魚菜王国いわて

ヴァージン原料とごみ

ヴァージン原料とは、未使用な原料を指す。
「地球白書」では、ヴァージン原料としており、便利な言葉なのでそのまま使う。

大量消費

平均的なアメリカ人で、一日に消費するあらゆる製品の原料は、101キログラムだという。
これは1ヶ月で3トン、1年間で37トンの消費となる。
さすが、「無駄な消費を美徳とする国民(何かの映画の引用)」である。
資料がないからわからないが、日本人もちょっと少ないだけで似たようなものだろう。
地球上の資源は有限で、今の世代でほとんどの資源を食いつぶし、今後生まれ来る世代は、今の安価で便利な原料を使うことはないだろう。
そして、その消費した残りカスの汚染物質に苦しめられるかもしれない。

この大量消費は、大量生産あってのことであり、生産技術の進歩がそれを支えている。
経済成長は、大量消費なくして成り立たず、また肥大化した統治システムもまた、大量消費無くしては成り立たない。
過去において「所得倍増計画」というのがあったが、これは核家族化を推進して、大量消費を促し、高度経済成長を達成させたものだ。
大家族よりは、核家族に家庭を分散させたほうが、それだけ消費も増える。
しかし、経済成長のための大量消費が、さまざまな社会問題を生んだ。
もっとも悲惨な国民的な問題は失業問題だ。
これは急激な成長で生まれた多数の企業が、大量消費の限界から、すでに“ゴミ箱”行きとなる運命にある。
「消費しろ!」と言われても、もうこれ以上消費できないのだ。
私たちは、子供の頃、「物は大切にしなさい」「無駄遣いはするな」と親に教育されたはずだ。
決して「いっぱい金を使いなさい」なんて教えられていない。
社会のお偉い様方は、何と国民に言っている?
この矛盾を、親は何と子供に言い訳するのだろうか?




大量のゴミ
ゴミ問題は、大都市ほど深刻になる。
焼却するか、捨てるか、リサイクルかのどれかになるが、最近は、分別回収で、市民の側も少し考えるようになった。
家庭での焼却は、“ゴミ減らし”の一つの方法ではあるが、ダイオキシンの発生を伴うので、すべてを回収して家庭の焼却を禁止しようという動きがある。
どうせ回収するなら、その熱で発電するなり、温水利用したほうがよい。
この廃熱エネルギーを利用すれば、少しはエネルギー問題の緩和にもなるはずだ。
廃熱エネルギーで、ゴミ焼却と同じくらいのCO2排出分の火力発電エネルギーを補えるようになるかもしれない。

問題は燃やすことのできないゴミの行き場だ。
おそらく大都市のゴミは地方へと移動してくるだろう。
そうなる前に、リサイクルできる素材ですべての製品を作るようにすればいいのだ。

産業廃棄物は、青森県との県境をまたいで捨てられ、すでに問題となっている。
身近なところでは、宮古のマルイ舗装の事件も、県外から廃棄物を“買っていたのではないか”という噂もあるほどだ。
まさか関連があるとは思えないが、サケの回帰率が近年非常に悪い。
時期的にこの両者が一致しているのは偶然であってほしい。
もしそうなら、大問題である。

産業廃棄物は必ず出るものであるが、かなりアホくさい産廃定義が存在する。
ごく自然にあるものまで産廃になるのだ。
宮古湾の養殖カキに付着している泥も、産廃であるのだという。
海に流して(返して)も自然に対しての負荷はほとんどないだろう。
これと比較して自動車の排出するオイル成分は産廃ではないが、自然に対しては脅威である。

産業廃棄物業者もすべての廃棄物を扱うのではなくて、あらゆる種類に細分化して廃棄物ごとに処理すべきだ。
あるいは特定の廃棄物ごとの専門業者に細分化してもいいだろう。
専門ならそれなりに設備投資もしやすいだろうし、その結果、さらにリサイクルが進むかもしれい。


経済成長のための大量消費、そして人口増、これらにより、日本のゴミはどんどん増える。
それでも消費を煽り、少子化対策に税金を費やす。
ゴミ問題にも、日本の人口問題は影を落しているのである。



経済成長の手法の転換
「地球白書1999?2000」では、ゼロックス社を例に出して、新しい経済のあり方を提案している。
ゼロックスは、いまや、複写機を売るのではなく、複写関連サービスを供給するという方針で、自社製の事務用複写機の大部分を賃貸している。
この方針は、製品の耐用年数をできるだけ長くし、部品のリサイクルをできるだけ多くする、という強い動機によるものである。
この結果、1997年だけでも、3万トンの複写機原料を埋立地に送らずに済んだ。
このようなリース形態は、ヴァージン原料の節約とゴミの排出削減に多大な寄与となる。
さらに、雇用問題の解決へとつながる。
製品販売から製品リースへの転換は、ヴァージン原料に金を使うのではなく、情報や労働力に金を向けることになる。
このような転換こそ、税金を使って仕向けるべきだ。
これで経済が成長するなら、持続可能な成長である。




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