少林寺拳法の開祖は、戦時中の中国で特務機関員として働く傍ら中国各地の武術継承者に教えを受けた。そして河南省嵩山少林寺の白衣殿の壁画に感銘を受けたのである。その後終戦で日本に帰還した。ところが終戦直後の日本人の荒廃した姿を目の当たりにして、日本民族の誇りを取り戻すためには人の質を変えなければならないことに気づき、武術を人集めの手段にしようと考えたのです。その後、今までに身につけた武術を再編成し、人づくりの行として「少林寺拳法」が生まれたのである。
「少林寺拳法は不遷流柔術の影響を受けていて中国拳法とは関係がない」などと低次元なことを言っている輩がいるが、生前の開祖は今までに学んできた武術を再編成したとは言ったが、柔術はまったく関係がないとはひとことも言わなかった。開祖の祖父が不遷流柔術の免許持ちらしいが、であるならば当然影響を受けていても不思議ではない。ただ開祖の素晴らしさは、そのような技術一辺倒な武道家を目指すのではなく、人間教育に力を注ぎ理想社会実現のために人生を懸けたところにあるのだ。それが人を惹きつけてやまない魅力なのである。
個人的な意見だが、今を生きる私達にとっては過去等さほど重要ではない。それは少林寺拳法が他に類を見ない大きな組織力を持つ団体に育っていることがすべてを証明しているからである。過去に拘るあまりに先を見失っている団体は、何をなすべきか今一度真剣に考えてみるべきだろう。
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