魚菜王国いわて

八戸港におけるTACの無視

昨年、つまり平成13年、八戸港のまき網、トロール両漁業において、TACは無視されている。
まき網船の漁獲報告が、実際の漁獲の3分の1、というのは、八戸港では常識である。
また、トロール船のそれは、半分の報告であり、半分は市場を通さないで、直接加工工場へと運ばれる。
何のためのTACなのか?
この件を、私は水産庁にメールで問い合わせている。
ここで転載する。



(2001年9月28日)
私はイカ釣り漁業を営むものです。
八戸においてTAC制度を無視した水揚げが行われています。
まず沖合い底引き網漁業において。
水揚げの半分は市場を通さないでそのままトラックに積んで搬出されます。
つまり水産庁に漁獲高として報告されるのは半分ということになります。
また6月の漁期終了時に獲ったイカはホッケと名付けられ、これも水揚げされていま
す。
次にまき網船について。
大中まき網船の漁獲高の報告は1/3だけが報告されるとのこと。

このことは八戸の魚連、市場ぐるみでしていること。
八戸の人たちはみな知ってますし、外来船もみな知っています。
水産庁もまさか知って見ぬ振りをしているのではないのでしょうね。

両漁法とも根こそぎぎ獲りすぎたから資源をなくし、その結果、スルメイカをとらな
いと維持できなくなった。
資源管理の観点からいえば、なくすべき漁法です。
あるいは小型化して少ない水揚げでも事業としてやっていけるようにするとかすべき
です。
底引き網漁業は海底の環境を破壊しています。
彼らのせいで小さな根はほとんどなくなりました。
国際的にも魚の生息環境を破壊する最悪の漁法だと非難されています。
水産庁はどうしてこのような漁業をいつまでも継続しようとするのか?

二点返信願います。
1 八戸のスルメイカのTAC漁獲高の報告について
2 この両漁業の存続理由について



(水産庁からの返信 2001年10月3日)
××××@NOUSUI
2001/10/03 11:33

ご質問に関し、次の通り回答させていただきます。

1 八戸のスルメイカのTAC漁獲高の報告について
スルメイカはTAC魚種であることからTAC制度に基づく漁獲報告が行われておりま
す。水産庁ではその集計結果をとりまとめ、次のホームページにおいて公表しております
ので、そちらをご覧下さい。

http://www.jafic.or.jp/tac/index.html

なお、主な漁港別の水揚げ量等については次のホームページにて漁業情報サービス・セ
ンターからデータ提供が行われております。八戸のスルメイカ水揚げ量についても情報が
掲載されておりますので、そちらもご覧下さい。

http://www.jafic.or.jp/market/index.html

2 この両漁業の存続理由について
両漁業とも日常の食生活に不可欠な魚介類を中心に我が国の水産物供給の約3割を安定
的に供給している漁業であるとともに、地域水産業の中核となっています。
その反面、これら漁業は釣り漁業等に比べ効率的な漁法であることから、それぞれの漁
法の特性を踏まえ、操業区域や操業期間を設定する等操業の制限が課された上で実施され
ています。



(2001年10月3日)
こんにちは。
先日の私の質問の前の文を読まれました?
八戸での水揚げの現状について。
今度ははっきり質問します。
1 あなた方は私が指摘した現状を知っていますか?
2 知っていないのなら調査し、改善命令するつもりは無いのですか。

前回の2の回答について。
あまりにも聞きなれた回答で笑っています。
漁業資源動向を考えた回答が無いのはTAC担当にしてはひどいと思いませんか?
もしあなたが私の立場でこの回答を見たらどう思います?
笑ってしまうでしょう。
>両漁業とも日常の食生活に不可欠な魚介類を中
>心に我が国の水産物供給の約3割を安定
>的に供給している漁業であるとともに、地域水産
>業の中核となっています。
3割が妥当なものですか?
根拠があまりにもいいかげんな回答です。
自給率が何割がよいかという議論すら行われていないのに。
さらに魚介類の漁獲高ではなく、割合で必要性を説くとは、驚いています。
言ってる意味がわかりますか?
もう少し説得力ある回答をお願いします。

>その反面、これら漁業は釣り漁業等に比べ効率
>的な漁法であることから、それぞれの漁
>法の特性を踏まえ
効率的な漁業とは表現がどうかと思われます。
恐らく短時間でたくさん水揚げするという意味と思われますが、単価、経費等を考え
るとどうでしょうか?
魚価が下がっている現在、あなた方の言う効率化は安い魚をたくさん売ると言うこと
でしょうか?
付加価値を高めようと各漁業者が取り組んでいる時代に反対に単価の安い漁業をどう
して水産庁は守ろうとするのか理解に苦しみます。
さらに問題のこれらの船は凍結船でないにもかかわらず、休みの日でも補助機関は常
に動いています。
つまらない燃料消費は石油資源の減少を早め、燃料の価格上昇も引き起こします。
さらに排気ガスは最終的に海に戻ります。
ますます海洋環境を悪くします。
太平洋側はすでにイカ釣り漁業において省エネ漁法「昼釣り」が主流を占めていま
す。
問題の両漁業の猛省を促します。

>操業区域や操業期間を設定する等操業の制限が
>課された上で実施され
>ています。
両指定漁業を各県に許可権限委譲して、まき網の無い県などは禁漁区にするなど、ま
た底曳き網漁業も厳しい海区制限加え、さらに底曳き網を保護している調整規則など
の変更もすべきです。
今、久慈市漁協では2Kg以下のタコは荷受しません。
持続可能な資源管理を真剣に考えての取り組みです。
ところが底曳き網はお構いなしに他の市場に水揚げしています。
この現状を踏まえ、魚種、魚の体長、重量の制限もすべきではないでしょうか?



(水産庁からの返信 2001年10月10日)
××××@NOUSUI
2001/10/10 11:53

 10月3日付けの次の質問に関して回答させていただきます。

(質問事項)
1.あなた方は私が指摘した現状を知っていますか?
2.知っていないなら調査し、改善命令するつもりは無いのですか。

(回答)
 10月3日に貴殿に回答するとともに、青森県庁を通じて八戸の魚市場の状況につき確
認をお願いしたところです。

 なお、青森県庁からの報告を受けた後、必要があると判断されれば、当方から担当官
が現地に出向きTAC報告状況につき
市場関係者からの聞取りを行う等、別途、我が方としての確認も検討したいと考えており
ます。

 また、10月3日付けの質問メールで言及のありましたスルメイカの資源動向につきま
しては、下記のホームページに情報が
掲載されております。これによりますと、スルメイカについては冬季発生群及び秋季発生
群とも資源水準は高位、動向は横ば
いとなっております。

http://abchan.job.affrc.go.jp/



このやり取りの後、八戸の問屋から聞いてみたが、改善されていなかった。
問屋の話では、これは今に始まったことではなく、この事実を県は知ってるし、水産庁も知らないはずはない、とのこと。
あまりの悲惨な水産行政に、ただただ唖然とするばかりである。



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