息を止める



エンジン突然死事件を経験して、

俺様 「このままではいけない!」

と痛感しました。


「何とかなるサ」位の気持ちで乗ってると、トンでもないしっぺ返しを食らいます。
まったく、機械の分際で、人間様に盾突くなんて、このクルマはいい根性してます。
これは

「お仕置き(爆)」が必要です。

そこで思いついた問題点は、放置せず、改良はすべて実行することにしました。


例えば、デフカバーにオイルのドレン穴を追加(ナットをロウ付け)。
この位は、「常識」ですか。(皆さんも、当然、実行してますよねっ?)


が、このクルマはまたまた、「やらかして」くれました。



ある夜、こっそり、西蔵王の道路を走ってると(笑)、走行中に
助手席の奥がボンヤリ光りました。焦げる臭いがしたような気がします。

俺様 「んー?」

が、特に問題はなかったみたいなので、そのまま家に帰りました。
次の日の早朝、「山形セブンクラブのツーリング」の日です。しかし、集合場所の物産会館
に着くと、雨の気配が。セブン乗りは雨には敏感です。ほとんど本能的に雨を感じます。
「永井護」的に言えば、ヘッドライナー並みの感性を持ってます。
相談して、ツーリングは中止。そのまま家に帰ることにしました。

全員 「お疲れー!」

が、セルが回らない!
見るとアンメータはピクリとも動かず。押しがけでも掛からず完全に息を止めました。
だんだん黒い雨雲が垂れ込めてます。ヤバイです
バーキンセブンは、ケーターハムと違い、最初から牽引フックが付いて無いので、
牽引は無理。あーどうしよう、なんて言ってられません。ついに降ってきました。
セイフテイローダーの手配をします。トヨタレンタリースで値段の交渉。
(知ってると思いますが、時間が短いと、交渉次第で半額近く安くなります。)
急いでスタボンに搬送しました。


「バーキンセブンの電装系は構造上、必ず焼ける!100%
間違い無い。だから、修理代の20万は常に用意するべきだ。」

山形セブンクラブの会員からこんなアドバイスを受けました。この方の場合、お約束の
アンメーターからの出火でした。94年までのバーキンは、アンメーターとプラスの配線の
マッチングが悪く、出火するみたいです。改良方法としては、プラスの配線の太さを変え、
ボルトメーターに変更するのが有効です(メーターの負担が減ります)。

この方の場合、山形市の「共○自動車電機」に作業依頼しましたが、かなりの難物だったようで、
結果、20万円近くかかったようでした。私はその方から忠告と一緒に、当時「オートジャンブル」
誌にも公表されていなかった「バーキンの配線図(マルカツ製作)」を頂き、来たるトラブルに
備えてました。この配線図は、後に「オートジャンブル」誌に公表されたものや、「鈴商」の
ホームページに掲載されたものより正確で、私の宝物です(持つべきものは、友達だなあ)。

プロオートの社長は、この不良部分が改良されて、トラブルフリーになったと力説してました。
しかし、メーターの不具合が改良されても、他の部分で壊れたら、

俺様 「意味無いジャン。」

昔、古いヤマハの2本ショックのDTをフルレストアしてもらった事がありました。
「FACTORY」でビカビカに直され、そして納車の時にこうおっしゃいました。


1975年式DT。すばらしい仕上がりだった。

「レストアを施した車両は、ある時を境にものすごく壊れる。乗って、初めて
装着してるパーツの寿命がわかるのよ。それを直して初めてレストア終了だ。」

この言葉は身に染みました。「名言」です。全く、セブンは新車の状態から
旧車ミーテイングでエライ顔が出来ますが、


素ノーマルの新車の時代から、コノ人だかり(笑)。

壊れるのもレストア車並みとはねー。まあ、板金しなくていいだけ
ましかな。これを乗り越えれば、きっと明るい未来が待ってる
と信じて修理を依頼します。


GT−R(KPGC10)と並行して作業は進む。

壊れた原因は、センターコンソールの裏、ちょうど水温計の真裏にある、
配線の「ジャンクション」が緩んで熱を持ち、焼けて、ダイナモがパンクしたせいでした。
しかもこのジャンクションは絶対に、「自動車部品」とは考えられないものでした。
配線がほとんど剥き出しで、グシャグシャに、のたうってるのにはビックリです。
(ケーターハムとはエライ違いです)+線は赤線ばかりなのも気になります。


真ん中のジャンクションです。始末の悪いことに、全く手の入らない場所にあります。実は
私は過去に、これと同じパーツを某所で見たことがあります。それは、なんと、「農業用暖房機」
の分電盤の中(!)です。このパーツは「自動車部品」で無い事は、間違い無いです。


焼けた配線を取り、接続はカプラー式に交換します。

ダイナモは日本電装製に替えました。ステーはワンオフ製作です。(配線は
一本だけ追加する必要があります。)国産なら壊れても全く心配はないです。
三千回転から、やっとチャージするノーマルと違い、アイドリングからグングン
充電して、始動と同時にインパネのチャージランプが「スパッ!」っと消えます。

燃料ポンプは、日産DR30型スカイラインターボに純正装着されてる、通称
「FJポンプ」に交換。OER製の高圧タイプのレギュレーターで0.3キロまで
減圧して使用します。リレーとブラケットはワンオフ。目立たない処に設置します。
(二箇所ある燃料タンクのエア抜きの一つを、燃料のリターンに流用しました。)

このポンプは現在4万円以上する、非常に高価な部品ですが、我々が知りうる、
世界最強最高の燃料ポンプです(予備でもう一個持ってます...笑)。


「FJポンプ」。ニスモの電磁ポンプが定番だが、私は「ニスモポンプ」と同じポンプが
コマツの重機に装着されてるのを見て、ガッカリした(真黄色でした)。電磁ポンプとは、
実は、「横に置けない」「圧送は可能だが吸いこみは弱い」「燃圧の確保が難しい」
「ゴミを噛むと一発で昇天」「脈動がキャブのフロートに悪さをする」、という問題点
を抱えてるのだ。ハコスカGT−R以外、全くといって良いほどメーカーは純正採用を
してないと言った例をあげるまでも無く、決してキャブには「適正な」部品ではないのです。

FJポンプはL6ターボチューンの強化燃料ポンプに流用される程の大容量。まず一生
使える長寿命。さらに燃圧の確保は非常に簡単で、しかも電磁ポンプには必ずある、
ドックンドックンって言う「脈動」が無いのだ。これがウエーバーのフロート室に悪さして、
フロートが波打ってしまい、何だか分からず「油面が合わない!」と悩んでる人は
一杯いると思うよ。キャブ車の方!定説にとらわれず、一度試してみたらいかがでしょう?


さらにエンジン調整も依頼しました。タペット、点火時期を見直し、
ウエーバーキャブも調整します。まず、同調を完璧に取りたいので、
外車に多い、ファンネルからカタツムリみたいな形のテスター
(キャブバランサー)を押し当てて負圧を検出する方式を止め、


通称「カタツムリ」。ファンネルからの二次的な負圧を検出するため、精度が悪く、まず同調が取れない。
針のブレを抑えようとするとキャブからガスが吹き返す。何より致命的なのが、アイドリング状態でしか
負圧を検出できない事だ。こんなもの、買う価値のないゴミなので、万が一持ってたら、さっさと捨てて、
こんなゴミで同調取って、金を取るショップがあったら、早く縁を切りましょう(笑)。


インマニに穴を開けて、装着したゴムホースからバキューム圧を検出する、
「シンクロテスター」を用いた、国産旧車のセッテイング方式に変更しました。


日本の一般整備工場なら、条例で必ず所持してなければならない、「シンクロテスター」。
ツインキャブ車が登場した半世紀前から存在する計器なのに(二針式はもう珍しいです)。
一体、現在の日本で、使いこなせる者は何人いるのか?「負圧」とは、その名の通り、スロットル
バタフライ〜インテークバルブの間から検出するものなので、「カタツムリ」で同調を取ろう
なんて行為が、いかにくだらないかわかるだろう。これはインマニの2番、3番に1/8ptの穴を開け、
検出します。プロは、アイドリング、全開、パーシャル、吹け下がりまできっちり同調を取ります。

「じゃあ、1番と2番、3番と4番の同調はどうするのよ?」

と思ったアナタ、もし、それが狂ってたら、ウエーバーのスロットルシャフトがねじれてます。
そんなキャブは、ゴミなので捨てましょう(笑)。某AJ誌では、「キャブの達人」と自称してる
オッサンが、バイク用の4連テスターで、これ見よがしに測ってるのが載ってたので、思わずお腹抱
えて笑ってしまいました。あの雑誌は毎回、トンチンカンな記事が載ってて笑えます(大笑)。


精度がまるで違います。スプリングマウントはほとんど折れてたので
SKサンヨー/OER製の「アンチバイブレーションキット」を装着します。
ついでにインマニの段差を修正して鏡面加工しました。


アルミはすべて磨いてビカビカです。サイド出しのデスビキャップは、
そのまま付けると、あさっての方向を向いてしまうので、ケースに切り
欠きを追加して、正規の位置に持ってきます。


そしてゴムホース類はすべて交換。国産とアールズに変更しました。
(欧州車のゴムは日本/米国のゴムと違い、湿気による劣化が激しいです)

燃料タンクは鈴商製「強化燃料タンク」に変更。セパレーター付きで燃料の偏り
がなくなります。この部品、実際は、初期のステンレス燃料タンクが割れやすく、
その対策品として発売になったものです。EPスターレットも、「GT」はセパレート付き、
反対に「ソレイユ」はセパレーター無しなので、スポーツ走行には必要かな?と思って
装着しました(笑)。まあ、ここまでは、素人のセブンに必要部品ではないでしょう。

こうして完成したセブンは生まれ変わりました。額に汗を流し、やるだけやっただけの事
はありました。ミーテイングでも乾いた排気音を響かせ、


光り輝くエンジンルーム。「速い、綺麗」がモットーだ。

エンジンルームが綺麗になったので、他のセブンは恥ずかしいのか、
みんなボンネット閉め出しました(爆)。
こういうファインチューンはおすすめですね。いろいろとウェーバーのジェット
を購入して、セッテイングにいそしんだ結果、メインジェットは〜#145、
エアージェットは〜#230位はイケルのを発見して、走るのが楽しくなって
きました。