魚菜王国いわて

沖合い底曳き網(トロール)漁業

この漁業は、海底を袋みたいな網で引っ張って魚を獲るものである。
これも、根こそぎ乱獲漁業の一つである。
さらに悪いことには、海底の小さな根(岩などのでこぼこ、突起物)をなぎ倒し、海底を平らにし、魚の棲息場所や産卵場所を破壊している。
これは、レスター・ブラウン「地球白書」でも指摘しているし、FAOでも指摘している。
乱獲による資源減少は言うまでもない。

彼らも、まき網漁業と同様に、タラ類の資源減少からスルメイカを獲ることに活路を見出した。
本県でも、この漁業は幅をきかしており、TAC以前は、混獲と称してスルメイカを堂々と獲り、漁獲実績を作った。
混獲といっても、80パーセントスルメイカを獲っても混獲、95パーセント、いや、99パーセント獲っても混獲なのだそうだ。
TAC導入前の何年かは、全国のイカ釣り漁業者は、この混獲問題をヤリ玉に挙げていた。

水揚げの推移を見ると、平成4年を境に急激に伸びた。
平成3年から以前は、1万トンを越えるスルメイカの漁獲はない。
平成4年が3万7千トン、平成5年で1万6千トン、それ以降は4万トンを超え、TAC導入前の年、平成8年の漁獲は6万3千トンとなっており、これをそのまま、翌年のTAC配分量としている。
平成8年の漁獲報告は、実際の漁獲に水増しして報告された、と噂されている。

本県のトロール漁業の現状は悲惨なものだ。
スルメイカの好不漁で、その年の事業内容の良否が決まるという。
水揚げしているものを見ても、これが、わが国の水産物を支えるものかどうかは疑わしい。

乱獲に関しては、毛がにについても言える。
小型船の毛がにの岩手県許可では、甲長7cm以下の毛がには採捕してはならないし、雌がにもとってはならない。
ところが、トロール漁業には、そのような制限はない。

最近は少しは配慮して水揚げしているようではあるが。

このような漁業を、制限なしで操業させる理由がまったくわからない。
また、資源減少に配慮するはずのTACが、資源を減少させる漁法を保護しているのだ。
水産庁は何を考えているのか?



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