ナビの北海道旅行記1986 パート3
8月5日(火曜日)
朝シトシトとした音で目が覚める。今日は雨か!洗顔を済ませ朝食を取りに食堂に行く。なななんだ?この朝食は?ってビックリする

ビニール袋に入った食パン3枚と三角パックの牛乳、バナナ1本。何も火を通したもの無いじゃん。でもってヘルパーらしき人が監視するような姿勢で俺たちを見ている。ここは収容所かよ?まあ無いよりマシか!それに誰も会話なんてないし、、、。雨の音がしっかり聞こえる朝食って、、俺生まれて初めてかもしれない。こんなとこ そそくさと食べて早めに退散しよう。

しかしトイレに行けば行くで鍵が壊れたトイレになっているし、、、。でしっかり誰かにお尻を見られた。恥ずかしかった!!身支度を整えバックを開けるとあんぎゃ〜!ブーツカバーがな〜い!忘れてきたみたい。しかたなく傘を借りて用品屋さんを探す。ハジなんか構わないから長靴を購入して代用品にする。カッパを着てさっそくオゾマシい根室ユースを後にする。2度と来るもんか!(現在は根室にユースホステルは存在しません。この根室玉屋ユースのサービスは最悪として有名だったらしい。当時ネットなんてなかった時代だし、知る由もなかった!

小雨の中を納沙布岬に向かう。どうやら今日は岬が見えないらしいとの情報を持っていたが、ここまで来たらダメ元で行ってみよう。走ること40分ほどで岬に到着。本当に真っ白だった。船の汽笛が聞こえるだけで昨日の霧多布と変わらなかった。残念。一応岬の写真を撮って出発。あ!そういえば日本最東端の駅東根室に行ってみよう。どういうところかな?市内まで戻ったけど看板らしき物がないので、地元の人に場所を聞いて無事到着。昨日の幸福駅を見ただけに、ローカルな駅だな〜が感想。小さな看板に日本最東端東根室と書いてなければ、ただの駅にも思えないところだった。根室側を見ると大きくカーブしている。はは〜ん!このカーブのせいで根室駅が最東端じゃなかったのね!と納得。

雨はまだまだ降り続く。R44を戻るように釧路方面に向かう。途中風連湖を通過。ここで昨日記念撮影したっけ!
厚床からR244を北上。見えない納沙布岬を廻ってきたため時間にして12時前だ。どこかの食堂でも探して昼食を摂ろうか!標津の前までな〜にもない景色が続く。でもって雨。なんかイヤになってきた。市内に入る前に小さなレストランを発見。ここでいいや!と思って入りかけたら昨日のVFR400の彼氏とバッタリ!彼は食事が終わって出てきた所だった。お互い久しぶりの友人同士が会ったような感じになった。でもって、これから食事をしようと思った俺に再度お付き合いいただいた。とってもいい人だ。

たいした話はしなかったが、今日まで泊まった根室ユースの話をすると、「あそこは有名な所ですよ!だから何でそんな所に行くんだろう?って思ったんだ!」だって。やっぱり最悪な所だったんだ。このあと彼の勧めで、2台で野付半島に向かう。まだ雨が降っているから長靴が凄く役にたった。この後に彼と本当の別れになった。彼は中標津方面に行くと言う。俺はこのまま北上して知床峠を走破する予定だ。お互いの旅の無事を祈りつつ彼を見送った。「気をつけて〜!」さてと、では俺も!エンジンをかけ出発。

でも知床峠まで、まだ50kmもある。右側の太平洋だかオホーツク海だか知らんが(本当は太平洋かな?でも根室海峡が正解!)荒れた海を見続けるのにはウンザリ。我慢しながら羅臼市街を抜けやっと山道に入る。標高が徐々に上がっていくと雨が少しずつ止んできた。知床峠に到着すると晴れてはいないが視界が少し開けてきた。本当ならば知床連山が見えるんだろうけどヤッパリ霧。ったく俺は雨男かって〜の!

小休止の後、出発。カッパはいらないみたい。蒸れてた体が今度は逆に心地よい。でも道は所々穴が開いている。もっとキチンと舗装しろ〜!って思う。ただカーブは羅臼側より楽だ。ウトロの手前で知床五湖の案内板を発見。行ってみる事に。駐車場に止めて今日の宿泊を決める。と言っても午後3時を過ぎている。ヤベーと思いつつ売店の公衆電話で浜小清水ユースに電話。食事の時間には間に合わないだろうと言うことで朝食のみでお願いしたら快く受けてくれた。さてと湖めぐりでもするか。時間的に夕方に近いので、観光客は殆どいない。景色はある意味で福島の五色沼を想像しちゃった。

でも遊歩道を歩いていくことにだんだん静かになり、人影が見えなくなって「熊出没中」の看板が出てくると自分のビビリモードは最高潮に達した。「こ、怖いよ〜」喧騒が静かすぎてチョッと音が聞こえるとビクっとする。く、クマさんか?早歩きで何とか無事脱出。マジでビビッタ。
駐車場に戻ると時間はもう午後5時。ヤバ!ユースに迷惑かけてしまう。早めに出発。ただユースで食事は用意されないので、どこかで食事をしなくては!知床五湖から斜里まではスムーズに走れた。何処かで食事をと思いつつ原生花園の方まで走ってきたけど何も店がない。斜里市内で摂っておけばよかった。

でもユースには迷惑をかけたくないので、そのまま走り到着。受付だけすまして何処かに出かければいいや!と思ったけどペアレントさんが「ここらでは何処にも食堂なんて無いですよ!それにこんな時間じゃ見つけたって開いていないですよ。」といわれショック!飯抜きかよ!しかたがない。諦めるか!。ベットに入って着替えをしていたら、ペアレントさんが来て、炊事場に案内された。気の毒なのでと言われ食事とは言えないが残り飯を食べさせてくれた。茶碗にご飯を持ってフリカケをかけただけの質素なご飯。でも、これがとても美味しかった。本当に心のこもったご飯でした。みんなには内緒にしてね!と言われたけど、当然ですね。ごちそうさまでした。(このご飯の美味しさは今でも忘れられません。ありがとうございました。
時間が半端になってしまいミーティングには参加できず、そのまま就寝。あ〜疲れた!
8月6日(水曜日)
さすがに疲れていたのだろう。死んだように眠った分目覚めがよかった。洗顔を済まし朝食を摂る。昨日みたいにビニールに入ったパンではなく温かいご飯。ヤッパリ俺は日本人だな〜と実感する。天気もようやく晴れてきた。今日は阿寒湖方面を走破してみよう。小清水から川湯温泉方面に道道を南下(現在のR391.当時は国道に昇格していなかった。)もうしっかり北海道に染まってしまった。

野上峠でちょっとワインディング。考えてみればコーナー攻めなんてやっていなかったっけ。と言うか真っ直ぐな道しか走っていないからカーブなんて久しぶり。昨日の知床峠なんて雨だったからユックリだったし。でも図に乗りすぎて前輪がズル!おおっ!ヤベ〜コケる〜!でも何とかセーフ。あんまり無茶はイカンヨ。こんなトコで病院送りにはなりたくない。弟子屈から阿寒湖方面に進む。空は曇っているけど雨が降っていないのが救いだ。でもここは道が悪すぎ!場所を選ばなきゃコケちゃうよ!折角楽しめるコーナーなのに!(この頃の北海道の国道は舗装こそされていましたが、山間部では穴だらけの劣悪な道路が大変多かったです。現在では考えられません。)

昼前に阿寒湖に到着。自然がタ〜ップリだ。水辺のそばでアイヌ系と思われる人が手作りのブローチとかを売っていた。でも俺はその価値観がないので買わなかった。阿寒湖と言えばマリモ。そこで本物のマリモを見たくて観光船に乗る。途中のチウルイ島で育てられたマリモが見られるらしい。観光船で途中の島に下船するのも不思議だが、展示されているマリモを見てビックリ!で、でかい!たしか山梨県の山中湖でもマリモをみた記憶があるけど、これは別格。一番でかいのはバスケットボール位の大きさだった。成長するのに何年もかかるとか!へえ〜!

観光船に乗ったおばちゃんとちょっと談笑!
船を下りて軽い昼食。そして出発とあわただしい。実はここから士幌を経由して旭川のユースに行く予定をたてていた。だから道中まだかなりある。阿寒湖から士幌まではなだらかな下り道が続く。まあ!本州の山道のコースと同じであまり楽しくない。そこに自衛隊の師団らしき車が列を作って走っているのだが、追い越していいのだろうか?警察とは違うからどうしようか?と思っていると、バイクの集団がブチ抜いていった。当然俺も同行しちゃおう。やっぱり20台位追い越すのはしんどい。

でもやっぱり走るためには多少の無茶もしなくちゃ!そのためか早めに上士幌に到着。このままR273 を北上。太陽が差してきた。進行方向左側に士幌線があって、その先に牧場が点在している。久々にみる北海道のような気がした。道路の高度が高くなりはじめてきた。もう少しで士幌線終点の糠平駅に到着するはずだ。実はこの糠平駅は一度行って見たい駅の一つだった。本来はこの先十勝三股駅まで線路があるのだが乗降客が殆どないので昭和53年に休止してバス代行になっている珍しい駅でもある。
偶然ではあるが列車が入ってきた。折り返し帯広に向かう列車だろう。駅の撮影をして記念に切符を購入。列車が走っていなくても乗車券は十勝三股まで売っていた。どこにでもある普通の駅に感じた。そしてやや遅れて代行バスが駅前に到着。でも列車からの下車客は3人。バスに乗った人はゼロ。これじゃ休止もしかたがないな!バスを見送ってから自分も出発。ひなびた糠平温泉を通過。って事は列車で来た温泉客はいなかったのか?確か3人だったけど、地元風の人だったもん。車社会を感じさせられた。糠平湖を右手に見ながら北上すること30分ここが十勝三股なのかなあ?バスが止まっていた。(記憶の相違かもしれませんが国道沿いに代行バスが止まっていたのは十勝三股ではないと思われます。当時駅舎があったかどうか確認していませんでしたので、未だに不明です。

しばらく走ると一番イヤな未舗装に入る。本当に国道かよ!それも大きな砂利というより岩に近い。前輪がバランスを失わないように体重を前輪にかけユックリ登っていく。いわゆる立ち走りってヤツ。いつまでも走っていると疲れるので時々止まって休憩する。でもよくこんな所に道を作ったもんだ。道から少し入っただろう場所に白い花が咲いている。もしかして高山植物なのかな?綺麗だなと思う。(これは実際はケシの花だったようです。大麻の原料になるので自治体が強制的に撤去しているらしいですが、成長が早いらしいです。今でも原生林のどこかに自然に自生しているらしいです。トレッキングなどで発見したら必ず当局に報告してくださいね!

何度休んだだろう。腕も疲れた。ん?ん?何だ?木の幹の奥!お、おい!まさか?熊さんが、熊さんがいる〜!黒っぽい動物。一気にビビリモード突入!こんな時俺は何をしたらいいのだろう?基礎知識なんてないもん。もしもの時はGPZで突っ込むか!でも俺の事は無視して山の中に入ってくれた。あ〜焦った。

もうかなり未舗装を走っているのにいつまでたっても舗装にならない。目の前にトンネルが見えてきた。トンネル内部の照明であるナトリウム灯は点燈しているけれど、トンネルの中は温度が低いのかガスってる。オレンジシャーベットの中に入るみたい。うわ〜寒い〜!視界は滅茶苦茶悪いけど砂利道からは開放された分いいと思わなくちゃ。トンネルを抜けると雪国だった。じゃないよ!また砂利道だった。もう疲れた!やっと視界が開けてきて大雪湖沿いに進む。やっと舗装路になった。よかった〜!途中対向でチャリンコのソロを発見。さっき熊がいたよ!って教えてあげた。マジスか?ってビビッていたけど教えてあげないほうがよかったかな?余計なお世話だったかも。でも未舗装から開放された喜びの方が強かった。(当時は三国トンネルが開通したばかりで、糠平から上川までは国道といえども砂利道でした。マジしんどかったです。)

おかげで時間は午後6時前になっていた。でも層雲峡をぬけて旭川までだからあと走っても1時間くらいかな?R39に入ると交通量もやや多くなった。よくもパンクしなかったもんだ。GPZを走りながらなでてあげる。お前はエライ!
時間だけどちょっと層雲峡を覗いてみるか?でも温泉旅館くらいのほかは何もなさそう。時間的に開いていたのがアイヌ資料館。一応来たんだからということで入館。アイヌの暮らしや歴史とかの展示がされていたけど、時間が気になったので早めに出発。その後ひたすら走って旭川ユースに到着。夕食の時間には間に合ったようだ。
風呂に入ってる時間はなさそうなので先に夕食にする。そして入浴。さすがに疲れたのでミーティングは辞退して早速就寝。
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