Homeに戻る
緊急報告:ロード・オブ・ザ・リング 先行オールナイト上映鑑賞記
 
  唐突ですが、2月23日(土)夜、この3月2日から公開のファンタジー特撮映画、「ロード・オブ・ザ・リング」の先行オールナイト上映を見てきました。
この映画は、今、アメリカで大評判(数週間連続1位)で、封切り前でかなり宣伝されているハリウッドの大作です。私の大好きな(バイブルである)ファンタジー、指輪物語の実写映画です。
 私は正直言って、この話の実写化(映画化)は不可能だと思っていました。(今でも、そういう気持ちはあります。)20年程前(笑)、アニメ版が来たことがありますが、何となく観に行きませんでした。絵柄が気に入らなかったこともあるし、あまり評判にならなかったせいでもあります。結局、この映画は、今回と同じく3部作の第一部でしたが、第2、第3作は来ませんでした。
(以下、文体がですますでなく、普通の口調になりますが、ご容赦を。)

 今回の実写は、かなりの制作費などをかけた、前評判の高い本格派で、出演者も粒揃いのようで、指輪物語ファン(で、私が知っている、しっかりしている人)も、結構よさそうだと言っていた。
昨日の日記に書いたが、ぴあや映画雑誌などで特集が組まれており、先行オールナイトのことも書かれていたので、予定を合わせて行ってみた。
内容は・・・ なかなかよかったので、ちょっと書いてみたい。

*目次  1) 長蛇の列  
 2) 上映前  
 3) 映画、始まる。 [ (1)全体の印象 (2)いいところ (3)原作との相違(4)よくないところ ]
 4) 見終わって

1)長蛇の列
 さて、私が向かった映画館は、新宿の松竹会館(伊勢丹会館の隣、靖国通り沿い)。
上映は、19:50、23:00.2:10(終了は5:10)、上映時間2時間58分。
(ちなみに、私は第一回上映のみ見て帰ってきました、残念だけど・・・)
 混雑を予想し、25分前につくと、映画館前には横4列ほどの人の列が。映画館前には、整理係の人がいて、なにやら叫んでいる。聞いてみると、映画館前に2〜30m並んでいる以外に、館内(地下の階段)にも並んでいると言うこと。でも、チケットを買い、今並べば、座って鑑賞できるとのことだった。
 で、チケットを買って並ぶ。上映は1階の一番大きい館(松竹会館には映画館が4つある。1階のが一番大きく(と思う)、収容能力は800人程である)で行われ、その入り口(チケットのもぎりをするところ)から表からそこへの10数段の階段、そして映画間の前、表入口脇の地下への階段、の順で並んでいて、地下への階段をずっと降りてくねくねと曲がって行ったところ(ウェンディーズかなんかの裏に出たあたり)が最後尾だった。(その先は、映画館内への上り階段になっていて、私の後の人はそこに並んだ。)待っている間、新宿駅の外のパン屋で買ったパンと飲み物の内、小岩井のいちご牛乳を(暇なので)一息で飲み干してしまった。
 上映10数分前に入場となり、私は映画間の真ん中よりやや後方、画面に向かって左よりのところ(並んだシートの真ん中あたりで、出入りが不自由だったが)に席が取れた。

2) 上映前
 上映前10分程で、飲み物とパンフをゲットしたい。と思っていたが、パンフを買うにも結構な列。それでも並んで、まああまり時間がかからずにゲット。あと、ペットボトルのお茶を自販機で買った(2階にあった)。で、席に戻ったが、上映直後から、水分の取り過ぎで尿意が起こって困った。あまり激しいものではなかったので、出ていくのも(並んでいる人の邪魔にもなるし、その間、見れなくなるので)かったるいので最後まで我慢したが、ラスト近くの、ボロミアの死のシーンで苦痛がいちばんひどくなったので、やっぱり困っちゃった。
−教訓:映画館では、お手洗いを済ませてから鑑賞しましょう。

3) 映画、始まる。
 さていよいよ、映画が始まった。
さてさて、何から書こう。全体の印象いいところ、と原作との相違やだったところ、の順で書こうかな。(後2つは、重なるところが多いと思うが。)

(1)全体の印象
  さすが、ハリウッドが総力を挙げた作品、という感じだった。ファンタジー・特撮映画 として良く出来ている。また、ストーリー、描写ポイントの絞り方や演出もよいし、敵方の迫力や、また、おそらく非常にうるさいだろうと思われる、原作ファンが満足するレベルに細部に気を配ってあった。この作品は、背景世界の設定が物凄く、入り組んだ話であり、描き切れるかと心配だったが、杞憂だったようだ。全体の雰囲気も、映像(指輪の描写、サウロン(瞼の無い目)の描写、そして、トールキン世界では非常に大事な各種の美しい文字など)も、相当なハイレベルで満足できる。初めて観ても、楽しめるだろう。活劇、の部分が多かったし(話を面白くしていた)。
 また、主題の描き方をしぼっていて良い、と書いたが、これは、パンフにも書いてあった通り、”友情と自己犠牲”であり、冒険に巻き込まれて指輪という重荷を、結局自分から背負って行くフロド、その非常に優れた人間(?)性、バルログとの戦闘でモリアの淵に落ちて行くガンダルフ、ピピンとメリーを助けようとして討死にするボロミア、そういう場面に焦点が当てられていた。フロドが指輪へ対峙する際に見られる重要なシーンも、もらさず入れられていたし、指輪の力(邪悪な誘惑、嵌めた時に陥る異世界と、”瞼無き目”との対峙)も、よく描かれていた。まあ、なかなかである。

(2)いいところ
まず、話の初めで、指輪の由来(第二期末のサウロンとの戦いの終盤)が、大規模な戦闘シーンを交えて(凄いスケール!)描かれ、よい。
見渡す限りのモルドールの荒野に、西方軍と冥王軍が入り乱れてのとてつもない規模の戦闘シーン、イシルデュアが冥王を倒し、指輪を切り取るところ、また、これは中盤(エルロンドの回想シーン)ですが、エルロンドがイシルデュアに、指輪を、オロドルインの滅びの亀裂に投げ込むよう要請する所、なども描かれていました。
細かい場面描写が抜群である。以下、気付いた点を書く。 
- 最初の画面、ホビット庄のホビット達
魔法使いにしかめっつらをし、子供たちはガンダルフに花火をせがみ、花火を見て喜び、お父ちゃんも花火を見て喜んで、おかあちゃんにしかめっ面をされる。ガンダルフの訪問(ドアを杖で叩く)に、”親戚の訪問お断り!”とドアの中から叫ぶビルボ。ガンダルフだと気付いて、もてなしに走り回る(”チキンパイにベリーパイ、酒がいいですか、茶がいいですか?”)。ガンダルフは、小さな丘の下の家の間仕切りを腰をかがめてくぐり、シャンデリアに頭をぶつける。
  ビルボとガンダルフが煙草をふかし、ビルボが吐き出した煙の輪っかに、ガンダルフが煙を吐き出して帆船の形にし、ビルボの輪っかに通したり。
- ビルボの誕生会でのガンダルフの花火も、特殊効果満点で見事でよい。
- ピピンのいたずら、おとぼけ、おっちょこちょいぶり、サムのちょっとぼけぶり。
- 裂け谷で、ナルシル(砕けた剣)が映っていた。
エルフ語が話されていた。
- アラゴルンとアルウェンが、実際エルフ語を話してました。その時には、英語の字幕がついたりします(この映画は字幕ス―パーですが)。
私はエルフ語について詳しくないので、それが、トールキンが創作した通りのエルフ語であるかどうかは判りませんでした。トールキン自身が聞いたら、どう思うかな。
でも、他の部分の出来からして、おそらくちゃんと話しているんではないかと思う。
- また、後述しますが、フロドを裂け谷までの最後の道中で迎えに行くのが、原作と違ってアルウェンなのですが、乗馬の名は一緒で、”急げ、アスファロス”という意味の、 ”ノロ、リム、ノロ、リム、アスファロス”というセリフを言っていた(アスファロスは馬の名)。
- それと、一行がロリエンを去るシーンで、ガラドリエルが”ナマ(ア)リエ”(エルフ語でさよならの意)と言っていた。これも、特に英語の字幕は出ていなかった(日本語の字幕はあったけど)。
話のポイントになる話がちゃんと入っていた。
具体的には、モリアの三叉路でガンダルフが進む方向を迷っている時、フロドと話したことだ。
フロドが指輪を持っていくことについて悩み、ゴラム(原作ではゴクリ)が自分たちについて来ているとガンダルフに告げられた時、”ビルボがあの折に、あの情けない奴を刺し殺してくれていたら良かったのに”と言い、ガンダルフが”ビルボはその”情け”で随分救われている。ゴラムも、まだ果たすべき役割があるのだ。命の生き死には、誰も定める権利を持たない”という、この話ではとても大事なことを言う。それがちゃんと入っていた。
(実はこの挿話は、原作では、ホビット庄のフロドの家で、ガンダルフがフロドの指輪を、冥王の指輪であることを確かめた時のことになっている。まあ、ゴラムが出てくるのがこの場面なので、しょうがないと思うが。)
敵方の描き方がよい。
黒の乗り手の瘴気漂うような様子、オーク、サルーマンがウルク・ハイを作り出す様子、ウルク・ハイの粘液にまみれたような、いかにも人造生命と言ったような様子。 
そしてなにより、サウロン、”瞼なき目”。また、モリアのトロールやバルログ(牛を思わせる角を持った、炎の中の、姿があいまいな恐ろしい巨人、という感じで描かれ、ちゃんと炎の鞭でガンダルフを捕らえていた)もよい。
建物、文字等の描写が、原作に基づいて良く描けている。
ビルボの執筆中の旅行記、モリアの入り口の図、裂け谷、ロスロリエン(これら2つは、ちょっと典型的な妖精物語の影響があったようで、私のイメージとは少し違ったが(特にロリエン)。)、イセンガルド(アイゼンガルド)。ガンダルフが調べていた、指輪に関する書物(指輪に書かれた火文字が書かれている)。指輪の上の火文字。
そして、圧巻(でもないかもだけど)は、カザド=デュムの大広間。天井が見えないほど高い広間に、どちらかというとシンプルな柱が、闇の中にはるかに消えるほど見渡す限り並んでいる。凄かった。
また、アルゴナスの門(大河アンデュインの両岸にそそり立つ、古代の王の石像。ゴンドールの国境を示す。)も、よかった。
指輪に関する描写が良い。
指輪を嵌めた時の幽冥の淵をさまよう描写、”瞼なき目(炎に囲まれた虹彩の周りに、やがて巨大な目が見える)”の迫力、指輪に誘惑された登場人物達(ビルボ、ボロミア、ガラドリエル)の豹変や葛藤の様子、などが迫力をもって描かれている。
ガラドリエルとガンダルフの秘められた力の描写が良くされていた。
ビルボが指輪を手放すシーンで、指輪の魔力の為、最後の最後で手放せなくなっているビルボに、ガンダルフが真の姿を垣間見せるシーンがある。灰色の巨大な影を背負い、畏怖すべき存在と言う感じ(一瞬)。よかった。
ガラドリエルに関しても、フロドに指輪を貰って欲しいと言われ、誘惑と戦うシーンで、彼女の力と恐ろしさが示されていた。ただ、これも後でも書くが、どうも”不死の化け物”じみて描かれた面が強い気がして、そこんとこはちょっといただけない。
セリフが(日本語に訳されていないところも)細部までかなりきっちりしていた。
たとえば、字幕では表示されなかったが、ギムリが紹介される時、”グローインの息子”と紹介されていた。また、バルログに対してのガンダルフの言葉、”わしは聖なる炎、アノールの炎の使い手じゃ”という言葉(これは字幕に表れていた)の他に、”暗き火、ウデュンの炎は貴様の助けにならぬ”というセリフも言っていたように思う(”ウデュン”のセリフを聞いた。字幕には出ていなかったけど)。
また、ガンダルフが深淵に落ちる寸前、原作では”急げ、馬鹿者共”というが、字幕には”急げ”のみ。でも、”馬鹿者共”(foolなんとか)は言っていた。
また、フロドに指輪を差し出され、試練に通った際、”わらわは試練に通りましたね。わらわは小さくなることにしましょう。西へ去って、ガラドリエルのままでいましょう。”のセリフが(ほとんどこのまま)使われていた。
(ただし、上に書いたのは原作のセリフで、字幕とはちょっと違う。(字幕のは憶えてない。))
ボロミアとピピン達の仲良いところが描かれていた。
原作ではなかったかもしれないが、ボロミアの豪放磊落で優しい人柄を示していていいな、と思った。
内容がかなり原作に忠実である(細部など。但し、(3)に書くもの以外)。
例えば(というか、それが一番気に入ったのだが)、ボロミアがピピン達を助けようとして討ち死にするシーンで、助けを呼ぶためにちゃんと角笛を吹き、また、殺される時、原作の通り、角笛が縦に真っ二つに割れていた。

(3)原作との相違
フロドがアモン・スールで襲われ負傷し、裂け谷に運ばれる際、助けに来たエルフが映画ではアルウェンになっていた。(グロールフィンデルは、登場しない。)
原作では、グロールフィンデルという裂け谷のエルフなのだが。これは、単純化の為と、アルウェンの出番を作る為だろう。
(原作の印象では、アルウェンはホントに深窓のお姫様で、アラゴルンの旗印を作る以外なにもしないのだが。まあ、アメリカの映画では、女性も活躍しないと、ということだろう。)
フロドがホビット庄から抜け出す方法が、単なる逃走(夜逃げ、冒険への出発)として描かれていた。ピピンとメリーは、途中で野菜泥棒をしていて、巻き込まれて加わる。
原作では、ホビット庄のはずれの村に引っ越すと言うことにして、穏やかに去る筈だったのだが。
また、ピピンとメリーは、その転居に付いていく(実は彼らもフロドの旅立ちに気付いていて、自分から旅に加わることにしていた)ことになっていた筈だ。 
全体に、敵の黒の乗り手などと直接戦闘する(或いは追っかけっこする)事が多く、冒険活劇になっている。
バーリン(モリアで死んだドワーフ)が、ギムリのいとこということになっていた。
(日本語字幕では。原作では、ギムリの父親のいとこの筈。)

(4)よくないところ
エルフの描き方が私の印象とは違った。また、おそらく、トールキンの意図とも少々違っていたのでは、と思う。
エルロンドとガラドリエルが、美しさ、偉大さより、人間への諦念、軽蔑を持つ、何か長寿の不可思議な種族(自分たちの保身を考える、人間と同様の利己的な種族)のように描かれている面があった。
エルロンドに関しては、アラゴルンを認めていない(王位継承権を捨てている)風なことを言わせていたし、指輪が裂け谷に留まるのが困る、という風に話していた。(種族間の不和を、代弁させていたようだ。)
また、ガラドリエルに関しては、無表情で低い声、まるで長寿の神秘的な魔女(その通りではあるのだが)という印象が強く描かれていた。
私はガラドリエルがとても好きで、豊かな金髪の、尊崇すべき貴女、という印象なのだが。(加えて、清楚。)でも、何だか、一般的に妖精という存在に与えられる、神秘的だが異世界の、理解不能な、人知の外にある(そういう考え方や行動をする)、それでいて恐ろしい力を持つ存在、のように描かれていたように思う。ちなみに、私の基準では、彼女(映画のガラドリエル)はあまり美しくない。
(少なくとも、ガラドリエルならば、もっときれいでいて欲しい。無理かもしれないけど。)
というか、美しく描いていなかった、というか。不気味さを強調する為に。
物語を判りやすくするためか、サルーマンが、自分の意志でサウロン側に寝返ったことになっていた。
(原作では、自分で指輪を手に入れて、世界を支配する積りが、結局サウロンに取り込まれたことになっている。)
原作の方が、私は好きだ。というか、サルーマン、そこまで堕ちてはいないぞ、というか。
結局は同じことになるし、当初の見込みが甘かったわけだから、余計情けないとは言えるが。
ボロミアの父の統治が、上手く行っておらず、その為、権力を欲している風に描かれていた。
ボロミアの背信の理由付けの為か、指輪や折れたナルシルの剣を見て、”ただの指輪だ、こんなものは欲しくない””ただの折れた剣だ”などとすねたようなセリフを盛んに言っていた。ストーリーを理解しやすくする為と思うが、ちょっと残念。

4)見終わって
 一言で言うなら、点をつけたら95点。これなら、ディープなファンも満足、初めてみる人も楽しめるだろう。
5点の値引きは、やっぱり映画化の為にどうしても省略しなきゃならないところがあったのと、やっぱエルフの描き方(とエルフを人間の役者が演じていること)が不満、といったところかな。(これはしょうがないんだけど。)
 でも、とうてい映像化は不可能、と思われたあの指輪物語を、よくぞここまでの映像にしてくれた、と、お礼を言いたい気分。
カザド=ドゥムの見事な広間 、バルログ、”瞼なき目”、裂け谷、第二期の最後の戦闘シーン。ビルボの袋小路屋敷。(ロリエンはちょっとイメージが違ったけど。もっと緑豊かな世界だというイメージだ、私にとっては。)アルゴナスの門。黒の乗り手。オーク。
ウルク・ハイ。サルーマンにガンダルフ。レゴラス。ギムリ。ホビット達。(特にフロドの役者さんがいい。あ、ビルボもね。ピピンのひょうきんも、サムのちょっと太めも。)
ボロミアもいいしぃ。
・・・なんだ、ほとんどいいんじゃん。
(でも、エルフについてあまり誉めてなかったりする・・・)
出来れば、エルフ語がわかるくらいのほんまもんの指輪物語オタクでありたかったなぁ・・・
というわけで、大満足の観劇記でありました。
(多分、もう1辺くらいは行くと思う・・・ 多分、ビデオかDVDが出たら、必ず買う・・・
そうすれば、細部まで、こころゆくまで見たり聞いたり出来るし・・・)
ちゃんちゃん。

Homeに戻る