魚菜王国いわて

TAC報告の不透明性

つきまとう不穏な話
スルメイカTACの平成17年版が決定しており、昨年と全く同じです(TACについては、スルメイカに関するTAC制度の目くらましを参照してください)。

昨年の10月に、八戸では、10月末で沖底船(沖合底曳網漁船)のTAC割り当ては消化する、という話が、市場その他から聞こえてきました。
岩手の沖底船についても、同様の声を聞いています。
ところが、11月になっても12月になっても獲り続け、いつまで獲るんだろう?とイカ釣り漁業者は、疑問の目を向けてきました。
本当にどうなっているんでしょう。

TACの表を見ると、沖底船の漁獲量は、平成16年12月末で、TAC割り当てをなんと75%しか消化していないのです。
10月末の話は、何だったんだろう?

TACはどうでもいい制度?
八戸のトロールのスルメイカは、木箱に詰めて水揚します。
木箱1箱の中身は、ゆうに20kgを越えていると言われますが、一説によると、その報告も1箱15kgにしているのか、10kgにしているのかさえ、わからないようです。
岩手のトロールモノは全部重量で水揚しますから、ゴマカシはないと思われますが、市場でどう取り扱っているかはわかりません。
これも一説によると、市場とトロール漁船側が結託して誤魔化しているとか。
つまり不正。
どうもこの漁獲量のゴマカシは、スルメイカだけではないようです。
比較的資源管理に厳しい北海道でも、サンマなどは誤魔化していると言われ、どこの市場でもそれなりに水揚をしてもらって、手数料がほしいのでしょう。
誤魔化してくれない市場は敬遠され、それが嫌なゆえに、市場側としては水揚船を獲得するために、ゴマカシに協力するのです。
各市場の窮状はわからないわけではないのですが、資源が減少したら、元も子もない。
せめてTAC魚種だけは、しっかり漁獲量を報告集計し、制度を守ってもらいたいです。

ガラス張りにすべきTAC
私は県のTAC担当の水産職員(宮古地方振興局)に聞いたことがあるんですが、トロール漁獲枠は全国枠で集計され、その枠が消化されれば、一斉にその魚種は獲ることはできなくなるはず、と言っていました。
この話から考えると、昨年10月末にあった、八戸、岩手の両漁場でのTAC枠終了の話は、本当の話だったと納得できます。
終了の話が同時に出ましたから。
しかし、11月に入ると、どういうわけか、岩手のトロール船は全船、1回だけ網を入れ、漁があろうとなかろうと、スルメイカを獲って帰ってきました。
この行動も不思議でして、何らかの裏が必ずあります。
TAC漁獲枠がまだあるのならば、1回だけ網を使うという半端なことはするはずもありません。
これは八戸でも同様で、1日に獲る量を少し減らすとか、そんな行動があったようです。
何かをコソコソやっているんですね。

こんなコソコソする行動は、本当は厳格なデータ発表をすれば、できないはずなのです。
通信網が整備された環境では、その日の総水揚なんて、瞬時に集計されるはずです。
現在、岩手全域をカバーする無線局として、釜石漁業無線局が一括して放送を行っていますから、このスルメイカのトロール漁獲高は、毎日、釜石漁業無線局を使って放送できるわけです。
そうすれば、これらのデータは、少しはガラス張りになると思います。

最終手段は、税務署との共闘
それでも上記のような魚市場からの報告にゴマカシがあると、せっかくの釜石漁業無線局の放送も無意味になってしまいます。
最終手段は税務署と県の水産部が共闘を組み、データ捏造を暴きだすこと。
泣く子も黙る(黙りませんが)税務署の調査となると、誤魔化すことが困難になります。
総売りを平均単価で割れば、簡単に数量は出ます。
それも上手に捏造していたとしても、今度はその販売先、そして船主も調査しますから、結局バレます。
もうここで書いてしまいましたから、そうなる前に、各市場ともトロール漁業の漁獲量のゴマカシはやめましょう!
もし、本当に税務調査となって、ゴマカシがバレたならば、魚市場のトップの首は、確実に飛びます。
(2005年1月31日)



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