長谷川光一／スケッチ紀行

スケッチ紀行

　1982年に東邦ガスの絵画部ブに入部して以来、年２回カイのペースで部の皆さんとあちこちスケッチに出かけています。そうこうしているうちに結構数がたまって、いつか整理したいと思っていましたがようやく年代順にまとめることができました。
　スケッチの魅力は写真と違い１枚１枚マイの風景を細かく鮮明に記憶できることにあると感じています。それはじっくり時間をかけてお気に入イりの風景を観察したからに他なりません。写真ではこうはいかないでしょう。もちろん好天ばかりではありません。極寒、酷暑、強風、豪雨・・・思い出デ一つ一つが絵に凝縮ギョウシュクされ、いつしか私の宝物となっていました。
初期のスケッチは出来も悪く、あまりお見せしたくありませんが、当時の苦闘ぶりが今では懐かしく、また新鮮でもあり恥を忍んであえて掲載しました。お見苦しい点はご容赦ください。
　ご一緒された絵画部ブの皆さんお疲れさまでした。また次回よろしくお願いします。

INDEX

１９８２～

1982年　付知峡

スケッチデビューは当時会社の保養所があった岐阜県付知峡でした。天候も悪く、寒く、いきなり厳しい洗礼を受けました。色鉛筆やマーカーを使っていますが紙が湿気て乗りが悪ワルく、加藤先生曰く「構図が悪い」の通り全く絵になっていません。F８の大きめのスケッチブックであったため、短時間では描ききれず、中途半端です。初めはこんな程度でした。

付知峡０１

1983年　

常滑

常滑市トコナメシにある酒蔵の見学をかねて訪れました。天候はよく、前回よりは多少ましになっています。短時間で描けるよう、F6を半分の大きさで描いています。

常滑

1984年　岐阜県大垣・坂内村

確タシか夜勤明けで出デかけた記憶があります。天候には恵まれました。ｲﾋﾞﾃﾞﾝの水力発電所は絵になるモチーフですが時間配分が悪く描カき切れてません。今回から１枚の制作に時間が余りかからないF1のスケッチブックを用いています。

坂内村０２

1986年　穂高

とにかく２日とも雨で山ヤマが全く見えませんでした。暇つぶしでペンション内部を描いてました。雨なら雨でポイントを絞ったスケッチもできたはずですが、まだそこまで気づきませんでした。当時赤色のシビック25Rに乗っていましたね。画中チュウに出てきます。なつかしい。

穂高０１

京都南禅寺・円山公園

いろいろ描いていますがあまり京都らしくありません。狙いが悪いです。

京都市内０１

1987年　吉野・明日香村

初夏ショカの陽気で蒸し暑アツかったのを覚えています。このころはまだ色鉛筆を主体に使って描いていましたが、少しずつ水彩を併用しています。茶店のおかみさんに修学旅行の下見をする先生たちと間違われました。

明日香の里

1988年　長野県白馬

少スコしずつ水彩スケッチに移行し始めた頃です。好天に恵まれましたが湿気が多く紙カミが湿ってうまく描けていません。気象条件が絵に大オオきく影響します。この辺は美術館が多いのも特徴です。シャガール美術館を見学しました。

一本木

1988年　清里・八岳

空気クウキの澄んだいいところです。牧場を中心に描いています。八ヶ岳牧場は広大で、２枚続ツヅきのパノラマで描いてみました。

清里０１

八ヶ岳

1992年　高遠湖・諏訪湖

天気テンキが悪く、満光コウ寺は軒下で、高遠湖コは旅館で描いています。時間があったので２枚続ツヅきでパノラミックに描いています。

満光コウ寺

高遠湖

1993年　京都府美山町

京都キョウト府のかなり北部で茅葺き集落を保存しているところです。一部とトタン屋根の家イエもありましたが、画中では茅葺きに変えちゃったりしています。初日はどしゃ降りで途中の峠では視界ゼロ、車も動けず立ち往生オウジョウした記憶があります。

美山町０２

美山町０３

美山町０４

オーストラリア／シドニー・エアーズロック

新婚シンコン旅行のついででスケッチしたものです。ちょうどシトニーがオリンピック候補に当選したときで町中がお祝い気分でした。エアーズロックは圧巻です。現地の人に絵エをほめてもらえました。
今回は一部ペン書きを試タメしています。ハーバーブリッジは帰国後油彩に直したものです。

シドニー０１

シドニー０２

エアーズロック

1994年　

佐布里リ池

愛知県アイチケン知多市にある梅林で有名な公園です。梅の季節には梅祭マツりと称していろいろイベントが開かれているようです。スケッチでは梅が桜サクラみたいになってしまいました。

佐布フ里池

京都

奥オクさんの京都趣味につきあってのスケッチです。結構あちこち廻らされてます。おかげでたくさん描けました。

龍安アン寺

渡月橋

金閣寺

1995年　京都

引ヒき続き京都シリーズ第二ニ弾です。

水路閣カク

南禅寺

銀閣寺

長良川、野原川

長良川ナガラガワは慰安会のついで、野原川ガワは三河方面で、マス釣りのレク大会のついでに描いたものです。
F1号の小さいスケッチブックは、かさ張らず、どこにでも持って行イけて重宝です。

長良川

野原川

芦ノ湖・御殿場

天気テンキが悪く、お目当ての富士山は全く見えませんでした。しかたなく近景を中心に描いています。

芦ノ湖

白馬

奥オクさんと二人で。白馬の絵は大オオデ出(みないで)の吊り橋バシといわれる白馬駅から東へ少し行イったところで、写真・スケッチに絶好のスポットからです。今は公園として整備されています。
白馬岳は、アトリエで油に描き直ナオしたものです。

八方

白馬

安曇野

長野県ナガノケン豊科ICからすぐの、のどかないいところです。水車は大王山葵農園の一角にある黒沢明監督の「夢」のロケ地として有名なところです。

1996年　京都大原

天候テンコウが悪くあまり枚数スウが描けませんでした。三千院ではスケッチ途中で住職さんに止められてしまいました。こうしたトラブルもままあるものです。

大原

裾野・山中湖・御殿場

前年ゼンネン天気が悪かった富士山周辺のリベンジです。今回は途中から好天に恵まれたくさん描くことができました。でも少し寒サムく、山中湖は風との戦いでした。

1997年　近江八幡

比較的ヒカクテキ名古屋から近く、白壁の街並みがつづくいいところです。天候にも恵まれ、また八幡堀は特トクに絵になる構図が多いため制作がはかどりました。瓦の里で、瓦ミュージアムを見学しました。

近江八幡０１

近江八幡０３

近江八幡

御岳開田高原

１１月下旬で好天に恵まれましたが、とにかく寒くてスケッチ途中で中断するほどでした。今回は油絵によるスケッチを試みてみましたが、勝手が悪く慣ナれないことはするものではないと思オモいました。作品はアトリエで仕上げたものです。

御岳開田高原

1998年　赤目四十八滝

三重県ミエケンにある名所です。その名の通トオりたくさんの小さな滝が点在する絵になるところですが、狭いためあまりゆっくり描ける場所はなさそうです。むかし忍者の修行場だったそうで道は険ケワしく、また全部を廻るには相当な健脚が必要です。

赤目四十八滝タキ

紀伊長島

漁港ギョコウの風景を描きに行きました。船は難ムズカしいです。時間もかかります。水面も風により波の立タち方が変わるので厄介者です。さっきまで遠景が写りこんでいたかと思うと、瞬く間になにも写らなくなってしまうのです。

紀伊長島０１

1999年　新潟県妙高・野尻湖

名古屋ナゴヤからかなり遠いうえ天気も悪くたいへんでした。いもり池を中心に描いていますが、妙高山は曇りで見えませんでした。

妙高

野尻湖コ

余呉湖

こぢんまりした静かな湖です。地元のおばあさんに道を尋タズねたら、長話をし出し、なかなか放してもらえませんでした。カメムシが大発生で、旅館中が臭かったのを覚えています。

余呉湖コ０１

余呉湖コ０３

余呉湖コ０４

2000年　滋賀県ブルーメの丘

ドイツ風のテーマパーク（？）で、それっぽい建物と、農業体験ができる公園です。牛の乳搾りの見学をしました。花畑も見所の一つです。

ブルーメの丘０２

ブルーメの丘０３

奈良長谷寺　

１２月ガツ初旬に行ったのですが、暖かい日が続ツヅき、遅れた紅葉がきれいでした。

長谷寺

2001年　大王崎

大王崎ダイオウザキは画家の町として有名です。リアス式海岸カイガンの入り組んだ地形に石階段カイダンのつづく道は縦構図コウズがとりやすく、確かに絵描きにはいい場所でしょう。

大王崎０１

大王崎０３

内海

知多チタ半島の先にある内海は会社の保養所がある海水浴でにぎわう町です。保養所の２階から瓦屋根の続ツヅきに酒蔵を望む風景は実にいい感じです。

内海

京都府美山町

茅葺カヤブきの里２度目の訪問です。
前回トタンで覆っていた民家も茅を修復し、茅葺きの家が圧倒的に増えていました。とくに北町はタイムスリップの面もちです

京都府美山町

2002年　安曇野

２度目ドメの訪問です。有明山がいい感じで霞がかかり、水墨画の面もちです。この辺も美術館が多く、今回はジャンセン美術館を観ました。

安曇野

師崎

会社カイシャの保養所のある内海から程なく知多半島ハントウの先端の漁港です。魚介類がおいしいところです。

師崎

北九州唐津・呼子港

九州キュウシュウへ出張のついでに訪れた唐津焼ヤで有名なところです。ちょうど呼子の朝市が行われていて、とてもにぎわっていました。

呼子港

2003年　伊勢志摩安乗灯台・賢島

伊勢イセ志摩・賢島も会社の保養所のあるところです。安乗ノ崎では、他のスケッチグループも訪れていて、さながらコンクールの様相でした。

安乗ノ崎

賢島

中国／北京

中部チュウブ産業連盟の洋上研修で中国を訪れた時のスケッチです。万里の長城は実に雄大。１時間の自由時間は厳しいものでした。中国では一里が0.5ｋｍ、全長6000km（！）で万里となるそうです。１１月中旬チュウジュンでうっすら雪化粧、極寒カンでした。故宮はこの時期では珍しく雨模様。でも霞がかかっていい感じでした。

万里長城

故宮

2004年　長野県白馬村、大町

春ハル、秋つづけて白馬を訪れました。春３月ガツはまだ残雪が残っていていい雪景色を描けました。でも寒いので水彩は乾きが遅く時間がかかります。
木崎湖、大町オオマチは秋に訪れたときのものです。雨の予報が大はずれで快晴となり、予定が狂ってしまいました。いつも天候の読みは難ムズカしいです。

白馬

木崎湖コ

大町

スケッチ道具のご紹介

ここで一息入れてスケッチ道具のご紹介をしておきます。
スケッチ道具といっても右の写真で全てです。
・スケッチブックF1
・ハンディパレット／絵の具／細ホソ筆セット
・スマイル目薬・・・ではない、中身は水です
・鉛筆（ゴルフのスコア記入用）、消しゴム
・ポケットティッシュ
これならセカンドバッグに入れていつでも携帯でき、車に放り込コんでおけばどこでもスケッチできます。
F1サイズなら時間も３０分ほどで１枚描カけてしまいますので同行者にもそれほど迷惑をかけなくてすみます。
スケッチブックは普通の画用紙です。厚手の水彩紙もいいですが、物によっては絵の具グの定着がよくない物(下シタに塗った色がにじんでしまう)があり余り好スきではありません（もっともそれも技法ギホウに生かせばいいののですが）。
パレットセットはどこの画材屋にもある一番コンパクトな物をチョイス。絵の具グは透明水彩絵の具グをチューブから絞り、乾燥させておきます。水も目薬１本で数枚描けることがわかりました。
初めのころは重装備でした。長い年月を経てここまでスリム化しました。できれば大きいサイズも描きたいと思っています。

2005年　越前

リアス式海岸カイガンの静かな漁村です。
週間予報では２日間とも雨の予報が全く降られずに、逆に日焼け止ドめがいるくらいでした。
右近家は北キタ前船(日本海各港で商いをした)主の館ヤカタが保存されているもので、木の壁カベがいい雰囲気を出しています。
東尋坊まで足を伸ノばしました。

越前海岸

右近家ケ

東尋坊

大高斎田デン

毎年マイトシ６月第４日曜日に地元名古屋市緑区の氷上ウエ姉子神社ジンジャで行われている御田植タウ祭の様子です。五穀豊穣を祈り、境内の斎田のあぜ道で、萌黄色の衣装に菅笠赤たすきの早乙女たちが、笛や太鼓に合わせて田舞を奉納します。このお米は熱田神宮や各摂社４５社でお供えされるそうです。実際にはたくさんの見物客でごった返しているのですが、画中では省略しています。

氷上姉アネ子神社

御在所

夏休ナツヤスみに家族旅行で出かけたときにスケッチしたものです。鈴鹿国定公園の中にある御在所は名古屋から１時間足タらずで行ける手頃な避暑地です。ロープウエイで1212mの御在所岳から素晴らしい眺望が望めます。あいにく当日は少しガスってました。スケッチは麓の湯ノ山ヤマ温泉郷の三滝川タキガワの河原からです。たくさんの子供たちでにぎわっていました。

湯の山温泉オンセン

倉敷

岡山県オカヤマケンへ出張のついでに立ち寄ヨった白壁の蔵が続ツヅく有名な美観地区です。また、倉紡ボウ跡地のアイビースクエアは、煉瓦造ヅクりとツタ壁がいい雰囲気を出しています。どこを取っても絵になる風景はいずれまたゆっくり時間をとって来たいところです。目玉の大原美術館も邦画ガ・洋画他ホカ充実したコレクションで、なかなか見応えがありました。

倉敷

半田市旧カブトビール～内海

半田市の中心にある赤煉瓦の古い建物です。１８９８年に丸三麦秋㈱（製品名カブトビール）の工場として建てられましたが、戦時中は中島飛行機の倉庫となり、壁面には空襲の傷跡が生々しく残されています。年に数回内部見学会が開催されています。杉本健吉画伯がこよなく愛したことでも知られています。いろんな角度、また各部分で様々な表情を見せるのでまた何度か訪れたいモチーフです。師崎サキで宿泊し、翌日内海周辺の風景を描きました。

カブトビール

内海

2006年　

熱田神宮

2006年５／５こどもの日、親子オヤコで名古屋市内の熱田神宮写生大会に参加してきました。良い天気でたくさんの親子連れでにぎわっていました。小学４年生の長男と一緒に写生するのは考えてみると初めてのことで、できればこうした機会をもっと持ちたいと思っていますが、息子はどう思っているやら。
今回は時間に余裕があるので少し大オオきめのＦ６号に描いてみました。そのため少しディテールが細かいかもしれません。

熱田の森

下呂合掌村、厳ガン立狭

岐阜県ギフケン下呂温泉の北部にある白川郷から移築した合掌造りの家屋が並ぶ公園です。
翌日は小坂にある厳立ダ狭へ足を伸ノばしました。ここは御嶽山の大噴火によってできた、大岩壁で、県指定の天然記念物になっていて、奥には四十八滝タキがあります。スケッチは一番手前の滝です。
今回は、梅雨の最中ながら２日とも天気に恵まれラッキーでした。

合掌村

厳立狭キョウ０１

厳立狭キョウ０２

銀座

春陽会シュンヨウカイ研究会選抜展の最終日に描いたものです。銀座は多くのギャラリーが集中したアートの中心地ですが、朝１１時からしかどこも開いておらず、時間を持て余アマしてしまい、仕方なく暇つぶしに描いてみました。
松坂屋の前から描いた和光ビルです。天候も次第に回復し、梅雨明け、さわやかな一日でした

銀座

常滑

愛知県アイチケン常滑(とこなめ)市は常滑トコナメ焼きで有名な焼き物モノの町です。今回も東邦ガス絵画部ブの皆さんと訪れました。
常滑市の中心、陶磁器会館の周辺は、やきもの散歩道ミチと称して、数多くの工房が集まった昔ながらの街並みが続くビュースポットです。窯の煉瓦造ツクりの煙突が並ぶひっそりとしたたたずまいは、今や中部国際空港を持つ世界セカイの玄関口とは思えない光景フウケイです。
この日も多くの観光客がシャッターを押していました。