OS技研



「こ、こ、これはなんですか?」「んー?これは、トヨタUP10パブリカ(笑)」
「全然、トヨタのパブリカじゃあないですよ!」「えー?だって、車検証に書いてあんもん。」
本当にトヨタのパブリカでした。いやあ、車検官も絶句しただろうなあ(笑)。



エンジンは完成したのですが、新たな問題が発生しました。
補機が手に入らないのです。まずウェーバー45です。
当時どこに問い合わせても、

「ウェーバー45?在庫はありません。」

と言われました。片っ端から何十件も電話をかけまくりましたが、
まるでウソのように在庫が切れてました。一体、どうしてでしょうか?

社長 「そういえば、こないだ、ミクニのソレックス44が製廃になったってよ。」

おそらく、原因はこれです。チューニングエンジンにはマストアイテムの「ソレックス44」
が新品で手に入らなくなったので、ウエーバーキャブにまで、買占めや売り渋りが多発
したのでした。この事件で、チューニングショップは相当、危機感を抱いたと思います。
それほど新品のキャブは価値のあるものなのです。まあ、

「中古をオーバーホールして使えば良いジャン。オークションでも一杯出品してるし。」

と思う方も中にはいると思いますが、違うんだなー。新品は、スローの出かたがまるで
違うよ?新品から始めるのと、中古をオーバーホールして再使用するのでは、
スタートラインから違うから、新品の方が同じ領域までセッテイングしても、ずっと近道だし。
それに、オークション物の中古は、理由があって外した、「訳あり品」と思って間違いないぜ。
しかし、新品が手に入らなかったら意味ないジャン。
かなりヤバイです。どうしましょう?スタボンに聞いてみます。社長は、

社長 「んとに、も〜。しょうないなー。聞いてみるからよ。」

と、某所に電話を入れます。すると、あっさりと、

「うちに在庫あるよ(爆)。」

灯台元暮しとは、この事でした。やっぱ、会社を通すとまるで違います。
お願いして早速分けてもらいます。
数日後、念願のウェーバー45が届きました。箱描きを見ると、
なんと!貴重品、イタリア製のウェーバー45「DCOE9」の
写真が描いてあるじゃあないですか!おお!

俺様 「これは、お買い得だったか?(嬉)」

と思い、頬が緩むのを抑え、つとめて冷静を払い、中を開けて見ました。すると、なんと!
ただのスペイン製のDCOE152でした。

俺様 「世の中、そんなに甘くは無いか....。」

社長 「なに、一人でブツブツ言ってるんだ?お前は部品オタクか。」

社長に呆れられました。まあ、キャブの中身はかなり入れかえるので、対策後の
キャブでも全然オッケーです。このように、ウエーバーだけで大騒ぎです。

次にセルモーターです。一般に、セブンのセルモーターは、フライホイールと関連が
あり、110枚歯のフライホイールは11枚歯のセルモーター、135枚歯のフライホイール
は9枚歯のセルモーターが適合すると、一般的に言われてると思います。が、バーキンは、

「フライホイールは135枚歯」、
「セルモーターは10枚歯」


なのです。後に知りましたが、セブンに適合するであろう、クラッチとフライホイールは
星の数程あるのだそうです。キットカーの弊害というか、系統立てて部品の適合を
探る事も出来ず、部品屋は10や20では、きかないくらいの種類の中から探さないと
いけないので、「駆動系の部品を探してくれ」と頼むと、相当渋い顔をされます。
そう言う訳で、ショップは、お客への対応がめんどくさいので、結構簡単に、

「クワイフの、クロスミッション入れましょうよ。ヘヘヘ。」

と言う訳です(笑)。セブンの5速ミッションは、V6シエラのミッションで、ベルハウジング
を交換して合体してますが、バーキンの場合、ベルハウジングから製作してるようで、さらに
適合する部品を探すのは大変だと思います。余談ですが、97年末から発売されたマクラーレン
チューンのゼーテック、あれに付いてたアルミのベルハウジングもバーキン自製です。油圧の
クラッチリレーズがコケて、クラッチが切れないというトラブルが続出しましたが(笑)、私的には、

俺様 「何でも自社製作するバーキン社はスゲー!」

と関心したものです。どっかの正統メーカー?も見習って欲しいものです。自給自足は、国家の
基本ですよ(謎爆)!そう言う訳で(どんな訳だ?)ショップの言う事は、注意して聞いてみましょう。
私の場合、今回のチューニングでは、今までの様には、ショップの言うことには、いちいち
気を付けてるので、「適合が合わない」なんて、そうは問屋がおろしません。会社同士の
ビジネスとして、業者に注文を出します。そして相当頑張って探して来るのか、3ヶ月位して、
セルモーターが届きます。開封すると、

社長 「何だこいつ?日本電装製の加工品ジャン。くだらねえ。」

俺様 「どっかで見た様な気がしますね。」

社長 「3S−FEかなんかのリビルド品に、アダプターを追加したんだな。これで6マンは
    取りすぎだろ?歯数も歯の形状も違いすぎるし。なにより、ボルト3本支持って
    指定したのに、2本支持じゃん。駄目!却下!」

そして返品です。「返品」と簡単に書きましたが、これは重要です。DIYでセブンを維持され
てる方、クレームや返品はきちんとされてますか?個人対会社では、訴えても無視されて
泣き寝入りしたり、「これが個人輸入の醍醐味だ」などと、使えないゴミを増やしてはいない
でしょうか?会社を通して、会社対会社のビジネスにすれば、余計な金を使う事もないですよ。
何回かセルモーターの返品を繰り返したでしょうか、社長、とうとう、

社長 「だめだ!強化セルモーターを買うのは、あきらめてくれ。」

俺様 「ええー!」

社長 「だってノーマルでも辛うじて回るジャン(爆)。沢山電気食うけどよ。」

俺様 「何とかして下さいよ!」

社長 「無理だ。輸入業者から買うのはやめる。そして、俺が作る。」

そうして「セルモーターのワンオフ製作」と言う前代未聞の作業が始まりました。
この作業は、ありきたりのセルモーターの取りつけ加工ではなく、

「全く新しいセルモーターを造り上げる」

と言う大事業でした(笑)。用意するのは、

バーキンセブンケント純正、ノーマルのセルモーター(ルーカス製)....1個、
AE111純正遊星ギアタイプ、リダクションセルモーター(日本電装製)..2個。

これを
秘密の加工(爆)により1個のセルに造り上げます。
嘘みたいでしょ?


私も冗談かと思いましたが、今でも全く問題なく使用してます
(始動音はまるで高級車のようです)。

さらにクラッチです。実は今まで、APレーシング製のアスベストタイプの強化クラッチ
と強化カバーを加工して使用してました。これはセブンレースでは定番ですが、
最近では貴重品で、私はオーダーして入手まで半年も掛かりました。半クラッチは効くし、
軽いし、200馬力位は余裕で対応できるので、良い事ずくめなのですがね。


これです。軽量フライホイールに専用ノックピン加工(バーキンとケーターハムでは互換性が無い)、
一体バランスを施した逸品です。部品購入に手間取り、結局オーダーから完成まで半年掛かりました
これと同じ物を作るとしたら、10万円以上掛かります。結局、オーバーホールの簡単さから、OS技研
のクラッチに変更しました。このAPのクラッチは半年も使ってないので勿体無いです。誰か買って下さい。


社長 「今、業者から電話があってよ。」

俺様 「はい。」

社長 「OS技研内で会議した結果、97年型の、バーキン用の強化クラッチは今まで製作
    したことが無い、だってよ。ケーターハム用はあってもよ、形が違うんだと。」

俺様 「どうなりましたか?」

社長 「二週間位、議論したんだが、大手さんからのオーダーだし、今後の研究に役立つ
    かもしれないから、じゃあ製作しましょう!って決定したそうだ。良かったな。」

俺様 「やったあ!!」

社長 「アルミカバーのスーパーシングル、ダンパー付きで、いいな?」

俺様 「はい!お願いします!!」

こうしてクラッチも一品物で製作したのでした。実は、OS技研のセブン用のクラッチを
販売してる店(四国の○ッ○ハ○スね)は知ってて、一度問い合わせしたのですが、なんと!
その店には電話が無く、仕方ないので携帯(店長のね)に電話を掛けたのでした。そして、
話を聞くと、クラッチは、「無加工ボルトオンは無理」。それに店長の話っぷりが、あんまりに
ノリノリだったので(笑)、「かえって怪しい」と、判断して、OS技研に、直接造らせたのです。
(携帯だけのショップに、大枚は叩けないよ。)そうして2ヶ月後、ようやく念願のブツが
着ました。厳重に梱包された箱の中の発砲材の奥には、光り輝くクラッチカバーが!


世界初です(笑)。クラッチフォークは特注で加工。リレーズベアリングとカラーもワンオフです。

俺様 「すげえ....!」

社長 「フライホイールの重さは、○キロ(自主規制)にしといたからよ。」

俺様 「バランス用の穴が全然ないですね。」

社長 「それだけ精度がいい、ってことだ。このクラッチは400馬力まで対応できるから。」

俺様 「セブン、そんなに馬力でないっすよー!」

こうしてエンジンはすべて完成。いよいよクライマックスか?


とうとう形が見えてきた。右にあるのが、世界初、セブン用遊星ギアタイプ
のリダクションセルモーター(笑)。そして、特注、バーキン7に無加工ボルトオン
のOS技研「スーパーシングル」。フルチューンだが、見た目は普通だ(笑)。