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効率の良い光学設計をめざして(6)

実施例(4)

「効果の確認」

実際にそれぞれの設計データをまとめて表を作成することにより、仕様達成度得点を比較することができました。収差補正に要する時間は今までと同等でしたが、各設計データを簡単に比較することができたので、同じことを繰り返すことが少なく、結果として効率が向上したと考えています。

また仕様(特性)を変化させたときの性能の変化が把握しやすいのは、設計を進めていく上で非常に重要なので、この点においても効率が向上したと考えています。

誤差感度緩和の達成度は、感度計算自体に時間がかかってしまい、設計納期が優先になって達成度を算出するに至りませんでした。

「歯止め・管理の定着」

 仕様書と同じような項目が完成度評価項目になっているため、仕様書とほぼ同時に設計完成度評価表のフォーマットを作成することができ、また管理面において仕様書と設計完成度評価表が同時に行うことが可能になります。

「反省と今後の課題」

反省点は、誤差感度の計算を行うだけで時間を多く費やしてしまい、感度緩和の達成度が算出できなかったので、目指しているところの設計完成度の算出は達成できませんでした。

また仕様とその許容値を設定するには、設計者単独では決められないことが多く、開発関係者と相談することが多々ありますが、仕様変更等の必要性が生じた場合には設計状況の説明が必要になるため、説明用資料の作成が簡単にできるような方法も併せて考えることが、今後設計完成度表を活用するにあたって必要なことだと考えます。

まとめ

高難易度の仕様に対応する設計方法を検討するにあたり、「品質管理的な考え方」に基づいて設計評価方法を構築しましたが、実際にズームレンズを設計したときにこの方法を採用しましたので、その一部を紹介いたしました。

紹介した方法は、本格的に実務で使用するには未完成なもので、改善の余地がたくさんありますが、最適化作業を少しでも効率よく行う方法としては参考になるのではと期待します。

最後に、光学設計を効率よく行うことは、試行錯誤を必要とする作業が多いので容易なことではありません。個々の設計者が「次工程はお客様」の考えを基にPDCAサイクルを回し、今までの設計方法について改善を常に心がけることが大切であると考えます。