魚菜王国いわて

TAC制度

まず、TACについて説明する。
手元に「TACにTRY」という岩手県で発行したパンフレットがあるが、この中から引用する。

「TACとは「漁獲可能量」のことで、水産資源を持続的に利用するために国が定める、1年間の漁獲上限のことです。TACは、再生産に必要な資源が確保できるよう、魚種ごとの資源調査を基に、毎年設定されます。TAC対象魚種は、さんま、すけとうだら、まあじ、まいわし、するめいか、ずわいがにの7種類となっています。この制度は平成9年1月から導入されています。」

この制度自体は良いものであり、持続可能な漁業をめざすものだ。
しかし、これを狡猾に利用して、スルメイカを堂々と獲るように策略を練った業界がある。
それが大中まき網漁業と沖合い底曳き網漁業である。
もともとTAC導入当初、スルメイカは含まれていない。

スルメイカのTAC導入は翌年の平成10年からで、小型スルメイカ釣り漁業の配分量は15万トン、中型イカ釣り漁業は8万4千トン、沖合い底曳き網漁業は6万3千トン、大中まき網漁業は2万5千トン、あと各知事管理分が12万8千トン、合計45万トンであった。

このスルメイカのTAC導入の際、問題の両漁業に配分した点に不透明な取引があったのではないか、という噂がある。
導入前に、あらかじめ水産庁から全漁連を窓口にして、全国の漁民の意見を集めた、という。
ところが・・・・。

全漁連から各県漁連へ、そして県漁連から各漁協へと意見集約に関する通達がおりてくるはずであったが、なぜか宮古地区では導入が決定してから、県水産部の説明があってそれで終わり。
その時、水産庁のお役人もみえて、かなり紛糾したらしい。
つまり、意見集約なしで決定したため、地域の漁業者は怒ったのである。

私は、このことを何度も地方振興局に足をはこんで聞いた。
担当の方にはかなり厳しいことを言ったが、彼らは、水産庁から決まっておりてきたのを漁協に通達することをしたまでのことであって、決定に対し関与したものではなかった。
県漁連、漁協経由で漁民の意見を聞くはずが、どこかで作為的に、この系統が切断されたのだ。

北海道で発行されている「水産新聞」から、いろいろな情報は入っていたにもかかわらず、意見集約の場が設けられなかったことに、苦言を呈した各漁協の長を、私は知らない。

誰が責任を持つのだろうか?



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