魚菜王国いわて

福祉主義と自立主義の弱点

今日は、掲示板に登場した「匿名」さんとのやり取りから。
はじめに解釈について。
社会主義と資本主義は対をなしていますが、アメリカ理論経済学界の究極の対立は、福祉主義と「小さな政府」論です。
福祉主義は、社会主義と資本主義(自由主義)との中間的性質をもつものと捉えるものもあるようですが、ここではこれを無視し、アメリカ政治思想界の対立を前提として述べます。
なお、「小さな政府」を、私は自由主義というよりも自立主義と呼んだ方がよいような気がします。
したがって、自立主義と呼びます。

「私が反アメリカなのに、どうして、アメリカを題材にするんだ?」という人もいると思いますが、副島流に言えば、「どうしてもアメリカの覇権主義にヨーロッパは勝てない。なぜなのか?」。
これを問うようになってから、、ヨーロッパの思想研究者は、アメリカを分析するようになったとのこと。
しかも、アメリカへは、ヨーロッパから思想の移入もあり、アメリカは、政治思想の縮図と言われています。
それゆえ、アメリカの政治思想を学ぶことで十分だ、とのこと。
私のようなものはこれで十分ですが、これを極めたい人はやはり、学校で習った基本的な思想から、歴史を通じて順に勉強するのがよいかなあ、と思います。

「小さな政府」の弱点
「世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち」の弟4章「法をめぐる思想闘争と政治対立の構図」によると、法人定主義の代表ロバート・ノージックの「最小限国家」が、ミルトン・フリードマンの「小さな政府」の法学版となります。
この法人定主義が、実は、1930年代のナチス・ドイツの法思想につながったというのが、「小さな政府」の最大の弱点です。(なぜなのか詳しく書きません。本を参照してください)
「匿名」さんの指摘にある、今の政治状況を解決しないまま、「小さな政府」を主張しても何の解決にはならないというくだりですが、これは多分、小さな政府でごく少数の権力者による統治は、かえって危険だ、という意味だと思います。
確かに、その通りかもしれません。
その原因となるのが、現在ではやはりカネ。
所詮カネですが、拝金主義のこの世の中でカネぐらい恐いものはないです。
カネの言いなりになるのが普通ですから。
アメリカの仕掛けで戦争を始めるのも、やはりカネですね。

福祉主義の弱点
何度も書いていますが、これはなんと言っても財政破綻、そして、その原因となる政治家と国民の、制度の濫用につきます。
まず、「憲法第13条の幸福追求という言葉を人間の欲が利用し過ぎている」(←ファイル消失)ということが、最大の弱点をさらけ出しています。
賃金について言及してますが、賃金はどのような基準で決められるのか、さっぱりわかりません。
上昇分もわかりません。
賃金が低い低い、と叫ぶ労働者たちは、何を基準に、誰と比べて、主張しているのか、さっぱりわからないんです。
公務員のそれも同じです。
私たち自営業者は歩合制で、それを被雇用者との合意で行っています。
すべての国民が職にありついて、生活しなければいけないというのはわかりますが、福祉主義者は、賃金決定方法を考えなくては、あまりにも無責任過ぎます。
最近耳にするようになったワークシェアリングという考えの出現が、遅きに失した感もあります。
これは、明らかに、賃上げ、時短しか、要求してこなかった労働組合に責任があります。
少なくとも、歩合制というものを視野に入れ、会社の経営とはどういうものか、経営陣の監視を兼ねて検討してくれば、このようなことにはならなかったと思います。

それから、健康保険制度や公的年金制度の欠陥などについて、本来、自立主義である私が言うべきことではないのです。
福祉主義者たちが反省して、自分たちからこうしよう、ああしようと積極的に提言すれば、私がいちいち指摘しなくてもよいのですが、一体このような指摘をした人がどこにいますか?
福祉主義者が反省しなければ、この制度は絶対に良くなることはないでしょう。
つまり、破綻確実です。
どうして、福祉主義者たちが、このような考えを起こそうとしないのか?
それはやはり、「国家が国民の健康まで面倒をみるというのは、当たり前のこと」と思っているいるからです。
自立主義者のように「自分の健康ぐらい、自分で管理せよ」という考えが希薄なのです。

私は「小さな政府」を勧めていますが、決して完全な「小さな政府」を考えているわけではありません。
しかし、このような国民の社会保障の濫用に対する指摘は、「小さな政府」論なくしてはありえないと思います。
正しい社会保障に対する利用者の理解があれば、理論的には、破綻するものではないのです。

また、同様の構図で、社会の雇用情勢についても言えます。
「職がない」といっても「K」のつく労働はある。
低賃金のものもある。
でも、それには就きたくない。
いくら選択の自由があるからといっても、それで「職がない」というのは、あまりに虫が良すぎます。
個人の欲望をすべて、国家が面倒見れるわけがない。

母子家庭といっても、本当に不幸が起き、そうなった人もいれば、あまりにイイカゲンに考えて離婚したり、と、ピンからキリまであります。
そして、生活保護の濫用者もいます。
これでも、すべて国家が面倒をみるのか?

福祉の行き過ぎは、人間の欲を増長するだけだ!
幸福追求という言葉の裏側には、欲が潜んでいる!
と私は思ってしまいます。
(2002年3月12日)

補足説明
この匿名さんとはネット界では「青い鳥」と名乗っていて、発足当時の掲示板を荒らした者です。
詳しくは「掲示板における誹謗・中傷書き込みをした人の情報開示請求」を参照ください。
(2003年12月6日)



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