蛮人の絵が並んでいるのだ。南蛮人も、真ん中の帆船の絵も、金彩をふんだんに使って描いてある。(あまり上手くは無かったが。)
 その時は、知人の手前もあり、あまりぐずぐず長居をしても悪いので、そのまま店を出た。
しかし、やはりもう一度見てみたいと思って、この間、行ってきてしまった。で、やっぱり、買ってしまいました。5つ揃って。(だいぶ迷っていたら、一寸値引きしてくれたけど。)
この時、お店の人と話したのだが(初めの時も少し話したが)、店主さんは、中国人の女性だった。小柄で可愛い人だ。日本人と結婚して日本に来て17年になるそうだ。猪口や、舟形の伊万里は、この人のコレクションの一部で、集めすぎて少し処分したいのと、店に少しはいいものを置いておきたいので、置いているそうだ。この店のメインは、普段に使える安めの器などだそうで(明治の頃の、印判と言われる印刷手の伊万里とか)、高いものはあまり置いてないそうだ。
この人は、自分が趣味で骨董を集め出したのの延長(或いは趣味と実益の兼用)で骨董店を始めたのだそうだ。
 この猪口については、上野の官窯で作られたものだそうだ。日本にも官窯があるなんて、初めて聞いた。多色で、結構良い。ぴったり私好みと言う訳ではないが。(詳しくは、骨董頁にアップしてある写真(予定)をご覧ください。)
 私は、数ヶ月前初めて赤絵の覗き猪口に出会って、そのとき、覗き猪口とは、小さ目の猪口で、会席の膳で、合わせ酢などの調味料を入れる器だと聞いていた。
この猪口も、一寸大きめなのに覗き猪口と呼んでいたので、一体覗き猪口って何なの、という疑問を持ち、以前買った古伊万里の本(写真入りの雑誌のような大判のもので、”古伊万里の見分け方”とかいうの)で見てみると、普通、猪口というと、古伊万里(というか、日本の陶磁器骨董)では、極端に丸っこいものしか指さないようだ。杯、というと、最も基本的な、三三九度や正月のお屠蘇に使うような、平べったい円錐形で、同じ円錐形の底がついている、いわゆるお杯の形になるようだ。他の形の、円筒形に近いものは皆覗き猪口と言うらしい。うーん、そうだったのかと言う感じである。
 でもって、この店でも、また魅力的なものを見つけてしまった。こちらから、そうなのですかと聞いたので、いまいち素性が確かではないが、江戸中期古伊万里の8角形の5客揃いの蕎麦猪口(?)である。それも、地が白地で、鮮やかな藍(染付けの)と、ところどころに赤が配されている。絵柄は、竜である。描き方も素晴らしい。中国の物かと思うくらい、私の憧れである万暦赤絵を連想させる。いや、絵の完成度としては、万暦年間のものより上かもしれい。きっと上だろう。雰囲気も、一寸違う。それに、こういう器は、中国では作られたりしたのを見たことないから、やっぱり古伊万里だろう。でも、それにしても型外れなのだ。白地に、繊細で見事な染付けの竜。こんな組み合わせ、見たこと無いと言う感じなのだ。
 ひょっとしたら、偽物かもしれない、とも思う。でも、偽物は普通、一番オーソドックスなパターンを真似るものだ。だとすれば、一般に金襴手と呼ばれる、よくあるような赤と金とその他派手な色の器を真似るだろう。いや、偽物であったとしても、あのオリジナリティは只者ではない。もし偽物だとしても、偽物を超えた偽物だろう。欲しいよ〜。
 でもでも、ここで皆さん、お考えください。この、浪費家の家主が、こんなに惹かれているのに、未だ買ってない。そうです。高いんです。もし買ったら、骨董の食器類の中では、一番高値になること間違い無し。(フィギュアや現代物のセットまで入れれば、そうではないが。)手が届かないんです。その値段が妥当かどうかも、判らないし。
でも欲しい。でも買えない。予算が無い。勿体無い。高すぎる・・・・と、現在、苦悩の真っ最中です。
骨董って、限定一品だから、逃すと永遠に買えないんだよね〜。えーん、えーん。
でも、5客そろって(あ、一客づつなら買える。×5にすると買えなくなる)、古伊万里舟形江戸後期赤絵器の2倍するのだ。5万円以内なら、結構買う気になるが、それ以上となるとねえ・・・・
 ちなみに、この骨董屋の店主さん、しきりに“売りたくない、出してるけど”と言っていた。商売上手の中国人らしい発言かもしれないが、案外本気かもしれない。覗き猪口も、最初に行ったときは店の真ん中辺の端のタンスの上においてあったが、2回目の時は一番奥のタンスの上に移っていた。値札も、つけられていなかった。”売りたくないから、後ろに下げた”んだそうだ。多分、かなりの度合い、本気だろう。本気を、売り物(商品の付加価値、というか)にする。さすが、商売上手の中国の人だなあ、なんて思った。あ、勿論、赤絵(というか染付けかなあ)白地八角の揃い蕎麦猪口も、店主さんのコレクションからの放出だそうだ。ま、その割には(というか)、覗き猪口も結構値引きしてくれた(ホントに好きそうで、大切にしてくれそうだから、だそうだ)し、いい人なのだろう。お店の整え方のセンスとかから見ても、無邪気な商売上手、という感じだった。
今度行く時は、あの蕎麦猪口を買ってしまいそうで怖い。でも、早く行かないと、あの蕎麦猪口は売れてしまうだろう。あーーーーーん。(苦悩。)

 .骨董行脚 ご近所編 ('01.8.25)
 

 この夏は、コミケに行ったくらいで、ずっと家で過ごした。毎年、GWか夏に海外旅行に行くのだが、今年は気力がなくてそれも行かなかった。(まあ、庭園美術館のジノリ展などには行ったのだが。)
その代わり、というか、家の近所をちょっとうろついたりした。おかげで、前から気づいていたが、敬遠して遠ざかっていた骨董屋に足を踏み入れたりした。
 私の家は、○の頭公園のごく近くという恵まれた立地にある。両親の手柄と言う訳ではなく、勿論リッチな訳ではない。3代前がちょっと偉かったおかげで恩恵を受けているだけである(まあ、それを維持して来た祖父母と両親は偉いと思うが)。骨董屋も、気づかないが割とあるらしい。(その手の本には載っている。)そのうちで、ちょっといいなと思うのをこの夏、見つけた。
 公園沿いを南北に走る大通り(吉祥寺通り)沿い、比較的駅に近いところのビルの1階に、間口が狭く、無愛想なアルミサッシのガラスの引き戸に、白字で店名が書いてある骨董屋がある。(店名は憶えていない。)ガラス張りなので、店は明るく、店内に割と整理しておいてある骨董が良く見える。ただ、ガラス戸は閉まっているので、やっぱりちょっと入りにくい。入ったら最後、気難しい店主のおじさんにつかまって無愛想にされるか、お金も持ってない素人扱いされるか、とんでもないものを売りつけられそうな気がするからだ。
 でも、この夏休み中は暇だったので、化粧もしないでジーンズとピンクの可愛い目の(でも古いけど)ポロシャツで散歩中に入ってみた。貝の形の伊万里の赤絵風の皿が、店内の(これも無愛想でシンプルな)ガラス棚の中に飾ってあるのが目に付いたからだ。
 ガラス戸を引き開けて入り、これもガラスのショーケースになっている奥のカウンター風の場所(どこにでもあるただのショーケースだけど)の向うに隠れていた叔父さんに挨拶して入り、棚の皿や他のものを眺めた。ずっと眺めていくと、カウンターに近いところに、小ぶりの青磁の水差しがあった。蓋は青磁ではなく、また口の辺りの一箇所が欠けていて、金継ぎしてあった。でも、とてもいい濃い目の色で、ぬめっとした感じなのだ。下がっている札を見ると、宋の青磁で、値段は38万円だった。
 叔父さんに伊万里の皿と政治の水差しのことを聞いたら、伊万里は、青磁に赤絵が施してある(海をテーマにした柄)もので、江戸中期(ただし、時期はこちらが口にしたので、叔父さんが本当にそう思っているかどうかわからない)のものとのこと、また青磁は、”砧青磁”(この言葉は聞いたことがある)と呼ばれる、良い物だと言う事だった。叔父さんはわりときさくな感じだった。愛想がいい、口数が多いとはいえなかったが。
 青磁に赤絵が施してある伊万里の皿といい、青磁の水差しといい、ちょっとしたいいものだと思う。結構珍しい。特に、宋の青磁は、売られているのは初めて見た。お値段も結構だが、いいお店のようだ。但し、買い物が出来ないから、気軽にひょこひょこ訪ねることは出来ないが。
(実はあの宋の青磁の水差しに結構惹かれている。勿論、1つで私のマイセン・ピンクローズセットと同額と言う代物を買うことなど、出来る訳はないが。宝くじでも当たったら、ということにしておこう。)

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