～　”無事、これ名馬なり”　～

欧米では馬の健康管理の一環として、
ヒーリング効果のあるマッサージが注目されています。
マッサージの目的は、肉体的に酷使されて固くなった筋肉をほぐし、
それと同時に不安や緊張で萎縮した精神もほぐして、
人馬の信頼関係を築く事にあります。

しかし、マッサージを利用して調教したりはしません。
馬は身も心もとろけるような、気持ちのいいマッサージをされることにより、
人間に対する恐怖心や嫌悪感を忘れ去ります。
そして、代わりにその様なことをしてくれる人間を信頼し、
結果として人間に対して心を開き、素直になり言う事を聞くのです。
決してそれが最初からの目的ではありません。

～　医療の原点は手当てから　～

昔から”手当て”という言葉があるように、
痛んでいるところに手のひらを当てるだけでも痛みが軽減されるものです。
手のひらで温めるだけでも痛みは和らぐはずです。
ですからマッサージは勿論、”素手”で行います。
”素手”で馬体を感じ、筋肉と会話するのです。
マッサージは約１時間行い、最後に顔をマッサージする頃には、
あまりの気持ちよさに馬は完全にリラックスするでしょう。

「無事、これ名馬なり」とは、「怪我なく無事に走り続ける馬こそが名馬である。どんな素晴らしい能力が有っても五体満足でなければその能力を発揮出来ない」という事です。
大切な愛馬であればなおさら怪我や疲労を取り去ってあげて、元気にパフォーマンスしてもらいたいものです。
ぜひ、馬のヒーリング・マッサージを学び、愛馬にお礼の気持ちを込めて癒してあげてください。

山縣真紀子